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終着駅(36)

2012 08 06
「誤解です・・・・・・・、こんなこと真鍋さんにされても、何も感じませんわ・・・・・・・・・」
我に返った京子は、努めて冷静なトーンでそう答えた。本音のつもりだった。多少呼吸が乱れてしまったとはいえ、それは事故のようなものだと京子は認識していた。

この男に心を許すことなどない。妙な不安を抱く必要はない。何をされようと、それを快楽に結び付けることなどあり得ない。私は最後まで自分を失うことなく、今夜を乗り切れるはず・・・・・。

「別の男にこうやって胸を揉まれれば感じるとでも言うんですかな」
「ええ・・・・・・・・・・・・、そうかもしれませんわ・・・・・・・・・・・・・・・・」

「なかなか手厳しいですな、奥さん」
「そこまで簡単な女じゃありませんから、私・・・・・・・・・・・・・・」

「そうですか。ではそのお言葉に嘘がないか、そろそろ証明してもらいましょうか」
両手を人妻の胸元から後退させ、男は襖の向こうに声をかけた。料理の準備の際とは異なり、今度は若いアルバイト風の男性スタッフが2名現れ、テーブルの上を片付け始めた。

この店にずっと居座るつもりなのだろうか。京子は、心のどこかで食事が終わった後はこの店から移動することを想像していた。しかし、男の計画はそうではないようだ。

料理を片付けた二人の男性スタッフには、しかしまだ仕事が残っていた。彼らが廊下とは反対側の襖を開いたとき、そこに別の部屋があることを京子は初めて知った。

「おい、すぐに頼むぞ」
常連客であろう真鍋の言葉に従うように、二人は速やかに支度を始める。上質な畳敷きの広い空間、床の間に飾られた灯篭の置物。

そんな室内の雰囲気を確認する余裕が京子に与えられることはなかった。やがて、男性スタッフ2名が無言のまま部屋を辞去し、再び静寂の空間がそこに戻った。

「奥さん、ではあちらに移動しましょうか」

真鍋の視線の先には、並んで敷かれた布団がある。極めて当然のようにセッティングされたその空間に対し、京子はこの男の本気度を感じないわけにはいかなかった。

「あの・・・・・・・・、真鍋さん、どういうことなんでしょうか・・・・・・・・・・」
「奥さんが簡単な女じゃないのかどうか、あそこで確かめたいって言ってるだけですよ」

「・・・・・・・・・・・・・」
「今夜は私の要求を否定することなどできない。奥さん、それは既にあなたが約束した通りだ」

先に立って真鍋が隣室に入っていく。そして、まるで自分の家にいるような雰囲気で、ためらうことなく服を脱いでいく。京子は視線を逸らし、男の行為の確認から逃げる。

どうやら布団の上に用意された浴衣を男は身に着けたようだった。自らの場所に座り続ける人妻に対し、隣室の男が声をかける。

「奥さん、ではこちらにいらしてください」
この店から逃げることなどできない。しばらくの逡巡の後、京子は外されていたシャツのボタンを再び元の状態に戻しつつ、その場に立ち上がった。

歩を進め、覚悟を決めたように隣室に入る。真鍋に促されるまま、布団の脇に立つ。浴衣姿の男は、そこに寝ころびながら、さりげない口調で人妻に指示を与える。

「服を脱いでもらいましょうか」
「・・・・・・・・・・・・・」
「それとも私に強引に脱がしてほしいですか。どちらが興奮されますかな、奥さん」

この部屋で人妻の服を脱がすという男の計画が揺らぐことはあり得ないようだった。抵抗の言葉を吐いても、それは時間の浪費しか意味しないことを、京子は理解している。

「本当に・・・・・・・、私との約束は守ってくださいますね・・・・・・・・」
「私も信用がないですなあ。久丘君のことならご心配なく。全てお望みを叶えてあげますよ」

「絶対にお願いします・・・・・・・・、約束ですから・・・・・・・・・・・・・」
「今からの奥さんの行為次第ですけどな」

「脱げば・・・・・・・・、脱げばいいんですね・・・・・・・・・・・・・」
「手伝いましょうか、奥さん」

「い、いえ・・・・・・・・・、自分で脱ぎますから・・・・・・・・・・」
「ではここからたっぷり奥さんの体を観察させてもらいますよ」

憎々しい男の言い回しが、人妻の覚悟を逆に強固なものとする。不安げな視線を挑発的なそれに転化させ、下にいる男を見つめる。人妻がゆっくりとした動きでシャツのボタンを外し始める。

