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欲情のトライアングル(8)

2011 08 31
「やめてくださいっ」
タイトスカートに包まれたヒップの丸みを確認するように這い回る黒木さんの左手を払い、藍子さんは厳しい口調で訴えました。

「いいもんだろう、奥さん、こんな風にスカートの上から尻を撫でられるのも」
からかうような口調でそうつぶやくと、黒木さんはテーブルの上の空き缶に手を伸ばし、タバコをもみ消します。

浜本さんと僕はどうすることもできませんでした。黒木さんとはほとんど話したこともない関係ですが、彼がクラブ活動を協力に支援しているという事実は勿論知っています。

僕達には遠慮がありました。黒木さんには従うしかないという気分、そして、藍子さんとある意味で淫らなひと時を過ごしてしまったという罪の意識が、僕達を沈黙させていました。

座り込んだ僕達とは対照的に、2人は狭い室内の中央で立ち続けています。藍子さんの肢体に触れることを止める代わりに、黒木さんは今度はその視線を這わせていきます。

「相変わらず惚れ惚れする体だねえ。38の人妻とは思えねえな」
僕達にささやかな褒美を与えようと、藍子さんはボディラインを強調するかのようなセーター、そしてスカートに着替えています。黒木さんはそんな藍子さんをじっくり見つめます。

どうすることもできず、藍子さんはその場に立ったままです。黒木さんの視線が藍子さんの長く伸びた両脚、丸く張り出したヒップ、そして上半身へと移動していきます。

浜本さんが触らせてくださいと懇願した藍子さんの胸の膨らみに、黒木さんのいやらしい視線が留まります。まるで撫でられるのを避けるかのように、藍子さんが右手で隠そうとします。

「学生時代と少しも変わらねえ。いい胸をしてるぜ」
「・・・・・・」
「あの頃はプールサイドの野郎どもの視線を釘付けにしてたからねえ」

藍子さんの過去を知るかのような科白を、黒木さんが口にします。彼が原島監督にレギュラーの座を追われたという噂を、僕は思い出します。

監督と藍子さんは学生時代からの知り合いだったはずです。黒木さんもまた、藍子さんのことを当時から知っていたのでしょうか。

「最近旦那にいつこの胸を愛撫されたんだ?」
「・・・・・・」
「こんな体をした女が横で寝ていたら、旦那は毎晩我慢できるはずもないだろう」

再び黒木さんの指先が伸び、藍子さんの頬をそっと撫でます。いやっ、と小声でささやきながら、藍子さんが顔を横に向け、黒木さんの責めから逃げようとします。

「奥さん、それとも何か、旦那とはうまくいってねえのかな」
「・・・・・・」
「だからこんな若い男達と火遊びしたかったのかい? 日頃の欲求不満を解消したくて」

藍子さんを挑発するような言葉を、黒木さんが再び口にします。藍子さんの瞳に戸惑いと怒りの色が交錯します。それに構うことなく、黒木さんの指先が藍子さんの唇に達します。

「すけべそうな唇だねえ、奥さん。若い頃よりも格段に色っぽくなった」
「いいかげんにしてっ!」

そう叫んだ藍子さんは、唇を撫で回そうとした黒木さんの指先を激しい行為で拒絶しました。それを嫌悪するかのように、藍子さんは唾液を飛ばしたのです。

「出てって・・・・、早くこの部屋から出てってください・・・・・・」
藍子さんが形勢を挽回するように強いトーンで訴えます。上着に飛散した藍子さんの唾液を確認し、黒木さんの表情がひきつったようにゆがみます。

