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夫の秘密、或いは妻の秘め事(33)

2014 11 21
カウンセリング日:11月21日
患者名:梶野秀人(39歳)
担当医師:柴田

なぜ、私があのとき声を出すことができたのか、今でもはっきりとはわかりません。

全ては計画通りでした。岸野と名乗る男とホテルロビーで落ちあい、私たちは高層フロアにあるレストランに向かいました。十分なスペースを伴った和室、完全な個室です。

我々がしばらく時間をかけて食事を進め、ほどよく酔いも回ってきたころ、彼はその行動を開始しました。妻の体を弄びたいと、彼は大胆に要求してきたのです。

動揺しなかったのかですって? それは勿論、目の前でそんな風なことを別の男に言われるのは初めてでしたから、私は喉の渇きを覚えるほどの緊張を感じていました。

しかし同時に、私は興奮が押し寄せてくる気配をも感じていました。

「接待をしなくてはならない」と、私は適当な理由を言って、妻に彼の言葉に従うように指示しました。そして、妻は夫である目の前でその男の腰の上に強引に乗せられました。

彼、いやこの際、岸野と呼びましょうか、私が岸野に会ったのは勿論その夜が初めてでした。このクリニックで柴田先生に写真で紹介されただけでしたからね。

戸惑う妻の肢体を腰の上に乗せた岸野の様子を、私はそのとき改めて観察しました。見れば見るほどに、彼は醜悪で、不潔な雰囲気が漂う、老いた男でした。

しかし、それは私の欲情を妙に刺激する光景でもありました。そのような男にいじめられている妻の姿は、過去のどのようなシチュエーションよりも刺激的に見えてしまったのです。

岸野は妻の美乳ともいえる胸を丁寧に愛撫していきました。その手つきは憎らしいほどに繊細で落ち着きを伴ったもので、豊富な女性経験を十分に裏付けるものでした。

最初は明らかに困惑し、抵抗を示していた妻ですが、10分か15分そんな責めを岸野に続けられた後、私はその表情が少しずつ変化してきたことに気付きました。

戸惑いと抵抗に加え、明らかな快楽の気配が混じり始めたのです。どうにも耐えきれず、時折苦しげな息を漏らしながら、妻は肢体をせつなげにくねらせていきました。

やがて、妻は岸野に唇を奪われました。それは、私自身を激しく興奮させる光景でした。しばらくの抵抗の後、妻は彼に屈するように唇を開き、舌先を絡めることまで許しました。

岸野は、酒を自らの口に含み、妻の口内にそれを注ぎ込みました。妻は苦しげな声を漏らしながらもそれを呑み、その手を男の肉体に伸ばし、絡めていくようになりました。

岸野はそんな妻の衣服を少しずつ剝ぎとり、素肌を露わにしていきました。妻の裸体は私には眩しすぎる光景でした。やがて、妻はブラを剝ぎとられ、乳房を剥き出しにさせられました。

「やめてください・・・・」、と妻は何度も懇願しました。しかし、岸野は勿論止めようとはしません。妻の裸体をテーブルの上に押し倒し、本格的な愛撫を開始しました。

私の目の前で、妻の形のいい乳房が男に揉みしだかれ、乳首を吸われます。その度に妻は表情を歪め、指先でテーブルの端を掴み、顎をあげるようにして息を漏らしていきます。

接待をしてくれという私の指示を、頑なに守っているのだ。私は最初、妻の姿をそんな風にとらえていました。しかし、私は時間が経つにつれて、別の感情を抱き始めていました。

妻は、岸野の行為に溺れ始めていたのです。私には確信できました。妻の表情、肉体の反応、指先の震え、そして声色。その全てに、いつしか悦びの気配が漂い始めていたのです。

そんな妻の変化を、岸野は見逃すはずはありませんでした。彼は全てを曝け出し、もう一度座りなおした後、妻を抱きかかえました。そして、妻の下半身から下着を剝ぎとりました。

恥ずかしいほどに妻の両脚が広げられ、その肉体はゆっくり下降していきました。私は二人を食い入るように見つめました。その瞬間、妻は肢体を硬直させ、彼の背中に爪を立てました。

そして、岸野は己の全てを妻に与えました。そこからはもう、妻にとっての快楽の時間が始まりました。岸野にいざなわれるまま、妻は淫らに腰を振り、官能の声を上げ始めました。

