FC2ブログ

近くに住む男(7)

2011 01 07
男の態度に、人妻の逃げを許す甘さはなかった。再び椅子に深く腰を下ろした本城は、体重計の傍らで立ち尽くす依子の肢体をじっと見つめている。

「『目で楽しませてあげるわ』って強気に言ってくれたじゃねえか、奥さん」
「そんなこと・・・・・・、言ってなんかいません・・・・」
「言葉じゃなくても態度がそう言ってたぜ。汚い男を軽蔑する視線でな」

確かに、依子は本城に屈しないよう、敢えて挑発するような態度をとっていた。しかし、今、その強い意志は、依子の中で危うい状態となっている。

「脱ぐんだ、奥さん。俺にどんな仕打ちをしたのか、忘れたのかい?」
高鳴る鼓動はいっこうに収まろうとしない。閑静な住宅街、平日の昼間にこんなことを要求されている自分を思いつつ、依子は決意する。

「わかりました・・・・、これを脱げばいいんですね・・・・・・・・」
「そうだ。そのワンピースを脱いでもらおうか」

少しためらった後、依子はワンピースの腰紐に腕を伸ばした。椅子に座る男を見つめ、焦らすようにそれを解く。本城の視線の鋭さが増していく。。

胸の前で重ねられた布地を、依子は左右にゆっくりと開いていく。男に体を捧げるようなそんな仕草に、依子は恥辱と熱を帯びた揺らめきを感じる。

「いい眺めだぜ、奥さん。ゆっくり脱いだほうが男が喜ぶって、知ってるようだな」
「からかうようなこと、言わないでください・・・・・・・」

依子の鎖骨から肩の辺りが露にされていく。肘の先にまで届いた七分袖から左右の腕を交互に抜き去り、依子は大胆にワンピースを床に落とす。

ベージュ色をしたスリップ姿の人妻がそこに現れた。肩紐で吊るされたその下着は、胸元にレースが施され、どこか妖しげな香りを漂わせるものだった。

男に計測されたばかりの人妻の乳房の谷間が、スリップのレースの下から覗いている。艶めいて光るその生地の更に裏側は、透けて見えることはない。

「この格好でいいかしら・・・・・・」
はっきりとした口調でそう言いながらも、依子はたまらない羞恥心を感じていた。スリップ姿を夫以外の男に見つめられるなんて、勿論初めてのことである。

いや、夫にさえ、こんな自分の姿を楽しんでもらったことなどないかもしれない。最近では、彼は妻の体に何の興味もないようなのだ。

「こうやって見ると、やっぱ陸上選手って感じがするねえ」
「もう昔のことですから・・・・・」

「短距離選手にしては胸がでかいなあ、奥さん。昔からそうだったのか?」
「い、いえ・・・・・・、これは・・・・・・・」

「旦那に毎晩揉んでもらって、更に大きくなってるんだろう?」
「別に・・・・・・、もうそんなことする年齢でもないですから・・・・・・」

依子は再び、そんな言葉を繰り返してしまう。夫とのぎくしゃくした関係を自分から告白しているようなものだ。依子は内心、焦りと戸惑いを感じる。

「まあ、その格好で許してやろうか。ほら、体重計に乗りな」
「は、はい・・・・・・」

胸元を隠すように腕を交錯させながら、依子はそっと体重計の上に足を運んだ。表示された数字をちらりと見つめ、本城に視線を投げる。

「51Kgです・・・・・・・」
男に訊かれる前に、依子は自らそう言った。

「奥さん、あんた歳はいくつだい?」
「38ですが・・・・・・・」
「熟れきった主婦ってとこだな。旦那は毎晩離さねえだろう」

本城はそうつぶやきながら、ゆっくりと立ち上がった。体重計から降りた依子は、その場に固まったように立ち尽くす。男の息遣いが再び接近してくる。

「しばらくこの格好でいるんだ、奥さん」
クールな口調でそう言った本城は、依子を鏡台の前に誘導した。窓からの景色を横に見ながら、依子は自らの下着姿を鏡に映し出す。

足を引きずりながら、本城は自分が座っていた椅子を移動させた。そして、鏡の前に立つ依子から少し離れた後方にそれを置いた。

「ここからしばらく楽しませてもらいたいんだが、ちょっと物足りねえな」
背後から接近してきた男の手が、唐突に依子の手首を掴む。

「やめてくださいっ・・・・・・・・・」
「おいおい、そんな恐い声出すなよ、奥さん。別に襲うつもりなんかないぜ」

「・・・・・・・」
「それとも、そうされたいのかい、奥さん?」

主導権は完全に男が握っていた。自分でも気づかぬ心の奥の光景を男に見透かされているような気分になり、依子は何の抵抗もできない。

いつしか本城はあのメジャーを手にしていた。依子の両手を彼女自身の後頭部に誘導する。そこで固定した人妻の手首を、男はメジャーで素早く縛る。

「ちょっと疲れるだろうが、このまま手を上げてるんだぜ、奥さん」
背後からそうささやきながら、本城は満足そうに依子から遠ざかる。

男が椅子に腰を沈ませる気配がする。映し出された自らの姿と重なり、男の様子は鏡の中で確認することができない。依子は自らの下着姿をじっと見つめる。

陸上部の中心選手として活躍した学生時代に比べれば、随分と肉付きがよくなった気がする。それも当然だ。もう38歳の母親なのだ。

にもかかわらず、男はそんな依子の肉体を「熟れきった」と表現した。だが、彼の指摘とは異なり、夫はそんな妻の体を、もう抱こうともしてくれない。

女性として、私の魅力は朽ちてしまったのだろうか。最近ではそんなことさえ思うようになっていた依子に、本城の行為は何かを思い出させるものでもあった。

「後ろから眺めてもいい体してるねえ、奥さん」
再び、依子の肉体を褒めるような言葉を本城が口にする。男の視線が、スリップ越しに素肌の上を這い回っているような気分にさせられる。

「旦那ともうそんなことするような年齢じゃないって、奥さん、あれ、本当かい?」
依子が繰り返した言葉を確かめるように、本城が訊いてくる。どう答えるべきかしばらくの逡巡の後、依子は前を向いたまま小声で答える。

「もう娘もいますし・・・・・、新婚でもないですから・・・・・・・・」
「しかし、旦那が求めてくるだろう?」
「主人は・・・・・・、そんなタイプじゃありません・・・・・・・」

自分が喋りすぎていることに、依子は気づく。こんな男にプライベートなことをそこまで告白する必要などない。依子は同じような悔いを繰り返す。

「それが本当だとしたら・・・・、何とももったいない話だねえ・・・・・」
本城のつぶやきが、依子の心の深い部分にまで届く。



(↑クリック、凄く嬉しいです)


DMMコミック 「母親失格」


DMMゲーム「妻陥落」(体験版ダウンロード有)

Comment
明けましておめでとうございます。
今年も小説楽しみに読ませて貰います(o^v^o)
今回のストーリー設定はつまらないですね。

管理者のみに表示