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嘘のしずく(19)

2010 05 06
屋外のプールサイドではなく、私は再び地下駐車場を経由して自宅へ戻った。

ついさっき、なつみと激しく愛し合ったあの4WD車の陰は、依然として静寂と妖しげな照明の光に包まれていた。

服を剥ぎ取られた人妻を立たせ、車に裸の背中を押し付ける。白く光る太腿を抱え上げ、欲望に指示されるままに彼女の美肉を乱暴に貫く。

貝肉のように濡れた人妻の体は、私のものに悦んで吸い付いてきた。私の背中に両腕を絡め、何度も声をあげたなつみの記憶が、私を再び誘惑する。

また会えますよね、風間さん・・・・

彼女のささやき声が、私の耳元で蘇る。別れたばかりの人妻の体をもう欲している自分を感じながら、私は彼女の夫の存在を思い出した。

なつみはもう、夫には何の愛情も感じていないのだ。だらしなくソファに寝そべり、いびきをかいて眠る西脇のでっぷりとした体は、それを証明するかのようだった。

それならば、俺はいったいこれからどうしたいんだ・・・・

あの人妻との関係に深入りしすぎたことを、私は認めないわけにはいかなかった。だが、妻、晃子への愛情を完全に失ったわけではない。

夜の生活がすっかり疎遠となったのは確かだが、それは決定的な溝とは言えなかった。だが、俺は本気で妻との関係を修復したいと思っているのだろうか。

会うのは今夜で僅か2回目なのに、なつみとは一気に親密な仲に陥ってしまった。それは、たとえば同僚の中川のように女性の扱いがうまいとはいえない私にとっては、初めてのことと言ってよかった。

私はそこに、あの人妻との特別なものを見出そうとしていた。妻のことをどこかで思いながら、そんな気分を抱く自分の勝手さを、しかし私は責めようともしなかった。

地下駐車場からエレベーターに乗り、8階のボタンを押す。地下の静けさをそのまま持ち込んだかのように、個室内には物音一つ存在しない。

フロアに降り、自宅玄関に向かって歩く。同じフロアには4世帯が、2台のエレベーターを中心に等距離に配置されている。出口からは歩いて数秒の距離だ。

その短い廊下で、私はなつみの自宅を出てから初めて、後ろめたい気分に襲われた。妻に対するものではない。ドアの向こうにいる西脇に対してだ。

万が一、あの男が起きていたらどう言い訳をすべきか・・・・

一瞬立ち止まり、私は疲労に包まれた頭を懸命に働かせた。腕時計を見れば、なつみと一緒に自宅を出てから、既に3時間以上経過していることがわかる。

素早く思考を巡らせたが、結局完璧な案は思い浮かばなかった。万一のときには、何となく考えていた説明をそのまましてしまおう、と私は言い聞かせる。

酔ったなつみを先に自宅へ帰そうと、彼女を送っていったのだ。西脇を起こそうかとも思ったが、熟睡しているようなので、いったんそのままにして自宅を出た。

この説明に、あの男が不審を抱くとは思えなかった。ただ1つ気がかりなのは、我々が自宅を出た直後に、彼が目覚めていた場合だ。あまりの長時間の不在に、彼が何か疑問を呈してくる可能性はある。

だが、それは心配しなくていいだろう。ドアを閉じたとき、あれほどに泥酔して眠っていた西脇が、あの後すぐ起きるなんて、まずあり得ないはずだから・・・・。

かすかな緊張を抱えながら、私はオートロックのドアに鍵を差し込んだ。音を立てることなくそれを静かに回し、ドアをゆっくりと開けていく。

前方にあるソファに視線をやる。心地よい酔いをまだどこかで引きずっていた私は、その瞬間、息を呑んだ。

いない・・・・・

そこに寝ていたはずの西脇がいないのだ。咄嗟に、足元に視線を投げた私に、あの男の茶色の革靴が目に入る。まだここにいるのだ・・・・。

リビングの明かりは、依然として煌々と室内を照らし出している。テーブルの上には、ワインボトルやグラスが散乱し、私が出かける前と変化はない。

トイレだろうか・・・・。希望的観測とともに、私はそう思った。リビングに接したトイレのドアに、私はそっと接近し、中の様子を伺った。

しかし、そこには誰もいる気配はなかった。使用していない他の部屋へのドアは全て開放され、それぞれの空間は闇と静寂に包まれている。

残されたドアは一つだけだった。晃子が眠る寝室へと繋がっているドアである。その向こうには寝室とともに、バスルームもあるのだ。

こっちにトイレがあることに気づかず、そちらを使用しているのかもしれない・・・・。そう言い聞かせる自分が、激しく鼓動を早めていることに、私は気づく。

あの男が妻の寝室に近づいているという情景を想像するだけで、私はどういうわけか息が詰まるほどの動揺に襲われていた。

一気に酔いが醒めるのを感じながら、私は静かにそのドアを開けた。すぐ正面に、バスルームに繋がるもう1つのドアがある。

えっ!?・・・・・

そのドアは、大きく開け放たれていた。中の照明はついていない。バスルームには誰もいないのだ。私は何が起こっているのか、受け入れることができなかった。

そのまま左奥の寝室のスペースに視線を投げる。ダブルベッドのいつもの場所に、晃子が仰向けの格好で眠っているのが見える。服装には何の乱れもない。

そのベッドの脇、妻の足元の付近に、西脇がいた。

私に背を向けるような格好で、彼は床に立っていた。妻を見下ろしながら、仁王立ちする男の巨体が、暗い室内にはっきりと浮かび上がっている。

完全な暗闇ではなかった。枕元の読書灯がついたままになっているのだ。その灯りを利用しながら、彼は私の妻の姿を見つめていた。

おい、何なんだ、いったい・・・・・

ドアのこちら側で、私は動くことも、声を出すこともできなかった。時間が停止したかのような感覚に襲われる。そこには妻の安らかな寝息しか存在しない。

いや、違う・・・・・

彼はズボンのベルトを緩めていた。自らの股間に手を伸ばし、それを激しく動かしている。妻の寝姿を静かに見つめながら・・・・。

妻の寝息に、男の欲深い息遣いが混じっていることに、私はようやく気づく。眠る人妻の目の前で自慰行為に耽る男の、汚れた息遣いだ・・・・。



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