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近くに住む男(1)

2010 12 17
「あなた、今日、またお向かいさんとひと悶着あったのよ」
松下依子は、帰宅した夫、忠弘に不満そうな口ぶりでそう言った。どこかうんざりしたような色を顔に漂わせながら、忠弘が口を開く。

「また車を邪魔されたのか?」
「そうなの。結衣が幼稚園から帰ってきたから、買い物に行こうとしたときに・・・・」

疲れた様子でスーツを脱ぐ夫を見つめながら、依子は困惑した表情を浮かべた。夫とこんなやり取りをするのはもう何度目だろうか。

依子がこの新居に引っ越してきたのは半年ほど前のことだ。1人娘である結衣の幼稚園入園にあわせ、以前から戸建のいい物件を探していた。

会社員の忠弘は43歳、妻、依子は38歳である。知人同士の紹介で知り合った2人は、結婚して8年になろうとしていた。

住んでいたアパートとはかなり離れた距離だったが、新築のいい物件を見つけた。新興の街にあるその建売住宅を2人はやがて購入し、引越しをした。

新居での生活は快適なものだった。しかし、全てが完璧だったわけではない。夫の仕事は以前と変わらず多忙で、海外出張も頻繁にあった。

待望の子供が5年前に誕生して以来、夫婦間にはどこか距離ができ始めていた。関係の悪化と呼べるほど、深刻なものではない。

頻度は減ったとはいえ、忠弘がベッドで依子を抱いてくれる夜もあった。しかし、夫とのすれ違いを感じる時間が、依子には増えたような気がしていた。

夫は仕事で疲れているのだ。責める資格など私にはない。帰宅しても、妻や娘のことにあまり関心を向けない夫の態度にも、依子は納得しようとしていた。

だが、依子の心をかき乱すものは他にもあった。特に縁があったわけではない場所での新生活。何らかの問題はあるだろうとの彼女の予想は的中した。

築数年の家が整然と立ち並ぶ新興のエリアである。依子の家のちょうど正面、僅か数メートルの細い道を挟んだ向かい側の家に住むのは、本城という家族だった。

いや、正確に言えば家族ではない。既にその家には3年ほど前から暮らしているとのことだが、現在は妻と子供はおらず、夫だけが住んでいる様子なのだ。

「ねえ、お宅のお向かいさん、少し気をつけたほうがいいわよ」
引越しして間もなく、依子はそんな忠告を近所の年配の主婦から聞いた。

「えっ、本城さんのことでしょうか?」
「そうよ。ねえ、引越しの挨拶はどうだった?」

「ご主人に一応挨拶はしましたけど・・・・・」
「感じ悪い人だったでしょう?」

「さあ・・・・・・・・・」
「あそこのご夫婦、今、別居中なのよ。ご主人に問題があってさあ」

その主婦の話によれば、本城という男は、以前は会社勤めをしていたらしいが、リストラの憂き目にあったようで、現在は無職とのことである。

そして、それをきっかけに家庭内で怒鳴りあうほどの喧嘩が目立つようになり、愛想をつかす形で、妻とまだ幼い息子が1年ほど前に家を出ていったというのだ。

以前から、本城は度々近所とトラブルを起こす男だったらしく、リストラや別居騒動も、周囲は皆、夫である本城が悪いと考えているようである。

「だからね、あまり近づかないほうがいいわよ、あそこのご主人には」
そんな話を聞いた数日後のことだった。依子が身をもってそれを知ったのは。

「すみません、車が出せないんですが・・・・・・」
きっかけは車だった。その日、依子が出かけようとした際、道路に止めてある本城の車が邪魔で、車庫出しができなかったのだ。

インターホンを通して、依子は本城に接触を試みた。しばらく後、男の不機嫌そうな声が響いた。それは、引越し挨拶のときの声とはまるで違った。

「自分の家の前に車止めて、何が悪いんだ?」
「で、でも・・・・・・、私の車が出せないんですが・・・・・」

「奥さん、まさか運転下手なんじゃないのか? 余裕で出せるでしょうが」
「いいえ。出せないものは出せないんです。早く車庫に移動してください!」

元々体育会系の依子は、芯は相当に強い女性である。引越し早々なめられては困るとばかり、つい勝気な口調で叫んだ。男の態度に我慢ならなかったのだ。

「うるせえ奥さんだなあ・・・・・・・」
男が外に出てきたのは、5分以上経ってからだった。グレーのスエット上下に身を包んだ、だらしない格好である。恐らく40歳前後だろうか。

「早く、お願いしますね」
依子はそう言うと、さっさと自分の車に戻った。本城は不満そうな態度で車を動かすと、走り去る依子の姿を運転席からじっと見つめ続けていた。

そんなトラブルがこの半年で何度起こったかわからない。当初は無関心だった夫、忠弘が、妻からの懇願に応え、一度本城へ話をしたこともある。だが変化はなかった。

「仕方ない男だな。しかし、あまり口うるさく言ってもな」
「でも、あなた・・・・・・・」

「ここは賃貸じゃない。生涯住むんだから、近所と変な関係になっても困るだろう」
「それはそうだけど・・・・・・」

「まだ、ご家族は戻ってない様子なのか?」
「1日中、ご主人だけ家にこもってるみたい。結衣のことも心配になっちゃうわよ」

リストラされたという噂の真偽はわからないが、少なくとも本城に仕事を探している様子はなかった。依子は、外出をする度に、男の車の存在を気にかけていた。

夫にそんな相談事をしてから1週間ほど後のことだ。その日の午後、幼稚園から帰った結衣を水泳教室に連れて行くため、依子は車で出かけた。

幸いにして、本城の車は道路に駐車されてはいなかった。彼の家の車庫にもない。珍しく昼間から外出しているようだ。

水泳教室は午後5時10分に終わる。年末の気配が漂う街は、もうとっぷりと日が暮れている。スポーツクラブで娘を乗せた依子は、家路を急いだ。

「結衣、今日はパパ、また遅いから2人でご飯食べようね」
「うん!」

自宅近くの路地に到着した頃には、街灯の光がまぶしく見えるほどに、すっかり暗くなっていた。家の前で減速し、依子はちらりと本城の家を見た。

車庫にはまだ車がない。家の中の照明もついていない。珍しく、こんな時間になってもまだ不在のようだ。そんな確信が依子にちょっとした油断を与えた。



(↑短編という予定を変更し、いつも通りの連載とさせてください。クリック、凄く嬉しいです)

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Comment
・・・・なんだか寝取られの予感・・・・ドキドキ・・・。
がんばって下さい。
今回は時間をかけて・・・じゃないんですよね
レイプでしょうか、近所の男に・・・
すごくやらしいの期待です。

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