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近くに住む男(30)

2011 03 29
人妻の瞳がこれまでとは別の感情を訴えていることに、男はすぐに気づいた。剥き出しの乳房に伸ばしていた手を戻し、榎本は上にいる依子を見つめる。

ペニスに絡みついた人妻の指先は離れようとしない。依子は榎本と視線を絡めながら、彼の欲情の深さを確かめるように、その肉塊をいやらしく刺激し続ける。

「奥さん、どうやら僕のそれは完全に回復したようですよ」
本城とは異なる善良さを証明するように、榎本は自分からそう告白する。どこか恥ずかしげな様子の男の表情を、依子は上から見つめ続けている。

奥さん、あなたはこの部屋からもう立ち去ってもいいんですよ。榎本の言葉は、依子にそう伝えていた。要求された義務を果たした人妻には、当然そうする権利があった。

しかし、依子はそうしようとはしなかった。後方に伸ばした白くすべやかな手で男のものをきつく握り締め、硬さが失われるのを拒むように何度も上下動させる。

この人妻に逃げる意志がないらしいことを、男はやがて確信する。それを知った上で、榎本はもう一度舌先を伸ばし、依子の淫唇を突くように舐めた。

「はんっ・・・・・・・」
互いに求め合うことに合意した人妻に、男が初めて与えた刺激だった。依子は再び目を閉じ、顎をかすかにあげるようなポーズで、色っぽい息を吐いてしまう。

自分がこんな気分になるなんて想像もしていなかった。しかし、男達と過ごした濃密な時間が、依子をいつしかそんな場所にまで導いている。

女としての悦びをもっと知りたい。肉体のそんな素直な欲求を、依子はもう無視することができなかった。過去に自分が知らなかった快感への好奇心を、抑えることができないのだ。

榎本に限界にまで乱して欲しい。何ヶ月間も本城に嫌がらせを受けてきた依子は、男への強烈な反撥芯を、今夜、性への欲求に転化してしまったようだった。

「奥さん、本城さんに抱かれてイってしまったんでしょう?」
榎本が下方からそうささやいてくる。その言葉に、僅かだが男の嫉妬の感情が含まれていることに依子は気づく。

榎本の質問を否定することはできなかった。激しすぎるほどに本城に責められ、遂には意識を失うほどに感じてしまったのだから。

しかし、それを素直に認めたくはなかった。本城への憎しみは、今もなお体奥にくすぶっている。あの男にささやかな復讐をしようと、依子は決意する。

「別に・・・・、そんなことないです・・・・・・」
「でも、凄く気持ちよさそうでしたよ、奥さん」
「それは・・・・、わざとそんな風にすれば榎本さんが喜んでくれるかと思って・・・・」

その科白を、依子は心の中で何度も繰り返した。そうだ。私は榎本の機能を回復させるために、本城に演技を見せつけてやっただけなのだ。

それが嘘であることを依子は勿論自覚している。本城だって、一笑に付すだけだろう。にもかかわらず、依子は妙に昂ぶった気分を感じ始めていた。

本城は私のことをじっと見つめているに違いない。あの男に見せつけてやるのだ。別の男に抱かれ、乱れる私の姿を。依子は屈折した復讐心と、肉体の欲求をそんな風に一致させようとする。

「ねえ、榎本さんはしてくれないのかしら・・・・」
腰を浮かし、依子は榎本の口からようやく離れ、彼の胸の辺りに座りなおした。猛々しくそそり立つペニスを握ったまま、艶めいた声でそう訊いてみる。

「えっ?・・・・」
依子の口からそんなことを聞かれ、榎本は少し驚いたように言葉に詰まった。人妻のそんな態度は、男の興奮を当然のように高めていく。

「初めて奥さんを見たときから、僕はずっとしたかったですよ・・・・」
「・・・・・・」
「今だって勿論・・・・、奥さんだってそれはおわかりのはずだ・・・・・」

依子に握らせている棹を突き出すように、榎本は仰向けに寝たまま、腰を動かした。覚悟を決めたような少し緊張気味の表情で、依子はそれを握り返す。

「ほら、奥さんに握ってもらって、もうこんなに硬くなってる・・・・・」
「みたいですね・・・・・」
「奥さん、さあ、1つになりましょう・・・・・・」

促すような男の言葉を、依子は拒絶しようとはしない。自分から腰を浮かし、膝で立ち上がる。男の顔を焦らすように見つめたまま、裸体をゆっくりと移動させていく。

肌に浮かんでいた汗は、しばらくの猶予を得たせいか、既に消え去っている。しかし、一度達したことを示すように、白い肌はどこか艶めいた輝きを湛えている。

人妻のそんな熟れた肌の上を、榎本の手が待ちきれない様子で這い回る。男の指先が、開かれた女の内腿を撫で、更に根元へと伸び、最奥にある泉の蜜をかき回す。

「ああんっ・・・・・・・・」
「汗が乾いても、ここはこんなに濡れてますよ、奥さん」
「当たり前です、あんな風に榎本さんに口でいじめられたら・・・・・」

そそり立つ男のペニスが、あそこのすぐ下にあることを依子は感じる。男の硬いものをもう一度握り締め、それに貫かれる衝動を想像し、依子は鼓動を早めていく。

本城に犯されたときに感じたものとは別の興奮が、依子を包んでいた。自分のペースで、この男をリードしたい。そして、乱れる姿を本城に意図的に見せてやるのだ。

「榎本さん、準備はいいかしら・・・・」
「奥さん、僕はもう待ちきれませんよ」

照れを隠すように、二人は軽い調子でそんな会話を交わした。しかし、それは深い興奮にはまりつつあることを互いに示しあうような態度でもあった。

男の肉塊の先端が濡れたヴァギナに触れる。それだけで、ぞくぞくするような感覚を依子は感じる。男を焦らそうとしたはずなのに、依子は一気に腰を沈めてしまう。

「ああんっ!・・・・・・・・・」
人妻の甘く官能的な声が室内に響く。それが、夫に抱かれるときには決して披露されない類の声であることに、男達は皆気づいている。

榎本の手が依子の腰のくびれをがっちりと拘束する。ゆっくりと、しかし有無を言わせぬ調子で、男はそれを前後に揺すり始める。

「ううんっ・・・・・・、ねえ、少し待って、榎本さんっ・・・・・・・・・」
本城に見せつけてやるといった安易な復讐心が急速に薄れていく。秘所から襲ってくる蕩けるような快感を感じながら、依子は焦りを抱き始める。



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