なまめかしい空気が室内を一気に支配する。姿勢を崩さずに立ったまま、京子はボタンを全て外し、シャツを大胆に脱ぎ去り、畳の上に置く。

男にたっぷりと揉みしだかれた乳房を、人妻はベージュの控えめなデザインのブラで隠している。思わずその胸元を隠すように、京子は両腕をクロスさせる。

「その腕をどかしてください、奥さん」
屈辱を感じながら、京子はゆっくりと腕を下げていく。男の視線が胸の曲線に注がれるのを感じる。服を脱いだというのに、一層汗ばんでしまうような気になってくる。

「いい胸をしている」
「・・・・・・・・・」

「男なら誰だってその胸を揉みたがりますよ」
「そんなに・・・・・・・・、見ないでください・・・・・・・・・・」

「ではスカートもお願いしましょうか」
当然、男がそれを望んでいたことはわかっていた。しかし、京子はしばらくの間、決断をためらうように動きをやめ、やがてスカートのホックに指先を伸ばす。

黒色のタイトスカートをそっと下ろし、脱ぎ去る。美脚を露わにした人妻に対し、男はパンストも脱ぐことを要求する。京子は強烈な羞恥心に包まれながら、男の目の前でその指示に従う。

ベージュ色のブラ、そしてショーツ。極めて主婦らしいその下着が、38歳の人妻の色気を逆に強調する、男はそれを舐めるような視線で観察し、満足げに息を漏らす。

「どうですか、下着姿になって夫以外の男に見つめられる気分は」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「こんないい女を捨てて若いのに走るとは、久丘も馬鹿な決断をしたもんだ」

思わず本音を漏らすように、真鍋がそうつぶやく。男の視線に耐えきれず、京子は胸元と秘所の辺りを再び手で隠そうと試みる。そんな人妻に、男が唐突に宣告する。

「奥さん、今夜は約束通り私を満足させてもらいます。ただし一度だけで結構ですから」
「えっ・・・・・・・・・・・」

寝そべったままの男が発したその言葉の意味が、人妻にはすぐに理解することができなかった。下着姿を強要した自分に、男はいったい何を望んでいるのか。

「一度だけ私を満足させることができれば、ここからすぐに解放してさしあげますよ、奥さん」
「一度、だけ・・・・・・・・・・・」

「別に法外な要求とは思えませんがね。一度だけ私が満足できれば、奥さんのお望みはすべて叶えてあげましょう、と。こういう提案ですからな」

「一度だけ、でいいんですね・・・・・・・・・・・・・」
「ええ。それがどういう意味か。わからないような方じゃないはずだ」

二人の間で、確かな合意が形成された。下着姿で立ったまま、しかし京子は一筋の光を見つけたような気がした。今夜をどう終わらせることができるのか、今、それを把握できたのだ。

とにかく、この男が満たされたなら、私はこの場から立ち去ることができる。夫との生活に終止符を打ち、新たなステージに踏み出すことができるのだ。

「いいですね、奥さん」
「え、ええ・・・・・・・・、わかりました・・・・・・・・」
「では、こちらにいらしてもらいましょうか」

自らの布団に横になったまま、真鍋が京子を誘う。依然、この男への憎悪を抱えたまま、下着姿の人妻はその横に腰を下ろす。男が不意に人妻の腰をつかみ、布団に押し倒す。

「いやっ・・・・・・・・・・」
人妻の小さなその抵抗の声が、男の凶暴さを加速させる。組み伏せた人妻を上から見つめ、そして再びその唇を強く吸い上げる。

「はうっ・・・・・・・・・・・」
男の要求を受け止め、京子は唇をかすかに開く。先刻と同じように、舌先を時折絡めあいながら、やがてそのキスが濃厚で、激しいものに転化していくことを京子は止めることができない。

男の手が乳房に伸びる。ブラの上からたっぷりと揉みしだいてくる。首筋を舐められ、耳をしゃぶられる。興奮を抑えきれないような男の息遣いを感じる。

上から襲いかかってくる男の責めを、人妻は制することができない。執拗な胸元への愛撫が、京子の息遣いをも男のそれと同質のものに転化させていく。

「奥さん、もっと素直になっていいんですよ」
嫌悪すべき男の指先が、憎らしいほどにこまやかに動く。ブラの下の人妻の突起を確実にとらえ、その状態を確認するように転がし始める。京子は耐えきれず、肢体をくねらせるように動かしてしまう。

「ううんっ・・・・・・・・・・・・・・・」
再び声を漏らし始めた人妻の乳房の先端を、男の指先がいじめ続ける。


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