FC2ブログ

夫の秘密、或いは妻の秘め事(24)

2014 10 17
「梶野さん、いい奥さんをお持ちですな」

岸野は満面の笑みを浮かべ、立ち上がった希美子の全身を見つめている。僅かなためらいの後、希美子は岸野のすぐ隣にある座布団に静かに腰を沈めた。

男女のペアが変更となった。秀人がただ一人で座り、その前に岸野、そして希美子が並ぶ。秀人は、自分の妻が別の男の隣に座る光景を、ただじっと見つめている。

この男に接待をするという指示を、人妻は夫からもらったのだ。夫の言葉の裏にどのような意味があるのか推し量りながらも、希美子は日本酒の入った徳利を手にした。

「もっと飲まれますか?」
「奥さん、これは嬉しいですな」

岸野は僅かに酒が残っていたお猪口を素早く飲み干し、人妻にそれを差し出した。だが、徳利にはほとんど酒は残っていないようだった。それを予想したように、その時廊下で人の気配がした。

「失礼します」
着物に身を包んだ年増の女性店員が襖を開け、何本かの新しい徳利が載ったお盆を持って部屋に入ってくる。希美子の座っている位置が変わっていることに、店員は少し驚いたようだった。

「お綺麗な方が一緒だとお酒もすすみますわねえ」
上機嫌な岸野の赤ら顔と希美子を見比べるように視線を注ぎながら、店員が言った。

「まだまだこれからだよ、おかみさん。もっとお代わりを頼むよ」
馴れ馴れしい口調で店員にそう言いながら、岸野はテーブルに並べられた数本の徳利を眩しそうに見つめ、そして、その視線を好色なものに変えて、隣に座る希美子に注いだ。

「奥さんもいける口なんだろう」
「いえ、私は・・・・・・・」

一瞬ためらいながらも、希美子は夫の言葉を思い出した。少し羽目を外して一緒に酒を飲むくらいのことをして欲しい。希美子は目の前に座る夫を見つめ、覚悟を決める。

「では、いただきますわ」
新しいお猪口を手にし、希美子は熱い酒を隣の男に注がれた。興奮を隠せないような、男の荒い息が届く。想像していたように、その息は汚れた男のそれだった。

「奥さん、一息で飲んでくださいよ」
決して酒は弱い方ではない。だが、希美子はそんな風な乱暴な飲み方をした経験がほとんどなかった。だが、岸野に指示されるがまま、希美子は続けて何杯かの酒を体奥に注いだ。

瞬く間に、妖しげな火照りが肢体に拡散してくる。少々飲んだくらいでは酔いは顔にも出ないし、意識もはっきりしている。だが、そんな自信も、なぜか今夜は揺らぐような気がした。

「奥さん、もう少しこちらにいらしてください」
ワイシャツの襟元を大きく緩めながら、岸野はその太い右手を希美子のくびれた腰に大胆に巻き付けた。そして、細身の人妻の肢体を強く自分のほうに引き寄せた。

かすかに戸惑いの声をあげながらも、希美子が強く抗うことはなかった。男の想像以上の腕の力強さが、人妻にそうする隙を与えなかったとも言えた。

岸野に密着するような格好で、希美子は座ることを強要された。人妻の腰にまわされた男の手は、もう離れようとしない。そのいやらしい指先で、ねっとりとした愛撫を加え始めている。

汚らわしい・・・・・・・・・

希美子は強い嫌悪感を抱きながら、男を避けるように顔を斜め横に向けた。岸野の手は、一度とらえた獲物を決して逃がそうとはしないように、少しずつその力が増していく。

脇腹をワンピース越しに撫で、太腿の横からヒップにかけての熟れた斜面を責めてくる。指先で人妻の肉体の全てを記憶しようとでもするように、その手つきはゆっくりとしたものだった。

屈辱的な感情を、希美子は抱き始めていた。よりによって、このような男に・・・・・・。生涯縁のないものと思っていた、こんな老いた、そして不潔な男の手に肢体がいじめられているのだ。

希美子のプライドが、それを許すはずもなかった。だが、岸野は人妻のそんな困惑を楽しむように、その行為を次第に過激なものに転じていく。空になったお猪口になみなみと酒を注ぐ。

「さあ奥さん、もう一杯」
「もう十分いただきましたわ」
「まあそうおっしゃらずに。まだまだこれからですよ」

岸野は左手でお猪口を持ち、希美子の唇に強引に押し付けてくる。右手はいつしか希美子の後頭部をつかみ、きつく固定している。そして、人妻の唇を無理にこじ開け、酒を注ぎこむ。

