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欲情のトライアングル(7)

2011 08 29
激しい音が、部屋の中の濃厚な空気をかき消します。浜本さんとの危ないゲームを楽しんでいたかのように見えた藍子さんの表情に緊張が走ったのを、僕は見逃しませんでした。

「誰っ?」
浜本さんの部屋であるにもかかわらず、藍子さんは自らドアの向こうに声を投げました。それは、明らかに冷静さを欠いた行動でした。

寮を管理する身でありながら、学生たちと一緒に酒盛りをしている姿を、藍子さんは他の誰にも見られたくはないはずです。

そもそも誰かに目撃されることなど、藍子さんは想像もしていなかったに違いありません。だからこそ、いつもの立場を忘れ、こんな風に僕達と一緒に楽しんでいたのです。

しかも、僕達の性的な要求に応じるかのように着替えまでして・・・・・。

「ねえ、誰なの?」
藍子さんがもう一度声をかけます。しかし、向こう側にいる人間は黙ったままです。僕は一瞬、監督がそこにいるんじゃないだろうかと思いました。

藍子さんは、今夜監督が別の飲み会に外出し、戻ってこないと言っていました。ひょっとして、何かの都合で、監督が突然帰ってきたのかもしれません。

ドアに鍵はかかっていません。僕達が座ったまま、じっとそこを凝視していると、やがてドアノブがゆっくりとまわり、向こう側にある廊下の風景が視界に入ってきました。

そこにいるのは、監督ではありませんでした。

「奥さん、私ですよ」
「黒木さん・・・・・」

茶色のシャツにデニムという、ラフな格好の男性がそこにいました。ほとんど話したこともありませんが、彼の名前が黒木だということは、僕も知っていました。

恐らく、クラブの選手全員は知っているはずです。この大学の経営母体である理事会の主要メンバーであり、同時に、我々のクラブへの強烈な支援者でもあります。

少子化が進む今、私立大学の経営は深刻さを増す一方です。学生数を少しでも増やそうと各大学が躍起となる中、我が大学は、敢えて独自の道を選択しました。

それが体育会強化方針でした。先行投資とするかのように敢えて金銭を使って練習環境を整備し、何名かの有能な選手を勧誘、そして、勝利に導くことのできる監督を招聘する。

その路線を率先したのがこの黒木さんです。ただ、僕達が彼のことを知っている理由はそれだけではありませんでした。彼は監督の古い知り合いでもあったのです。

詳細は誰も把握しておらず、噂先行の部分もありますが、学生時代に選手だった黒木さんは、レギュラーの座を同じ大学で1年後輩だった原島監督に奪われたらしいのです。

監督さえいなければ、十分活躍できるだけの力量を持っていたらしいのですが、結局敗れ去った黒木さんは、それをきっかけに現役生活と別れを告げたとのことです。

そんな過去の因縁が、監督の大学への招聘とどう関わっているのか、それはわかりません。多額な年棒に監督が誘惑された、という噂も闇の中です。

とにかく、その黒木さんがここにいます。グラウンドにも寮にも滅多に顔を出さない彼が、なぜこんな時期のこんな時間にここにいるのか、僕らにはその答えが見つかりませんでした。

「随分楽しそうじゃないですか、奥さん。ちょっと失礼しますよ」
黒木さんは、藍子さんにそう言葉をかけ、ためらうことなく室内に入ってきました。そして、初めて気がついたように僕達のことを見つめました。

「どうだ、人妻と一緒に酒を飲むのもいいもんだろう?」
「・・・・・・・」
「しかも普通の奥さんじゃない。お前らの恩師、原島監督の大切な愛妻だ」

僕達の罪悪感を加速させるように、黒木さんがそうつぶやきます。立ったままの彼に対抗するように、藍子さんが立ち上がります。小柄な黒木さんと、藍子さんはほぼ同じ背の高さです。

「黒木さん、いったいどうしてこんなところにいらしたんですか?」
「奥さん、私はこの大学の理事会のメンバーですよ。構内のどこにいたって不思議じゃない」

「でも・・・・・」
「何といっても評判が大切ですからね、昨今の大学業界は」

黒木さんはそう言うと、立ったままタバコを取り出し、遠慮ない様子で口にくわえます。火をつけ、おいしそうに煙を胸に吸い込み、そして藍子さんに向かって吐き出します。

「年末の今、構内で学生たちが妙なことをしていないか、見回りしてるんですよ」
「・・・・・・」

「学生達だけじゃない。それを監督するはずの大学スタッフたちが悪事を働いていないか。それをチェックして、正すべきものは正す。それも私の大切な仕事ですからね」

タバコを吸い続けながら、黒木さんは目の前に立つ藍子さんをじっと見つめます。藍子さんは強気な視線で応えながらも、その表情には困惑の色が浮かんでいます。

「奥さん、いけませんね、教え子達とこんな風に酒を飲み交わすなんて・・・・」
「ち、違うんです、これは・・・・・・」
「日頃の欲求不満を若い男相手に晴らそうとでもしたんでしょう。違いますか?」

黒木さんの言葉に、藍子さんの瞳が光ります。それは明らかに怒りの色をたたえていました。しかし、黒木さんが怯む様子は全くありません。

「こんなぴちぴちのスカートまではいて・・・・・。旦那に言いつけますよ、奥さん・・・・・」
僕達の目の前で、黒木さんの左手が藍子さんのヒップに伸びていきます。



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Comment
来た来た!!
ついに来ましたね、期待のやつが。
姐さん肌の女が思いもかけず、自分の意思でなく堕ちて行く姿、待ちきれませんが、
黒木さん、まずはじっくりといやらしく犯して欲しいですね。
いつもの抜群のエロい心理描写期待します。
さあ、どんな三角関係が描かれるのか。

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