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嘘のしずく(6)

2010 05 01
「へえ、こんなキッチンなんだあ」
興味津々という様子で、なつみが部屋の隅々までを眺めている。

それは、駐在員の妻であれば誰しも共通のリアクションといえた。自分が住んでいるのとは別のコンドミニアムがどんな風なのか、やはり気になるのだ。

香奈とは違っておとなしそうな印象だったなつみが、大場の誘いにあっさり乗ったことに、私は内心驚いていた。そして彼女の本音を確かめようとするかのように、ずるずるとこの場にまでついてきてしまったのだ。

勿論、中川も一緒だ。一人暮らしにしてはさっぱりと整理された大場の自宅で、私たちは改めて飲みなおすことになった。

「ねえ、なつみちゃんのご主人って何歳なの?」
薄めのハイボールを人数分用意しながら、大場がなつみに質問する。

「えっと・・・・、今年43かな・・・・」
「うわっ、すげえ年上じゃん」

中川が口にしたその言葉と同じ感想を、私もすぐに抱いていた。まだ20代と思われる彼女とは、少なくとも10歳以上離れていることになる。

「だってなつみちゃんってまだ20代でしょう?」
私の疑問を代弁するかのように、中川が質問を重ねた。大場がそれを聞きながら、できあがったグラスを各自に配る。

「28ですけど・・・・」
「じゃ15歳も離れてるんだ・・・・」

中川の言葉に、なつみが何か言いたそうな表情を浮かべる。しかし、ただ肩をすくめただけで、グラスに口をつけた。そんな彼女に大場が遠慮なく言葉をかける。

「なつみちゃん、ご主人と最近いつエッチしたの?」
「えっ?・・・・・」

親友のその質問を聞き、中川がおかしそうな笑みを浮かべる。本性を少しずつ見せ始めた二人を前に、私は自分がここには馴染めそうもないことを感じていた。

「子供いないんだったら、好きなときにやりまくってるんでしょう?」
「そうだよな、奥さんがこんなかわいかったら放っておかないだろう」

セクハラを匂わすような会話を交わす二人の男を見つめ、なつみが恥ずかしそうに下を向く。私たちは、床の上にクッションを敷いてテーブルを囲んで座っていた。

「どうなの、なつみちゃん?」
中川の問いかけに戸惑うなつみの様子を、私はさりげなく確認した。だが、私の心配とは裏腹に、その人妻はこんな状況を結構楽しんでいるようだった。

「私、最近すっかりご無沙汰なんです・・・・」
なつみのその言葉に、大場と中川の目が嬉しそうに反応する。

「じゃ、最後にしたのはいつ?」
「うーん、半年以上前かな・・・・・」

「えっ、じゃあ半年以上も誰ともエッチしてないの、なつみちゃん?」
「当たり前じゃないですか、主人としてないんですから・・・・」

崩した脚の位置を変え、なつみがクッションに座りなおす。その仕草が、私には妙になまめかしく思えてしまう。グラスを少し舐め、なつみが告白を始める。

「うちの主人、もう私には興味ないみたいなんですよ」
「えっ、してくれないの?」

「ていうか、もう弱くなってできないみたいで・・・・」
小声でそうささやくなつみには、人妻の色気が漂っていた。

「まさか勃たないとか・・・・」
大場の質問に、なつみはこくりと頷き、そして口を開く。

「一瞬硬くなってもすぐにふにゃふにゃになっちゃうんです・・・・・」
「おいおい、43でふにゃふにゃかあ・・・・・」

中川がおかしそうにつぶやきながら、隣に座る大場の肩をたたく。なつみの夫を想像しているのか、大場がにたにたと笑っている。

「どんな感じなの、なつみちゃんのご主人。体育会系とかじゃないんだ」
「超文科系、っていうかオタク系かな。さらに言うとメタボ体型だったりして・・・・」

香奈がいないせいか、或いは酔いのせいか、なつみは少しずつ饒舌になってきた。よく見れば、白かった頬がほんのりと赤く染まっている。

我々3人は、なつみの告白が意味することを、それぞれ考えていた。人妻の言葉には紛れもなく、男を誘うようなトーンが存在していた。

それが彼女の本音なのか、或いは無意識のうちに発したものなのかはわからない。だが、少なくとも中川と大場は、はっきりとそれを感じているはずだ。

「じゃあ、寂しいなつみちゃんを励ますゲームでもしますか」
しばらくの沈黙を破り、大場がそう提案する。立ち上がった彼は、寝室に向かい、何かを手にしてすぐに戻ってきた。

「これを順番に振って罰ゲームをしよう」
大場が緑色のサイコロをテーブルに転がす。なつみがくすっと小さく笑った。

「1が俺、2が中川、3が風間さん、で、456がなつみちゃん。さあ、始めよう!」
「ちょっと・・・・、ちょっと待ってよ!」

そう抵抗しながらも、なつみは楽しそうに笑っている。その表情を見つめながら、最初に大場が振った。2が出た瞬間、一同がどっと笑う。

「えっ、いきなり俺? 何やるんだっけ、大場?」
「そうだな、グラスでハイボールいっき、それか、何か恥ずかしいことをしてください」

大場の言葉を聞きながらも、中川は最初から何をするか決めていたようだった。その場で勝手にシャツを脱ぎ捨て、彼は瞬く間にトランクス1枚になる。

「次は俺が振るよ」
自らの行為に対する感想を聞くこともなく、中川がサイコロを転がす。今度は1だ。

「うわあ、何で俺?」
大場が大げさな様子で頭をかきながら、その場に立ち上がる。そしてなつみに見せつけるように服を脱ぎ捨て、ボクサーブリーフ1枚になった。

身長170センチ程度と、私や中川よりも背が低い大場だが、華奢な印象とは裏腹に、筋肉質の体型をしている。

「ちょっと・・・・、ちょっと待って・・・・・」
くすくすと笑いながら、なつみが二人から目を逸らす。そんな人妻をからかうように、二人はなつみに接近し、目の前に立ちはだかる。

「やだっ・・・・・、やだっ、変態、来ないでっ!・・・・・」
二人の足を押し返しながら、なつみが少しはしゃぐように叫ぶ。やがて、大場と中川が満足そうに席に戻る。

「じゃ、次は風間さんに振ってもらおうか?」
大場に渡されたサイコロを持ち、私は少々ゆううつな気分を感じていた。自分の目が出ても、彼らと同じことをするような度量を持ち合わせてはいないのだ。

何も考えずに私が転がしたサイコロが示した目は5だった。一瞬沸き返った場がすぐに静まり返る。妖しさを伴った静寂が人妻を包み込む。

「さあ、なつみさんの番ですよ」
大場が小さな声でそう指示を出す。

黙ったまま、なつみはしばらく中川と大場の顔を交互に見つめる。うつむき加減だった視線が、一転して挑発的な視線に変化していく。

「見ちゃ駄目ですからね・・・・」
ささやくように言いながら、なつみは座ったままシャツのボタンに手を伸ばし、上から順に外していく。

私は、自分が異様な興奮に襲われていることに、初めて気づく。



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