「奥さん、ほら、呑むんだ」
「ううんっ・・・・・・・」

かすかに首を振りながらも、希美子は男の指示に従わないわけにはいかなかった。むせるような苦しげな息遣いと共に、希美子はその酒を無理に喉奥に流し込んだ。

「飲めるじゃないか、奥さん」
お猪口が唇から離れた瞬間、希美子の官能的な息が僅かに漏れた。酒に濡れた人妻の唇が、妖しげに光っている。岸野の指先が、その希美子の唇を撫でまわしてくる。

「やめてくださいっ・・・・・・・・」
希美子は思わずそう漏らし、岸野の指先から首を振って逃げた。人妻の唇に付着していた酒の滴を塗りたくった指先を、岸野はどこまでも猥褻な表情と共に舐めまわす。

「おいしいですな、奥さんの唇についた酒は」
「・・・・・・・」
「もっと奥さんをいじめたくなってきましたよ」

希美子は嫌な予感がした。だが、男の欲情は人妻の想像を遥かに凌駕する位置に達していた。希美子の肩を右手で強く引き寄せたまま、岸野は左手で再び酒をお猪口に注いだ。

「もう1杯これを呑んでもらえますか、奥さん」
「結構ですわ・・・・・・・」

酔いを僅かに感じさせるような艶めいた口調で、希美子は男の要求を拒絶した。岸野はしかし、それを予想していたかのように、すかさず自分でそれを飲み干した。

いや、呑んだわけではなかった。口に含んだだけだった。そのままの状態で、岸野は希美子の顔を拘束し、己の口を人妻の唇に濃厚に密着させていく。

「やっ・・・・・・・・・」
声を出す余裕も与えられず、希美子は男に唇を奪われた。酒臭さと老いた男の腐臭を一度に与えられたような、屈辱的な気配。希美子は懸命に唇を閉ざし、何度も首を振った。

だが、岸野の責めは早急なものではなかった。そのままの体勢を維持しながら、お猪口を置いた左手を希美子の両脚の隙間に伸ばしてくる。そして太腿を細やかに愛撫し始めた。

相反する責めだった。醜悪な男の典型のようにただ乱暴にキスを求めながら、テーブルの下ではその指先がどこまでも繊細に、女性を癒すように太腿を揉みしだいてくる。

やめてっ・・・・・・・・・・・

混乱を感じながら、希美子は体奥で叫んだ。これ以上、こんな責めを続けてほしくはなかった。だが、彼の左手の指先は、希美子の肢体の緊張を急速に緩めていった。

唸るような息遣いを鼻から漏らしながら、岸野は更に激しく唇を押し付けてくる。その左手がいつしか人妻の腿の隙間に滑り込み、更に回り込んだ右手が胸元に伸びようとしている。

指先が、人妻の膨らんだ胸の丘陵を撫でまわす。そして、その膨らみを覆う。内腿への愛撫と呼応するように、希美子の豊かな乳房がワンピース越しにたっぷりと揉みしだかれる。

「あっ・・・・・・・・・・・」
男への屈服を示すかのように、希美子は一瞬だけ唇を開いてしまう。岸野の口内にたっぷりと蓄えられていた酒の液体が、男の唾液と共に人妻の体奥に濃厚に注ぎ込まれる。

「ううっ・・・・・・・・・・」
この男に何かを捧げてしまったような気がして、希美子は冷静さを失っていく。奪われた唇は、すぐに解放されなかった。先刻と一転して優しげな雰囲気で、岸野は希美子の唇を吸い始める。

男の10本の指が、希美子の肢体中を這いまわる。少しずつワンピースが脱がされていくような気がする。どこをどう緩められ、外されているのか、しかし希美子には把握できない。

酔いのせいだろうか・・・・・・・。答えを得ることもできないまま、希美子はその肢体が彼に力強く持ち上げられたことを知る。いつしか希美子は、岸野の上に座らされていた。

「奥さん、お楽しみはこれからですよ」
今夜がどこまでも続くことを伝えるように、男は人妻の耳元でささやく。希美子は男に背中を向ける格好で、脚を揃えて彼の両足の上に座っていた。

目の前にいる夫を、希美子はすがるように見つめる。夫の様子に変化はない。興奮しているようでもなければ、困惑しているようでもない。希美子は、夫の本音を懸命に探ろうとする。

「奥さん、サイズを測りましょうか」
岸野の両手が背後から伸び、希美子の双の乳房をワンピースの上から覆う。男の手を感じながら、希美子は夫のことを見続ける。

「ご主人に見せてあげなさい、色っぽいお顔を」
岸野の本格的な愛撫が希美子の膨らんだ胸に与えられていく。

同時に、希美子はそのヒップの下にある男のものを感じ始めている。


(↑クリック、励みになります。凄く嬉しいです。次回更新、10月21日予定です)
>>すみません。都合により次回更新10月24日とさせてください。よろしくお願いします。
 | HOME | Next »