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波涛の彼方(32)

2010 07 15
距離を詰めてくる気配はない。この部屋に彼と二人きりでいることに、朋子は依然として危惧を抱くようなことはなかった。

村岡のような男ではない。まだ大人になりきれていない、純な高校生なのだ。腕力に頼って、目の前の人妻をどうにかしようという意志は、彼にはないはずだ。

それがわかっていても、朋子は動揺を隠すことができなかった。彼の視線は、朋子のしたことを想像し、それに罪を与えようとしていた。

「ねえ、DVDを見て、濡れたんでしょう、先生?」
信じたくないという感情と、性に目覚め始めた男としての抑えきれない好奇心が、その言葉に宿っている。

「馬鹿なこと言わないでよ、宮本君・・・・・」
「ほんとなの、先生?」
「あれは男の人を喜ばせるためのものよ。私が見ても、嫌な気分にしかならないわ」

自分は嘘をついているのだろうか。朋子は、宮本を諭すように話しながらも、自分自身にそう問いかけていた。

「嫌な気分になったの、先生?」
「ええ。だって、お話が変な内容だったから・・・・・・」

それが、人妻が別の男に犯されるというストーリーだったことを認めたかのように、朋子は宮本にそう言った。その言葉は、若者を確かに刺激した。

「自分がそんなことされたらって、先生、想像しなかった?」
「・・・・・・・」
「城崎先生の前で、別の男の人とセックスすること、想像したことないの?」

宮本は、やはりDVDの内容を完全に把握しているようだ。彼は、あの映像の中の人妻を、私に置き換えようとしている。朋子はそう感じた。

別の男とのセックスという、宮本の直接的な表現が、朋子の肢体をかすかに熱くさせる。家に忍び込んだあずさにあんなことをされた記憶が、朋子の体に蘇ってくる。

あのとき、あなたは村岡に犯されていることを想像していたのよ。宮本君の言う通り、あなたはどこかでそんなことをされるのを望んでいるんだわ。心の中で、自らを非難するそんな声が、朋子に届く。

「先生、女の人だってオナニーするんでしょう?」
戸惑いの中、黙り込んでしまった朋子に、宮本は更に質問を重ねた。

「そんなDVD見たら、興奮してオナニーしてもおかしくないと思うけどなあ。先生はそのためにあれを見たんだって、クラスの連中は噂してたよ」

「そんなこと先生がするわけないでしょう、宮本君・・・・・・・」
それ以上、宮本の質問に耐えることができそうもなかった。朋子は会話を終わらせるような雰囲気で、彼に強くそう言った。

宮本は、朋子の顔を再びじっと見つめた。彼が何か思い切った行動に出てしまいそうで、朋子は怖かった。しかし、宮本はそうする代わりに、ある告白をした。

「女の人だってするんでしょう、そういうこと・・・・・・」
「さあ、どうかしらね・・・・・・・」
「僕はいつもしてるけど。先生のことを想像して・・・・・」

それが言いたくてこの子はここに来たのだろうか。そう思いたくなるぐらい、宮本の表情は真剣なものだった。冗談でかわす余裕が、朋子にはもうなかった。

グレーの綿パンをはいた、宮本の下半身に視線が勝手に流れてしまう。朋子には、畳に座る彼の股間が、不自然に膨らんでいるように見えた。

「先生とセックスしてることを想像しながら、いつもオナニーしてるんだ」
「・・・・・・・・」
「城崎先生が見ているところで、僕が無理矢理先生をレイプするんです」

じわじわと、彼が接近してくるような気がする。臆病な雰囲気が、彼の表情から少しずつ消えていくようだ。うぶな若者が、1人の飢えた男に見えてくる。

「宮本君・・・・・・、もう、よしましょう、こんなお話・・・・・・」
「先生、僕の妄想をここで現実のものにしてもいいですか?」
「駄目っ・・・・・、何を馬鹿なこと言ってるの、宮本君・・・・・・・・」

座ったまま後ろに手を突き、朋子は彼から逃げるように少し後ろに下がった。ここで彼に押し倒されたなら、朋子はそこから逃れる自信がなかった。

宮本の手が朋子の腕に触れる。顔が接近し、若者の荒い息遣いを感じる。体が言うことをきかない。それは、既に抵抗を放棄しているかのようだった。

「いけないっ・・・・・、こんなこと駄目っ、宮本君・・・・・・・・」
すぐそこにある若者の瞳を見つめ、朋子はそう懇願した。怯えた人妻のスカートから伸びる脚に視線を投げながら、彼は小声を漏らした。

「先生、じゃあ、こうならいいでしょう?」
「何、宮本君?・・・・・・・」
「ここで先生を見ながらオナニーさせてください・・・・・」

彼はそう言うと、朋子から離れ、座っていた位置に戻った。そして恥ずかしげもなく、ベルトを外し、綿パンツのジッパーを下ろした。

「やめてっ、宮本君・・・・・・・」
「これができないなら、僕、ほんとに先生をレイプしちゃいそうなんです・・・・・」

朋子の制止に構うことなく、宮本はトランクスの下に手を伸ばした。その下のものを露出させることなく、彼は右手でそれを握った。

「先生、もう我慢できないよ・・・・・・」
怯えた様子の朋子を目の前に、宮本は右手をゆっくりと動かし始めた。激しい戸惑い、羞恥心と同時に、どこか母性本能に似た感情が朋子の中に芽生えてくる。

自らの制止を素直に受け入れてくれたこの若者が、どこか愛おしく思えてしまう。自慰行為を始めた男が見ているのは、この私なのだ・・・・・・。

「先生、服を脱いでよ・・・・・・」
宮本のその要請を、朋子は小声で、駄目っ、と拒絶した。しかし、どこかでそれを少しくらいなら受けてあげてもいいと思っている自分がいた。

「じゃあ、シャツのボタンを少しだけ外して・・・・・」
教え子であったはずの若者に操られている。そう感じながらも、朋子は彼の要求を呑んだ。1個、そして2個。朋子はボタンを外し、鎖骨の辺りを露にした。

「もう少しそこを広げてください・・・・・・」
胸元が豊かに膨らんでいる。手を伸ばした朋子は、はだけた白いシャツに指先をかけた。膝を崩して座り、背後の柱にもたれかかるような格好で宮本を見つめる。

「宮本君、ねえ、恥ずかしいわ、こんな格好・・・・・・・」
全裸でモデルになっているような気がして、朋子は深い羞恥心に包まれていた。そんな彼女に対し、宮本は少しだけアクションを起こした。

「先生、もうこんなになってるよ、僕の・・・・・・・」
トランクスを引き摺り下ろし、宮本はそこに隠していたものを露にした。彼が大人になりきれていない、という自分の考えが誤りであったことを朋子は知った。



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