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誘われた妻~香奈の秘め事(23)

2010 11 26
「お招きいただいて申し訳ありません、大島さん」
玄関口に立った彼の姿を見て、私は緊張を高めずにはいられませんでした。

先日初めて会ったばかりの男、山崎がカジュアルな服装に身を包んでそこにいます。彼の表情に、戸惑いや隠し事の気配を窺うことはできません。

「さあ遠慮なく、入った、入った」
平静を装いながら、私は彼を自宅の中に招き入れました。リビングに足を進めた彼の姿を見た香奈に、しかし動揺の色は浮かびません。

「いらっしゃいませ。主人がいつもお世話になっています」
「香奈、こちらが今夜のゲストの山崎君だ。取引先でいつもやりとりしてる方だよ」

山崎という名を聞いても、依然として香奈の表情に変化はありません。笑顔で会釈をし、テーブルの上の準備を続けています。

リビングのソファに山崎を座らせ、私は彼の意志を確認するようにちらりと見つめました。彼もまた、それに応えるように軽く頷きます。

事前に山崎と相談した計画が、私の頭の中に蘇ってきます。今更ながら、私は自分が彼に打診した内容に戸惑いを覚えてしまいました。

「妻をもう一度、抱いてくれませんか?」
あの夜、私が突然発した言葉に、山崎は明らかに困惑した様子でした。その背景を多くは語らず、私はただ彼に要請し続けました。

「いったんそんな行為が始まったら、僕は止めたりできませんよ」
私の願いに対し、しばらくの沈黙の後、山崎が口にしたのはそんな言葉でした。

「ご主人の考えが途中で変わっても後には戻れません。それでいいんですか?」
「え、ええ、構いませんよ。それは覚悟の上でこんなことお願いしてますから・・・・」

8年前の記憶をさらりと話したにもかかわらず、この男には妻の体への欲望が依然として存在しているのだ。彼の態度に私はそう確信し、興奮を高めました。

そんなプランが夫によって仕組まれているとは思いもせず、妻は楽しげな表情で食事の支度を進めています。そして、夕食が開始されました。

ビールの乾杯には、妻も参加しました。母乳に影響があるからということで、その量は控えめですが、ともかく酒を口にした妻に、私は妙な気分にさせられます。

他愛もない会話を交わしながら、食事は進んでいきました。山崎の演技は全く見事なものでした。私との付き合いを、詰まることなく言葉にします。

「ご主人にはいつも助けてもらってばかりなんです。奥様のこともよく聞いていますよ」
「まあ、そうなんですか・・・・・」
「出来すぎた女房だって、自慢話ばかりですけどね」

その言葉に香奈は微笑みながら、山崎のグラスにビールを注ぎます。私の指示通り、妻は完璧なホステス役をこなしています。

それにしても、妻の穏やかな表情には全く変化が現れません。8年前のこととはいえ、山崎のことをそろそろ思い出しても不思議ではありません。

彼の風貌を見る限り、過去とそれほど変化があるようには思えません。これだけ会話を交わしていれば、声や雰囲気で何か気づくはずです。

それに、山崎は確かこんなことも言ってました。美肉に挿入したペニスを激しく往復させ、クライマックスを迎えようとしたとき、妻がこう漏らした、と。

ああっ、山崎さんっ・・・・・・・・・

奥さんは私の名前を最後に呼んでくれたんです。山崎は、私のマゾヒスティックな興奮を見透かすように、かすかに笑みを浮かべながら、満足げにそう証言しました。

ならば、山崎という名前は、香奈の記憶に深く刻み込まれているはずです。それなのに、妻は私が彼の名を紹介しても、何ら戸惑う様子を見せません。

あの夜、妻はかなり酔っていたのかもしれない。山崎や諸原綾香にはそう見えなかったのかもしれないが、実は相当に酒を飲んだ後だったんじゃないのだろうか。

妻が記憶を失くすほどに酔った姿を一度も見たことがないのですが、私はふとそんなことを考えました。だからこそ、この男のアプローチを拒絶することができず、最後にはセックスまで許してしまったのではないのか。

酩酊している最中に訳のわからない男に強引に抱かれた、という苦い記憶しか残っていないのかもしれない。夫には当然そんな事実を明かすことはできません。

山崎と楽しげに話を進める妻の姿に、私はそんな確信を深めていきました。それは、今夜妻に罠を仕組んでしまったことを少し後悔させるものでもありました。

妻は、やはり自分から男を求めるような奔放な女ではない。山崎には酔って意識のないときに犯され、そしてあの若い医師に対しては、娘を回復へと導いてくれたことへの恩義もあり、断りきれなかっただけだ。

まるで、私の心の中で、善人と悪人が押し合っているようでした。山崎のことを全く覚えていない様子の妻を見て、私の中の善の部分が目覚めたのです。

妻に罰を与える必要などない。妻は快感を求めて自分から体を許したわけではないのだ。そんな声に反撃するように、邪悪な別の声も聞こえてきます。

お前は妻が別の男に抱かれる姿をもう一度見たいんだろう。自分には披露しないようないい声をあげる妻を見て、激しい興奮を感じたいんじゃないのか。

このまま山崎に好きにさせればいい。ここまで計画を進めてしまったのだ。もう後戻りできないことなど、お前が一番わかっているはずだ。

「そろそろデザートにしましょうか?」
対極な思いを錯綜させている私を横目に、妻と山崎はずっと話をしていたようです。気づけば随分と時間が経過し、食事もほぼ終わっています。

山崎と私にそう告げると、妻は立ち上がり、台所に向かいました。正装ともいえるシックな服装のまま、何か果物を切り始めたようです。

「ちょっとトイレに行ってくるよ・・・・」
私もまた立ち上がり、心を落ち着かせようと、その場を離れました。無意識のうちに、随分とビールを飲んでしまったことに気づきます。

一度始めたら止めることはできませんよ。山崎の約束の言葉を私は思い出します。今ならまだ引き返せるんじゃないのか。そんな思いが私を揺さぶってきます。

用を足した私は、洗面で手を洗い、2人がいるダイニングに戻ろうとしました。そのとき、妻のささやくような声が、私の耳に確かに届きました。

「ちょっと・・・・・・、もう、酔っちゃったんですか、山崎さん・・・・・・」
「そんなことないですよ、奥さん・・・・・」

細い廊下にいる私には、死角となって2人の様子を見ることができませんでした。その会話は、私にちょっとした光景を想像させるものでした。

台所でデザートの準備をしている妻の背後に、ぴたりと密着する山崎。スカートの上から、彼は妻のヒップをいやらしく撫で回しているのではないでしょうか。

「いくら彼女がいないからって、駄目ですってば、山崎さん・・・・・」
「ねえ、奥さん、1つ聞いてもいいですか?」

「何ですか?」
「僕たち、昔どこかで会ってませんか?」

山崎の大胆な質問に私は思わず息を呑み、その場から動くことができませんでした。果たして妻がどんな風に答えるのか、私はただ、その言葉を待ちました。



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