彼の背中をしっかりと抱きしめ、腰をくねらせる姿は、私をどうしようもなく興奮させるものでした。乳房をしゃぶってくる男の後頭部を抱き、自分から両脚で彼の腰を締め付けます。

岸野の上に跨ってたっぷり交わりあった後、二人は立ち上がり、きつく抱き合いました。そして、私に見せつけるように濃厚にキスをしながら、立ったままで交接を始めました。

岸野のもののサイズは私のものとは比較にならないほどに大きく、狂暴さをたたえたものでした。そして、更に驚異的だったのは彼の持続力です。全く果てる気配がありませんでした。

妻は私とは決して経験のない体位で、岸野を受け入れ続けます。やがて立ったまま、岸野は妻をバックから犯し始めました。壁に手をつけ、妻は陵辱されるように責められます。

乳房を壁に密着させるほどに、妻のスリムな裸体が後方から圧されます。妻は壁に手を這わせ、時折岸野の肉体にそれを伸ばしながら、何度も首を振りました。

しかし、私は妻の腰が男の突きに呼応してくねらせていることを見逃しませんでした。全身を汗で濡らし、ハアハアと息を乱しながら、妻の体は自分から岸野を欲しがっていたのです。

妻が女性に、一匹の牝に成り果てたことを、私は知りました。いや、こういうべきかもしれませんね。私は男として、妻に牝の悦びを教えてやることができなかったのだ、と。

悦びの時間に浸り続ける妻の姿に、私は限界までの興奮を感じていました。最近の夜の営みでは果たせなかった肉体の極限に達し、私は自らの欲情が満たされつつあることを知りました。

しかし、別の感情が、私の心の中に芽生え始めていました。妻が別の男にいじめられ、抱かれる姿を見たい。私はそんな欲情を克服することができず、悩んでいたはずです。

そのとき、私の望みは叶えられ、いつまでもそれを見続けていいはずでした。しかし・・・・・。私は二人の行為を止めさせたのです。突然、何かに目覚めたように。

うまく言えませんが、私の気持ちは或いはこうだったのかもしれません。あのまま放っておけば、妻は完全に岸野のものにされてしまった。妻が完全にあの男に奪われてしまう。

妻は、つまり、女としての最上の瞬間を岸野に抱かれて迎えようとしていました。私自身、妻をそんな風にしたことはありません。私は岸野にそれを許すことができませんでした。

妻が別の男にエクスタシーにまで導かれ、完全に屈服してしまう。私はそんな妻を受け入れることが、実際にはできなかったのです。

私が声をあげたとき、妻は少し戸惑っているようでした。しかし、岸野の誘惑にもかかわらず、妻はその行為を止めることを自分からもはっきりと求めました。

岸野はどこまでも狡猾で、欲深い男でした。交わりを止めた後、彼は自らの満足だけを得ようと、妻に形容しがたい行為を要求し、妻もまた抗うことができず、それに従いました。

どんな行為をされたのか、ですか・・・・・・・・・。先生、それは控えさせてください。とにかく、妻に辱めを与えるような行為だったとだけお伝えしておきます。

そして、その夜は終わりました。私は自身の行動の理由が、いまだにはっきりとは理解できていないのかもしれません。しかし、先生、ここまで話してわかったことがあります。

私は、自分自身の悩みを遂に克服できたのかもしれません。いや、確信できます。もう私があのような妄想にとらわれることはないだろう、と。

妻が別の男に何かをされる、或いは寝取られる。そんなことを密かに望むようなことは、今後一切ないはずです。自分自身、求めてはいけないものを欲しがっていた。そんな愚に、私はようやく気付くことができたのです。

遅すぎたのかもしれません。妻は実際に岸野に抱かれてしまったのですから・・・・・。しかし、それでも私は自信があります。妻と、もう一度やり直すことができるはずだ、と。

妻もまた、それを強く望んでいるに違いありません。

*****************

「それではカウンセリングは今回で終了ということでよろしいですね」
柴田は詳細な記録が書かれたファイルを閉じながら、目の前の患者を見つめた。

「ええ」
梶野秀人は、このクリニックでかつて見せたことのないほどの快活な声で答えた。


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