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近くに住む男(17)

2011 02 16
あの夜、本城の言葉にいざなわれるままに、窓辺での行為に淫してしまった自分。封印しようとしていた記憶が、今、画像となってはっきりとそこにある。

いつの間にこんな写真を・・・・・

今更後悔したところで遅かった。依子は、あの夜、本城が双眼鏡らしきものを手にしていたことを思い出す。あれは、カメラだったのかもしれない。

夫とキスすることを要求され、それを拒絶した依子。だが、奪い去られたショーツを取り戻すには、男の別の指示に抗うことはできなかった。

大胆に下着姿になり、携帯を片手で握り締めたまま、依子はもう片手で自らの乳房を揉みしだいた。男が指定した3分間という短いひととき・・・・。

強制された行為であったはずなのに、依子はあのとき、妙な気分に包まれていた。それは、夫からはもう何ヶ月も愛されていない乳房を愛撫する度に高まった。

3分間が早く終わることを祈りながらも、依子はいつしか瞳を閉じ、激しく胸の膨らみをいじめた。カメラを抱えた男にそんな姿を撮影されているとも知らずに。

本城がこんな写真をメールに添付してきた意図ははっきりしている。あの男は脅迫しているのだ。今夜、来なかったらこの写真を夫に見せるぞ、と。

依子に勝手にそう思わせるかのように、本城はメールでは写真の存在については全く触れていない。男の狡猾さがそんなところにも窺えるような気がした。

いったいどうするべきなのか。依子は立ちすくんだまま、考えを巡らせた。夫に相談することはできない。全てを告白できるだけの親密さが、今の夫婦間にはないのだ。

榎本が謝罪を要求しているのは事実なのだろうか。彼は、本城の家に今夜、本当にやって来るというのか。依子は、再びそんな疑問を抱いた。

嘘に違いない。本城と榎本は、一緒に悪事を働くほど良好な間柄とは思えない。依子の心のどこかに、榎本は自らの味方だという考えが、依然あった。

だが、これが本城の罠だとしても、今の私にそれを無視することはできない。依子は携帯画面に浮かび上がる自らの姿を見つめながら、そう思った。

この写真が存在する限り、あの男は執拗に接近を図ってくるに違いない。すぐそこに男が住んでいる以上、私は逃げることはできないのだ。

だとしたら、今夜、決着をつけるしかない・・・・。あの男が説得できるような人間でないことはよくわかっていたが、それでも望みはあるような気がした。

もしも榎本が本当に来るのであれば、依子の抱いた希望はもう少し大きくなるような気がした。彼であれば、本城を諭してくれるかもしれない・・・・。

思い悩む人妻をあざ笑うように、時は刻々と過ぎ去っていく。依子は覚悟を決めた。窓際に向かい、男の家をじっと見つめる。

困惑と怒り、そして昂ぶりを伴った妙な緊張感。その日、依子はそんな複雑な気分をずっと引きずったまま過ごした。

夜は瞬く間に訪れた。いつものように娘を寝かせ、依子はシャワーを浴びた。今夜あの男の家に出かけるのだと思うと、肢体の火照りをいつも以上に感じてしまう。

しかも、夫に内緒で外出するのだ。勿論、依子にとってそんな行動は初めてである。もしもこれが夫に露見してしまったならどうなるのだろうか。

その時は全てを告白するしかない。依子はそう考えながらも、その可能性が低いこともわかっていた。夫は寝入った後、途中で目を覚ますことはまずないのだ。

忠弘の帰宅は午後11時を少しまわった頃だった。今夜もまた、夫は酒を飲んできたようだ。一瞬、依子は想像する。夫が別の女と一緒のところを。

妻に言葉をかけることもなく、忠弘は浴室に直行した。10分程度でシャワーを済ませ、いつも通りに2階の寝室に直行する。依子の予想通りだった。

だが、今夜は少し違った。階段を昇りかけた忠弘は、何かを思い出したように突然階下に戻ってきたのだ。ソファに座ったまま、依子は鼓動を早めた。

「依子、明日は少し早く起こしてくれ」
「わかりました・・・・、30分くらい早くしましょうか」
「そうだな。そうしてもらおうか」

いつもと変わることなく、既にシャワーを済ませた妻はパジャマ姿になっている。そんな依子の姿をちらりと見た後、忠弘は再び階段へと向かった。

夫が寝室に入ったことを確認し、依子は思わずため息をついた。今夜の予定を夫に把握されているような気がしてしまう。依子は自らの態度を思い起こす。

何も変わったことはしていないはずよ。主人は気付いてなんかいない。妻の私への心配りなど、もう過去のものなのだから・・・・。

20分程度、依子はリビングのソファに座り続けた。壁にかかった時計の針をじっと見つめる。それは、間もなく午前零時になることを依子に教えていた。

そっと立ち上がり、意図的にゆっくりと歩き出す。階段を昇り、娘の部屋のドアを開く。熟睡していることを確認し、続いて夫婦の寝室のドアに手をかける。

それを開く前から、既に夫のいびきの音が聞こえてきた。ドアを開き、直接夫の姿を見つめてみる。不自然なところは何もない。忠弘は既に寝入っていた。

クローゼットの引き出しから、ポロシャツとデニムを取り出す。半袖でも十分に過ごせるほどの暑さだ。依子は服を抱えたまま、素早く寝室を出た。

階下で着替えを済ませ、玄関に向かう。鍵を開閉する音が、依子の体奥に不吉に響く。一瞬のためらいの後、依子は思い切って外に出た。

住宅街の道路に人の気配はない。本城の車は車庫にある。周辺に別の車が停まっている様子はない。やはり、榎本が来るなんて嘘だ・・・・。

そう思いながら、依子は男の家に近づき、ドアホンを押した。家の中は暗闇に包まれている。その黒色の中にあの男は潜んでいるはずだ。

「久しぶりだな、奥さん。待ってたぜ」
スピーカーの中から、本城の声が聞こえた。カメラを通じて私の姿も確認しているに違いない。依子はそう考えながら、ひるんだ様子は見せなかった。

「榎本さんにお詫びしに来ました。どうすればいいのかしら・・・・」
「玄関は開いてるぜ。中に入って2階に来るんだ」
「わかったわ・・・・」

依子は初めて本城の自宅の中に足を踏み入れた。オレンジ色のぼんやりとした灯りが壁際にともされていて、室内は完全な暗闇ではなかった。

階段の位置はすぐにわかった。照明をつけることなく、依子はそこを昇りはじめた。その先に本城が待っているに違いない。だらしないあの服装で・・・・。

階段を昇りきった依子は、2階の様子を観察しようとした。しかし、そこは1階とは異なり、僅かな灯りもなく、漆黒の闇に染まっていた。

「さあ、来たわよ・・・・、榎本さんはどこにいるのかしら・・・・」
男を挑発するように依子がそう言い放った直後、背後から突然、男の手が伸びてきた。両脇の下に素早く滑り込んだその手は、瞬時に人妻の肢体を拘束した。



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