「奥さん、そんなこと言っていいのかな・・・・」
「えっ?・・・・・・」

「このまま警察に通報することもできるんだぜ。我が校の生徒が未成年にもかかわらず、飲酒をしてしまいました。しかも保護すべき立場の職員に誘導されて、ってな」

僕の体に緊張が走り抜けました。黒木さんは、僕の飲酒を理由に藍子さんを脅迫しようとしているのです。狡猾な笑みを浮かべる黒木さんに、僕は思わず叫びました。

「違います! 僕は・・・・、僕は自分で勝手に飲んだんです! 藍子さんは関係ないです!」
「宮崎、いいのか、そんなこと言って。だったらお前、即退学だぜ」

驚いたことに、黒木さんは僕の名前を知っていました。退学という言葉に何か言い返すことができるはずもありません。黒木さんにはそれを実行する権限があるのです。

「お前が退学するだけじゃない。同席した浜本、そして奥さんだって立派に犯罪者だ。この部屋にいる3名全員がこの大学を去ることになるだろうな」

黒木さんの言葉に、誰も答えることができませんでした。浜本さんと僕は、不安の色を隠すことができません。そんな僕達を藍子さんがじっと見つめ、観念するように口を開きます。

「黒木さん、確かに私はどうかしていたかもしれません・・・・・」
「ほう、奥さん、やっと素直になったかい・・・・・」
「でも・・・・・、お願いですからこの子たちは許してあげて・・・・」

唾を吐いて拒絶した男に向かって、藍子さんが殊勝な言葉を投げかけます。

「全部私が悪いんです。この子たちは関係ないわ」
心配そうな様子で顔をあげた浜本さんをその優しげな視線で制し、藍子さんは凛とした様子でそう言いました。そして強い意志を示すように、黒木さんと再び向かい合います。

「奥さん、自分から罪を認めるとは感心なことだ。だが、そうならば償ってもらう必要があるぜ」
「・・・・・・」

「どうだ、旦那に言いつけてやろうか、今夜の奥さんの行動を全て」
「やめて・・・・・、それだけはやめてくださいっ・・・・・・」

こんな風に選手達と一緒に酒盛りをした事実を、藍子さんは決して原島監督には知られたくないようです。黒木さんは、他の選択肢を考えながら笑みをうかべます。

「だったらこうしよう。奥さん、さっきの続きをやってくれよ」
「続き?・・・・・」
「俺が来る前にやってたことだよ。おい、浜本、お前、奥さんに何お願いしてたんだ?」

僕達は、黒木さんの言葉に圧倒されるだけでした。ドアをノックする前から、黒木さんはずっとこの部屋の中の様子をうかがっていたようなのです。

「どうなんだ、浜本。ほら、正直に言うんだよ!」
一転して厳しい声色で叫んだ黒木さんに、浜本さんもさすがに抵抗できません。

「藍子さんの・・・・・、藍子さんの体に触りたいって・・・・・・・」
「体のどの部分だ? 教えてくれよ、浜本・・・・・・」

しばらくの沈黙の後、浜本さんは小声で全てを白状しました。藍子さんが思わず座り込み、慰めるように浜本さんの肩に手を伸ばします。黒木さんのクールな指示が続きます。

「奥さん、リーグ昇格の褒美だ。ほら、浜本の好きなようにさせてやれよ」
「・・・・・・・」
「奥さんから誘うんだ。そうじゃなきゃ、浜本が別の罪を被ることになっちまうからな」

うつむいたまま、浜本さんは顔をあげようともしません。その肩、そして背中を撫でるようにしながら、やがて、藍子さんがその視線を黒木さんに向けます。

「この子達を警察に突き出すようなことは絶対にしないと約束してください」
「勿論だよ。奥さん、ちゃんと言うこと聞けばあんただって悪いようにはしないさ」

黒木さんのことをしばらくの間睨み続けた後、藍子さんが再び浜本さんに近づきます。黒木さんの指示に忠実に従うように、浜本さんの腕を優しげに握ります。

「浜本君、さあ、いいわよ、好きに触っていいから・・・・・・」

藍子さんのその言葉を聞いた瞬間、僕の心は複雑に揺れました。黒木さんにいじめられた藍子さんを救いたいと感じる一方、僕は再び淫らな気分を思い出してしまったのです。



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Comment
素晴らしい!!
次回 更新を心待ちにします。
No title
続きが楽しみです^^
すぐに堕ちず最後の方まで抵抗してくれる展開期待><

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