FC2ブログ

誘われた妻~香奈の秘め事(5)

2010 10 29
家の中で子育てに追われる妻ばかり見ていた私が、その思いがけない色気に気づかされ、心を乱して帰宅したのは昨日のことです。

しかし、今夜の私は更なる混乱と共に病院を後にしました。自分が何故あの医師の言葉に戸惑っているのか、私はすぐに理解することができませんでした。

親しげに彼と会話していた妻の声。そして今夜、再び病室を訪問するという水口と名乗る若い医師。無意識のうちに、私はある想像を巡らせていたのです。

娘の診断を済ませたら、彼はすぐに病室を立ち去るのだろうか。いや、そうではないだろう。あの個室に長居をし、妻との世間話を楽しむに違いない。

夫が部屋にやって来るリスクはもうないのだ。それを知っている彼は、遠慮なく妻に声をかけ、あれこれと話を繰り広げるに決まっている。

家に帰った私は、そんな想像を止めることはできませんでした。別にいいじゃないか。彼と妻が他愛もない話をしたって・・・・。

そんな風に自分を納得させようとしましたが、私にはそれができませんでした。夕方、病室で見かけた光景が脳裏に強烈に残っているのです。

あの医師は、若いだけでなくハンサムな顔立ちをしていました。女性との交際経験も、年齢の割には豊富にあるに違いありません。

そんな彼は、妻のことを何かに誘うような目つきで見つめていました。男の私には、彼が会話の先に何かを期待していることが、はっきりとわかりました。

あの医師が期待していること。頭のどこかで、私はそれを想像していました。あの病室で、彼は会話だけで満足せず、妻に妙な接近を図るのではないだろうか。

まさか、そんなことが。理性の声が、しかし、私には届きません。巧みなアプローチで妻のことを誘惑する医師の姿が、脳裏にはっきりと浮かんできます。

妻はいったいどう反応するだろうか。拒絶するに決まっている。ただ、妻は優しい心根の持ち主です。すぐには強い態度を示すことはできないかもしれません。

そんな隙を、彼は狡猾に攻めてくるのではないだろうか。止むことのない妄想を抱きながら、私は自分自身の感情の揺れに初めて気づきました。

それは、私自身、認めることができないものでした。若い医師にいたずらをされる妻の姿を思い描き、私は性的な興奮を感じ始めていたのです。

愛する妻が他の男にいじめれらている光景など、それまでの私は一度も想像したことがありませんでした。そんな状況に置かれた妻の姿に、抵抗どころか私はそれを歓迎するかのような感情を抱いているのです。

俺はそんな人間だったのか。いや、今夜はどうかしてるだけだ。そんな問答を頭の中で延々と繰り返し、私はその夜、遅くまで寝入ることができませんでした。

午後11時頃、私は思い切って妻の携帯にメールを送りました。おやすみの挨拶を送ったのですが、妻の返信が届くことはありませんでした。

私の妙な心配をよそに、妻は既に寝入っているのだろう。そう納得させながらも、結局私は、明け方近くまで寝付くことができませんでした。

翌日、午前中に妻からメールがありました。あかりの熱は7度台前半まで下がったが、別の抗生剤を使用する予定のため退院は今日は無理、とのことです。

その日、定時まで仕事をした私が病院に着いたのは、午後7時過ぎでした。あかりがベッドから下り、床の上を好奇心旺盛に歩き回っています。

「あかり、そんなに元気なのか」
驚いた私は、思わず娘を抱き上げました。依然点滴の管は繋げられたままで、娘が歩くたびに、妻が台車を移動させているようです。

「もう大変よ~、歩く、歩く。点滴が外れちゃうよ~」
私の腕の中の娘を笑顔で見つめ、妻がそう言います。半袖の白いシャツを着た妻は、これまでとは違い、今日はタイトスカート姿です。

「この調子じゃ、明日は退院できるんじゃないか?」
「でも、まだ熱が完全に下がりきってないのよね。それに肺の音もするんだってさ」

私は娘の胸に耳を当て、その音を聞こうとしました。だが、ぜいぜいするような音は少しもしません。そんな私の仕草に、妻がおかしそうに言います。

「パパ、聴診器じゃなきゃ聞こえない音だと思うよ」
「そうか。こうやって聞くと、いたって健康だけどなあ」

「あの若い先生が言ってたわよ。あかりの肺炎、相当しつこいタイプみたい。普通はこんな風に2種類の抗生剤を使わずに退院するケースがほとんどだって」

妻があの医師のことを口にしたので、私は再び妙な戸惑いを思い出しました。昨夜、この部屋で何があったのだろうか・・・・。

「香奈、昨日はあれからまた来たの、あの先生?」
「来たわよ。違う先生も来たし。もう、あかり人気者なんだから」

そう話す妻の口調には、何かを隠しているような雰囲気は全くありません。私は、昨夜の自分の考えすぎが、どこかおかしくなってしまいました。

病院側の説明では、明日朝、熱が下がっていれば、再度レントゲン写真を撮り、影が完全に消えたことを確認して退院となるだろう、とのことです。

娘のほぼ完全ともいえる回復と、妻のいつもと変わらぬ様子に私は安堵を覚え、しばらくの後、病室を出て家に向かうことにしました。

今夜が1人で過ごす最後の夜になるのかな。私はそんなことを思いつつ、エレベーターを下り、病院1階の廊下を出口に向かって歩きました。

昼間は患者で一杯の受付付近も、今は暗く静まり返っています。外に出ようとしたとき、私は自動ドアの向こうから誰かが歩いてくることに気づきました。

「ああ、どうも。あかりちゃん、随分よくなってきましたね」
外の駐車場から病院内に入ってきたのは、水口でした。

「どうもいろいろとありがとうございます。お蔭様で何とか・・・・」
「順調に行けば明日退院できるかもしれませんね」

「そうですね。今はもう床を歩き回ってましたよ」
私のその言葉に少し笑みを浮かべた後で、医師はさりげなく言いました。

「奥様がいらっしゃらないと、ご主人もお寂しいでしょう?」
「えっ?」

「お綺麗な奥様ですよね。我々の間でも評判ですよ、奥様」
いたって普通にそう言うと、彼は軽く頭を下げ、病院内に消えていきました。

それは、ようやく平穏を取り戻した私の心を、再びかき乱すには十分すぎる言葉でした。私の直感は間違っていなかったことを、彼は自ら告白したようなものです。

家に帰ってからも、私は昨日以上の混乱から逃げることができませんでした。再び朝までそんな気分で過ごすことなど、到底できそうもありません。

私が1つの決断をしたのは、その夜、遅くのことです。



(↑クリック、凄く嬉しいです)


エルシーコスメ&ラブグッズ体験談

Comment

管理者のみに表示