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温泉旅行での出来事(2)

2010 01 13
私が住んでいる○○県には、山あいに温泉地が多く、全国から観光客が訪れる人気スポットも存在します。

今回私たちが向かったのは、温泉の人気投票をすれば必ずトップ5に入る街の老舗旅館でした。自宅から車で1時間半程度で到着する先です。

かなり昔から営業を続けているらしく、本館の外観は重厚な和風の造りです。それとは対照的な鉄筋の新館も併設されていて、私達の部屋はそちらでした。

室内に入ると、旅の情緒をそそる畳の匂いがまず感じられました。あいにく、外の景色は山の岩肌でそれほど綺麗なものではなかったのですが、私はまだ新しそうなその部屋がすぐに気に入りました。

「ママ、お部屋にもお風呂があるよ!」
5歳の息子が部屋を走り回りながら、私にそう教えてくれました。

それはユニットバスというような小さなものではありませんでした。独立した十分な空間に設けられたそのお風呂は、石造りの立派なもので、木製の引き戸を開け放てば、全面ガラスの壁を通し、部屋から中の様子が確認できるような構造になっていました。

「どうだい紗江子、いい部屋だろう」
「ええ、凄く素敵だわ」

私は自慢げに話す主人に、正直にそう答えました。お人好しな性格の私はもう、主人の浮気疑惑のことなんかすっかり忘れ、この部屋で起きることにあれこれと思いを馳せていました。

最近では、息子は夜泣くこともなく、ぐっすりと朝まで眠ります。私はその夜、主人に抱かれることを想像し、恥ずかしいことに、もう体を熱くさせていたのです。

いったい何年ぶりになるのか忘れてしまうほど、私達夫婦のセックスレスの状態は長く続いています。夫も勿論それを知っています。

息子が寝た後、部屋に敷かれた布団の上で、或いは大胆にもこの部屋の中のお風呂で、主人は私を久しぶりに抱いてくれるに違いない。

こんなことを書くのも恥ずかしいのですが、30代になってから私の性欲は、以前よりも強くなったような気がしていました。それは、セックスレスの状態が続けば続くほど、加速していったのです。

私は、その夜、自分がどれほど乱れてしまうのか、少し怖いような気分さえ感じていました。

実は、主人のエッチって結構淡白なんです。入れても、すぐに終わっちゃうような感じで。結婚前、私は他の男の人との体験が数えるほどしかないのでよくわからないのですが、主人は激しいほうではないと思います。

でも、そんなことは、そのときの私には関係ありませんでした。主人に抱きしめられ、裸にされてしまうだけで、私は濃厚な快感に包み込まれる確信がありました。

「早速温泉に行こうか」
私たちがお部屋に到着したのは午後4時頃でした。少し早いですが、私たちは主人の言葉に従い、温泉へと向かいました。

新館にも大浴場はあるのですが、本館のほうも利用できるとのことでしたので、私たちはそちらを楽しむことにしました。本館の浴場からは露天風呂に行くことができるんです。

主人と息子と別れ、私は女湯ののれんをくぐり、脱衣所に入りました。思った以上に混雑しています。年末でもあり家族旅行の他、忘年会を兼ねた社員旅行のような団体も何組かいるようです。

私は、若いOL風の団体の女性たちと一緒になるような形で、ゆっくりと温泉に浸かりました。

効能を見ると、リウマチや神経痛などのほかに、疲労回復とうたってあります。熱いお湯の中で腕をうーんと伸ばせば、毎日の子育てによる疲れが一気に消え去ってしまうようです。

ああっ、気持ちいいわ・・・・・・

しばらくは館内のお湯に浸かって十分に温まった後、私は立ち上がり、露天風呂に続くドアのほうに向かいました。

黒々とした岩場に囲まれたその露天風呂には、先ほど脱衣所で一緒だった若いOLたちが既にいるようです。ドアを開けた瞬間、12月末の冷え切った空気が、私の温まった体を襲います。私は滑らないようにしながらも、早足でその露天風呂の中に入りました。

室内の湯とはまた異なり、何とも風情のあるいいお湯でした。夕闇が迫る澄んだ空を眺めながら、私は改めて周囲を観察してみました。

さすがにこの旅館の一番の売りだけのことはあります。その露天風呂は広すぎるのではというほどのスペースを誇るものでした。

更に、もう一つ特色があるんです。それは、男湯の露天風呂とも繋がっている、混浴のエリアが備わっているということです。

微妙な配置をされた大きな岩の陰に隠れ、混浴の場所はすぐに確認できません。ドアのようなものは存在せず、そこに行くには、視界を塞ぐ巨大な岩の向こう側に行くようなイメージです。

「ねえ、混浴行ってみようか?」
「やだー!!」
「いいじゃん。中山君たち混浴で待ってるって言ってたじゃない」
「え~、本気なの~?」

4、5人のOL風の女性たちが、互いにけん制しあいながらも、そんな風にはしゃいでいるのが聞こえてきます。

彼女達には、一緒に社員旅行に来たグループの中に、それぞれお目当ての男性社員がいるのかもしれません。この旅行をきっかけに、彼との距離が接近できれば、とでも思っているんでしょう。

既に結婚し子供もいる私には、それは、もう手の届かない風景でした。懐かしいような、少し羨ましいような気分に包まれながらも、私は彼女達の大胆さに驚くしかありませんでした。

会社の同僚である男性達と一緒に混浴に入るなんて。最近の若い子には別に普通なのかしら・・・・。

30代に突入したことを思い知らされた私を残し、結局彼女達は混浴エリアへゆっくりと移動していきました。少し後、岩の向こうから若い男性達のからかうような叫び声と、女性達の笑い声が聞こえてきました。

あ~、やっぱり若いのね~・・・・・・

私は彼女達に圧倒されるようにその露天風呂を出て、再び館内のお湯に向かいました。そして、もう十分というほどにその温泉を満喫した後、部屋に戻ったのです。

「随分長かったなあ、紗江子」
「遅いよ、ママ!」

旅館の浴衣姿で戻った私に、主人と息子が笑いながらそう声をかけてきました。既に二人は部屋に戻って、しばらくの時間が経っているようです。

「お蔭様で、気持ちよかったです」
すっかり疲労感を忘れた私は、少しおどけてそんな風に答えたものです。

部屋に戻った私の体は、まだ熱く火照っているようでした。それが温泉のせいなのか、或いはその夜主人に抱かれることを想ってなのか、そのときの私にはよくわかりませんでした。



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