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Spirit in the Sky 第5章 潜在世界(9)

2010 07 28
アメブロ(http://ameblo.jp/norinori2009/)7月27日更新分が携帯閲覧不可となったため、以下に掲載します。

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いやっ・・・・・・・・・、ううんっ、そこは駄目っ・・・・・・・・・・・・・・

それは、確かにあさみの声だった。妻の完璧な肉体を浩市は思い出し、そして、激しく欲した。

妻の声は、どこか戸惑ったものだった。押し寄せる快感に、どう反応すればいいのか、迷っているような声。

それは、浩市に抱かれるときに妻が披露したのとは、明らかに違っていた。

1人の男のことを、浩市は思い出す。

早野だ・・・・・・・・・・。

今朝目を覚ましたときには、確かそれをぼんやりと覚えていた。昨夜、早野を招待し、妻を交えて3人で食事をしたことを。

早野があさみを抱いている。浩市は、そう思った。

合意に基づいた行為じゃない。あの男は、強引にあさみの服を剥ぎ取り、妻の肉体を犯しているのだ。

「何が気になるんだ? 昔のことはどうせすぐに忘れるんだぜ」

あさみの色っぽい声に戸惑う浩市をおかしそうに見つめながら、黒服の言葉がつぶやく。

「いいじゃないか、奥さんのことなんて。夫が死ねば、妻は別の男に抱かれる。それは当然のことさ」

この男は俺の心の揺れを全て見透かしている。浩市はそれを知り、少し怖いような気がした。

「君のように過去に固執してたら、いつまでたってもこの世界で迷い続けるだけだぜ」

黒服の男の言葉の意味が、浩市にはよくわからなかった。しかし、あさみのことを忘れられるはずはない。しかも、早野にその体を奪われているのかもしれないのだ。

「俺には妻を忘れることなんでできませんよ」

「どうしても、かい?」

「ええ」

浩市のそんな態度を、黒服の男は最初から予想していたようだった。かすかな笑みを浮かべながら、彼は内ポケットに手を伸ばし、あるものをそこから取り出した。

「ならば、君にはこれをやるよ」

浩市は彼に近づき、それを受け取った。

「鏡?」

小さな鏡だった。彫刻が施されたクリスタル製の台座に載った、洒落たデザインの鏡だ。

「鏡の中には別の現実世界が存在する。そう言っただろう?」

男の科白に誘導されるように、浩市はその鏡をじっと見つめた。そこに自分の姿が映し出されることはなかった。

確かにこれは鏡なのに・・・・・。不思議な感情が浩市を襲う。

やがてそこに映し出された像が動き出し、浩市の前に提示されていく。黒服の男と交代するように浩市はソファに座り、その鏡の中の映像に釘付けになった。

「どうだ、奥さん・・・・・、北原にされるより気持ちいいんだろう?・・・・・・」

自宅の寝室がそこにあった。ベッドの上で剥き出しのあさみの胸をしゃぶっているのは、紛れもなく早野だった。

二人の下半身は、確かに交わりあっている。激しくピストンされる男の腰は、あさみの肌に快感を想像させるような汗を浮き立たせていた。

「ああんっ・・・・・・・・、いやっ、そんなにしないでっ・・・・・・・・・・・・・・」

あさみの声に、どこか合意の匂いが漂い始めている。浩市は、そんな妻の態度を信じることができなかった。

「どうだ、奥さんの様子を覗き見するのも悪くないだろう?」

黒服の言葉だけが、浩市の耳に届く。彼の姿は、いつの間にか部屋から消えている。

「飽きるまで見続けるがいいさ。時間なら永遠にあるんだ」

あさみと舌を絡ませあう早野の姿を、浩市はただ見続けた。同期入社のその男に、浩市は初めて、激しい憎悪を抱き始めていた。



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