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嘘のしずく(20)

2010 05 07
シャツを裾からだらしなく出した西脇の後姿を見つめながら、私は彼が依然として深い酔いの海を漂っていると感じていた。

正常な意識など、まるでないのだろう。目を覚ましたこの男は、大量に注入したアルコールに刺激されるように、女が無性に欲しくなったのだ。

自分の妻が部屋にいないことを彼がどう思ったのか、あまり想像したくはなかった。ともかく、妻の不在を好都合とでもするように、西脇は晃子を狙ったのだ。

しかし所詮、この男は臆病な人間なのだろう。なつみに見放されていることからもわかるように、西脇は男としての自信を既に失くしているのかもしれない。

だからこそ晃子に襲いかかることもなく、一人虚しく自分のものをいじっているのだ。

なつみを何度も抱き、日頃満たされない欲情を一気に解き放った自分と比較し、私は目の前の男に哀れささえ感じてしまった。

ドアのこちら側から私が観察していることに、彼は気づきもしなかった。一心不乱といった様子で、下半身に伸ばした右手を猿のように激しく動かしている。

この国では部屋の中では常時冷房が必要だ。いつもの通り、エアコンが稼動していることを示す静かな音が寝室内に漂っていることに、私は初めて気づく。

ベッド上の妻に視線を改めて投げる。冷房が効いた室内で、妻はタオルケットをかけることなく、仰向けに横になっている。

薄いピンクのTシャツ、そして膝丈のスエット。私たちに就寝の挨拶をしたときと同じ格好で、妻は両手を腹のあたりに置き、規則正しく寝息を立てていた。

西脇の股間のものは、私がいる位置からは直接見ることができなかった。だが、妻がもしも瞳を開けたなら、当然それを目の当たりにしてしまうだろう。

主人はもう弱くなってできないみたいで・・・・・

なつみの言葉を再び思い出しながら、私は西脇のものを想像してみた。晃子という人妻を前にして、彼はいつも以上の興奮を味わっているのだろうか・・・・。

「ふうっ・・・・・」
息を吐き出すような小さな唸り声を聞き、私は思わず身を引いた。どうやら西脇が発した声のようだ。しばらくの後、私は再び顔を覗かせた。

西脇が少しばかりベッドに近づいていた。妻を見下ろしながら上体を前傾させ、腕を伸ばしていく。彼の手が、妻の手首を掴むのが見える。

何する気だ・・・・

予想外の大胆な行動に出た男に対し、私は複雑な感情を覚え始めた。それは戸惑い、怒りであると同時に、彼の行為に支配されてしまうような気分であった。

なつみと初めて会った夜、中川の親友である大場の自宅で抱いた気分とよく似ていた。下着姿のなつみを相手に、大場が擬似セックスを披露したときに感じた、あの説明のできない感情だ。

嫉妬とは少し違う。自分が想いを寄せている女性が、別の男に何かをされる姿を、どこかで期待してしまう、という、その屈折した欲望。

そのせいだろうか、私には、妻の姿がいつもとは違うように思えてきた。

何の変化もない。そこにいるのは普段の晃子のはずだ。だが、それはいつも以上になまめかしく、性的な魅力に包まれた肢体に見えた。

なつみと比較すれば、明らかに胸のボリュームは小さい。だが、妻のTシャツの曲線は、かつて感じたことがないほどに色っぽく、男を誘っているように見える。

まっすぐに伸びた両脚は、私が思っていた以上に長く、美しい。細身なだけでなく、妻の体は熟れた肉付きをしていた。

不覚だった。いつも手の届くところにいる妻の肉体が、これほどに男をそそるものだという事実に、私は西脇という男を媒体として、初めて知らされたのだ。

男の行動は愚鈍ながら、その目的を確実に果たしていくものだった。妻の両手をシーツの上に置かせ、彼女の足元付近のスペースに彼は腰を下ろした。

わずかに横向きになった男の股間が、私の視界に捉えられる。明らかに私のものを凌駕するサイズのそれが、見せ付けるように猛々しく天井を向いている。

男の手が妻のTシャツに伸びる。じわじわと焦らすように裾をゆっくりとめくりあげていく。妻の腹部が曝け出されていくが、彼がそれで満足することはなかった。

妻の背中に指を差込み、Tシャツを脱がすように更に上にずらす。慎重に、しかし執拗にその動作を繰り返し、男はやがて、ブラに包まれた妻の乳房を露にする。

Tシャツの曲線から感じた通り、妻の小ぶりな胸の膨らみは、私の混乱を煽るように魅力的だった。それを激しく揉みしだきたいという欲求が私を襲う。

西脇は、しばらくの間、晃子の乳房をじっと見つめていた。妻の呼吸に乱れはない。夫以外の男にそんなことをされていることも知らず、依然として穏やかに眠っている。

晃子の睡眠が深いことを、西脇は最初から知っているようだった。その大胆な振る舞いに、妻が目を覚ましたときの危惧はまるで感じられない。

目の前の人妻の肉体を目に焼き付けるかのように、ベッドの端に座った男は時間をかけて晃子を眺めた。そして、随分の後、左手を妻の腹部に伸ばす。

すべすべとした妻の白い肌が、読書灯だけに包まれた薄暗い室内で、官能的に浮かび上がっている。西脇はそこに手のひらを置き、ゆっくりと撫で始めた。

女の肌に直接触れたのが生まれて初めてであるかのように、男はねっとりと、いやらしいタッチで妻の腹部を撫で上げる。

へその周辺から両脇腹、西脇の左手は時間をかけて妻の裸体の上を徘徊していく。同時に、右手でペニスを握り締め、再びそれを往復させ始める。

あくまでも、彼は自慰行為に耽りたいようだった。右手の動きを少しずつ早めながら、寝息を立てる妻の表情を卑猥な様子で覗き込む。

男が想像していることが、私にははっきりとわかった。肌の感触を堪能しながら、彼は目の前の人妻を激しく犯している自分を妄想しているのだ。

やがて、男の左手がこれまでとは別の場所に移動していく。這うように妻の上半身を辿り、最初からそれを狙っていたかのように、剥き出しのブラの表面に達する。

手のひら全体でそれを包み込む。その柔らかさを、男がゆっくり確認し始める。ためらう様子もなく、西脇の手が晃子の乳房をブラ越しに繰り返し揉みしだいていく。

「ううんっ・・・・・」
かすかな声をあげて、妻が突然首を僅かに動かすような素振りを見せた。

決して敏感ではない妻だが、乳房への責めには弱かったはずだ・・・・。その事実を思い出した瞬間、私にはそこにいる妻の姿が信じられなくなった。



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