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欲情のトライアングル(19)

2011 10 03
大学に入って2度目の夏も過ぎ去ろうとしています。汗ばむ日々があれほどに続いていたのが嘘のように、いつしか秋の気配が色濃く漂い始めています。

20歳になった僕は、相変わらずマネージャー職に忙しく、授業にもあまり出席できないような毎日を送っていました。ただ、以前とは何かが違うような気分を感じ始めてもいました。

最初、僕はそれが何のせいなのか、気づきませんでした。微妙な違和感が少しずつ芽生え、僕の心の中でそれはある種の居心地の悪さとなって成長していきました。

周囲にいるクラブの連中が原因ではありません。選手、マネージャー問わず、僕達は日々うまくやっていましたし、陰湿ないじめのような問題とも無縁でした。

朝晩の冷え込みが急に増してきた10月の終わり頃、僕はようやくその原因に気づきました。この寮での僕の生活に確実に起きつつある変化に。

それは、藍子さんでした。いつの頃からか、僕に対する藍子さんの態度が、どこかよそよそしく、時には冷たく感じるほどのものになっていたのです。

以前にも増して陽気で、快活に振舞う藍子さんは、選手達からの人気の高さは相変わらずです。にもかかわらず、僕は感じ始めていたのです。

藍子さんは、僕に冷たくなった・・・・・。それも明らかに意図的に・・・・・・・。

他人に気づかれるほどに、あからさまなものではありません。しかし、僕にはちゃんとわかりました。藍子さんが他の選手やマネージャーのことを僕より優先していることが。

以前は多くのことを僕に頼んでくれたものです。当然、会話も頻繁に発生し、接する機会も毎日ありました。それは、あの年末の出来事以降もそうでした。

黒木さんに陵辱された淫らな裸体を目撃されたにもかかわらず、藍子さんはまるでそれが夢だったかのように、僕に自然な態度で接してくれていたのです。

そんな藍子さんを、僕は自慰行為の対象とし、毎晩のように妄想の中で抱き続けました。まさか、藍子さんは、僕がそんな密かな楽しみに淫していることに気づいたのでしょうか。

新人マネージャーにばかり頼みごとをし、最近では僕にはほとんど声もかけてくれません。10月も終わろうとするある日の夕方、僕は思い切って藍子さんを問いただすことにしました。

「藍子さん、あの・・・・、僕、何か間違ったことでもしましたか?・・・・・・」
選手達は皆グラウンドで練習しています。寮の食堂では夕食の準備が進められています。僕は、藍子さんを洗濯機が並ぶ寮内の一角に誘いました。

「宮崎君、もう、突然話があるっていうから、何かと思ったじゃないの・・・・・」
相変わらずのネイビー色に赤いラインが特徴的なジャージ姿の藍子さんは、笑みを浮かべて僕に答えます。

洗濯場には僕達の他には誰もいません。ここは屋根だけが設置されていて、半分屋外のような場所です。いくつか設置されている蛍光灯は、まだ暗いままです。

すっかり日が短くなり、まだ6時前というのに周囲は暗闇に包まれ始めています。グラウンドを照らすライトの光線もここまで届くはずもなく、藍子さんと僕は暗がりの中にいます。

「宮崎君にはいつも本当に助けてもらっているわ。私、感謝してるんだからね・・・・・」
「でも・・・・・、藍子さん、僕に最近少し冷たくないですか?・・・・」

僕がストレートにぶつけた質問に、藍子さんは一瞬言葉に詰まり、そして、何かをごまかすように笑いました。僕は感じました。藍子さんが何かを隠そうとしていることに。

「何言ってるの、宮崎君・・・・・、これまでと何も変わらないはずよ・・・・・」
「嘘だ・・・・・」
「ねえ、どうしたの、いったい・・・・、何かひがんでるみたいね、今日の宮崎君・・・・・・」

僕は、鼓動が高鳴るのを感じました。小さな怒りの感情が原因でした。藍子さんの言葉には、僕をどこかで侮辱するような雰囲気が漂っていました。

藍子さんが他の選手やマネージャーに親しげに接するのを見て、僕は強烈な嫉妬心を抱いていたのでしょうか。不安定に揺れる僕の心に、藍子さんの言葉が更に響きます。

「まさか他の子たちと私が楽しくしてるから怒ってるの、宮崎君?・・・・・・」
「・・・・・・・」
「そう感じてるのなら思い違いもいいところだわ。私、宮崎君を避けたりなんかしていないわよ」

僕のことを避ける?・・・・・。藍子さんは、思わず自らの隠し事を口にしてしまったようです。僕は藍子さんの本音を見破ることができるような気がしました。

「そうか・・・・・・、僕のことを避けようとしていたんだ、藍子さん・・・・・・」
「だから、そんなことは」

「浜本さんの部屋で起こったこと、藍子さん早く忘れたいんでしょう・・・・・・」
「えっ?・・・・・・・」

暗がりの中、僕は藍子さんの表情がこわばるのを見逃しませんでした。じりじりと距離を詰める僕に対し、藍子さんは背後の手すりにもたれかかるような格好になりました。

「藍子さん、ずっと黙ってたけど、僕、全部覚えてるんだからね、あの夜のこと・・・・・」
「宮崎君・・・・・・・」
「僕を見ると思い出すんだ、あの夜のことを。だから故意に僕を遠ざけようとしてるんだ・・・・」

自分でも何を喋っているのか、僕には自覚はありませんでした。ただ、理由もなく、藍子さんへの激しい感情が僕の心の中にこみ上げてくるのを感じました。

それは、裏切られたとでも言うような怒りと、性的な欲情が入り混じったものでした。僕は、目の前にいる藍子さんをいじめたいという願望を強烈に感じ始めました。

「藍子さん、そうなんでしょう・・・・・、だから僕のことを・・・・・・・」
「宮崎君・・・・・、ねえ、また今度にしましょう、こんな話・・・・・」

強引に立ち去ろうとした藍子さんの腕を、僕は思わず掴みました。僕が藍子さんの肢体にはっきりと触れたのは、それが初めてでした。

「何するの・・・・・、離しなさい、宮崎君・・・・・・・・・」
「藍子さん・・・・・、酷いじゃないですか、そんな理由で僕を無視するなんて・・・・・」

「無視なんかしてないわ・・・・・・、宮崎君、もういいじゃない、こんな話・・・・・」
「よくなんかないよ!・・・・・・・」

僕の叫び声に、藍子さんは抵抗の力を一気に緩めました。その細い手首を掴んだまま、僕は今更ながら気づきました。藍子さんが人妻だという事実に。

「藍子さん、監督に言いますよ・・・・・」
「宮崎君、あなたいったい・・・・・・・」
「黒木さんに抱かれて感じまくってた藍子さんのことを・・・・・、夫である監督がそれを知ったなら」

その瞬間、乾いた音が周囲に響きました。藍子さんの平手が、僕の頬を張ったのです。



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Comment
期待ハズレ。本日も更新無しで残念
No title
藍子のあえぎ声を再び・・・
期待しています。
No title
作品は素晴らしいのですが、更新が遅くて、見る気がなくなってしまいます。
No title
藍子が誘う展開ですか。。。
ちょっと残念

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