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近くに住む男(9)

2011 01 11
「そういえば依子、あの件はどうなったんだ?」
「えっ?・・・・・」

その夜、いつもと同じように深夜に帰宅した夫、忠弘にそう聞かれたとき、依子はすぐに答えることができなかった。

「向かいの本城さんの件だよ。車と接触したって言ってただろう?」
最近では妻のことを気にもしていないような忠弘にしては珍しい態度だった。

「え、ええ・・・・、実は今日になって・・・・・・」
「何か文句を言ってきたのか?」

「い、いえ、そういう訳じゃないけど、足の怪我を見せにここにやって来て・・・・・」
「怪我? 酷い怪我なのか?」

「つま先の辺りを骨折したらしいの・・・・・」
「骨折だって?」

忠弘の表情に険しい色が浮かぶのと同時に、依子の脳裏に昼間の寝室での出来事がよぎった。そして、携帯に届いたあのメッセージも・・・・・。

「あなた、でも、別に何か要求されるようなことはなかったわ。こちらが丁重にお詫びしたら、今回の件はそれでおしまいにしてくれるって・・・・・」

自らの秘密を隠すように、依子は早口で夫にそう説明した。本城は確かにそう言ったのだ。俺への償いはこれで終わりにしてやる、と。

「そうなのか? 少し難しそうな男だって、何度も文句を言ってたじゃないか」
「そうね・・・・、私も少し驚いたんだけど、今回の件はもういいそうよ」

「やっぱり、それほど悪い男じゃないんじゃないのか? 真向かいに住んでいるんだから、これからも付き合っていくしかない。まあ、うまくやってくれよ」

「ええ、そうするわ・・・・・・」
夫との会話を終え、依子は安堵を感じるとともに、嫌な汗をかいている自分に気づく。その夜、依子はすぐに寝つくことができなかった。

事故の件は既に終わった。危惧したように、金銭を要求されることもなかった。しかし、依子は感じている。事態はそれ以上に悪化してしまった、と。

本城に奪い去られたショーツがいったいどんな状況だったのか、依子には確信はなかった。しかし、ぼんやりと想像できないことはなかった。

それは、男が残したあのメッセージを覆すどころか、肯定してしまうものだった。自らの肉体が、寝室でどう反応してしまったのかを思い、依子は困惑に包まれる。

あれほどに憎らしく、汚らわしいとさえ形容できる男に、自分がなぜあんな風な反応を示してしまったのか。依子はそれを認めたくはなかった。

確かに、夫との関係は微妙なものである。セックスレスと呼んでいいのかもしれない。だからといって、本城のような男に何かを感じるものなのだろうか。

心のどこかで、依子は夫のことを裏切ってしまったような気がしていた。果たして夫はどう思うだろうか。昼間起きた事実を知ったなら。

本城は暴力的な行為に出たわけではない。それどころか、あの男は一指たりとも私の体に触れてはいない。その事実が、依子を苦しめ続けている。

男に強引に導かれたのではない。私は自分から、あんな敏感な反応を示してしまったのだ。夫がありながら、私はそんな女だったのだろうか。

とにかく隠し通すのだ。本城がどんな行動に出るつもりなのかはわからない。だが、彼の言葉を信じるなら、これで終わりだと考えられなくもない。

ならばこそ、隠し通さなくてはならない。夫には、何があっても今日のことは知られてはいけない。奪われた下着のことも、もう忘れるのだ。

忠弘の出勤は早い。翌朝、浅い眠りを感じながらも依子はベッドから起き、夫の朝食の準備をした。これといった会話もなく、忠弘は食事を済ませ、家を出た。

「じゃ、いってくるからな」
「ええ。気をつけてね」

夫を見送った後、依子は娘を起こすために2階へとあがった。娘の部屋は夫婦の寝室の隣だ。部屋のカーテンを開け、依子はふと家の前に視線を投げた。

・・・・・・!

出勤したはずの夫が、まだそこにいた。1人ではない。傍らにはあの男がいる。いつものように薄汚れたグレーのスエット姿で。

緊張と困惑、そして怒りを感じながら、依子はそこから動くことができなかった。出勤する夫のことを、あの男は待ち受けていたのだ。

本城が一方的に何かを喋り、夫がそれを少し困惑した様子で聞いているのが見える。本城の顔に時折笑顔が浮かぶ。いったい何を話しているというのか。

まさか、昨日の昼間の出来事を・・・・。いや、そんなことを自分から話すはずがない。だが、笑顔の中にも、本城の顔つきに時折真剣な色がうかがえる。

喉の渇きを覚えるほどの焦燥感が依子を襲う。二人が話していたのは1分にも満たない時間だった。やがて、夫は軽く会釈をし、会社への道を歩き出した。

狭い道路の中央で立ったまま、本城がその後姿を見ている。そして、自分の家に戻ろうとしたその瞬間、ちらりと視線を動かし、依子がいる窓際を見つめた。

逃げることができなかった。呆然とした様子で立ち尽くす依子のことを、本城は狡猾そうに笑いながら見つめ、そして家の中へと消えていった。

夫に何を話したのだろうか。覗き見をしていたことが露見するようで、夫にそれを聞く勇気もない。依子はどうすることもできなかった。

娘の結衣が幼稚園に出発した後、依子は自宅内で1人になった。家事に手をつけることもできない依子の携帯に、着信音が響く。

「おはよう。奥さん。よく眠れたかい、昨日は?」
声の主が誰なのか、依子にはすぐわかった。

「本城さん、あなた、いったい夫に何を・・・・・・・」
「あんたの奥さんの下着は昼間から濡れてるぜって教えてやったんだよ」

言い終わると同時に、電話の向こうで本城がおかしそうに笑い出す。怒りを超越した羞恥心に襲われ、依子は我を忘れたように男に訴える。

「返してください・・・・、あなたが昨日、持って帰ったものを・・・・・・」
奪われた下着にはもう執着しない。そう誓ったはずなのに、依子はそれとは逆の要求を口にしていた。それこそが、人妻の本音だった。

「奥さん、せっかくだが返すわけにはいかねえよ。大切な証拠だからな」
「証拠・・・・・・・」

「人妻が近所に住む嫌われ者に心を許した証拠だよ。旦那がこれを見たらどう思うか。へへっ、どうした、奥さん、黙っちまってよ」

自らの観測が甘すぎるものだったことを、依子は今更ながら感じていた。この男にとって、ゲームは終わってなどいない。始まったばかりなのだ。

「そう落ち込むなよ、奥さん。だったら返してやろうか?」
「ほんとですか?・・・・・」

男の言葉に翻弄されている自覚もないまま、依子はそう声をあげた。人妻の揺れる心を巧みに掌握するように、本城は1つの交換条件を口にする。



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Comment
のりのり先生、かぜですか?
応援してます
続きまってますよ~
お体に気をつけて。
更新頑張ってください
のりのり先生、カゼひかれたのでしょうか?
つぎ楽しみにしています。
弱みに付込むシチュがうれしいです。
応援しています。
がんばってください。
PCクラッシュでしょうか?
待ち遠しいです。
応援してます。
インフルでしょうか??

待ってますよう・・・。
初めてコメントします☆
いつも先生の作品を読んで官能に浸ってます〃

最近更新されていないので心配してます。

更新楽しみにしてますね☆
作者 辞めたか

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