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闇の奥からの誘惑(17)

2013 09 23
人妻、宮坂麻由美の唇は、濡れているかのようななまめかしい光を備えていた。その唇が僅かに、しかし確かな意志を伴って開かれた瞬間、男は己の激しい昂ぶりを感じた。

「そうだ、しゃぶるんだ、これを・・・・・・」
人妻を試すように、男は人差し指のみをまっすぐに突き出している。

座ったまま、麻由美はすぐ隣にいる男を見つめている。その視線には情愛のかけらも見当たらない。男に対する激しい嫌悪感と共に、未知への不安の色がかすかにうごめいている。

「怖いのか、奥さん・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「甘んじて罰を受け入れるんだろう、自分自身の愚かな行為を償うために・・・・・・・」

このテントまで自分自身の意志で歩いてきたことを、麻由美は再び思い出す。それは、あの男、藤原に対して抱いてしまったほのかな欲情を悔いることでもあった。

私は彼に何を求め、何をされることを欲していたのだろうか。自分自身が下した決断がはるかかなたの存在に思え、確かなものが何一つ感じられないような気分になってくる。

隣にいる男に告白した言葉に嘘はない。私はただ、ささやかな火遊びの真似事がしたかっただけなのだろう。人妻という立場を、ただ一夜だけ忘れるために・・・・・・。

それがいかに浅はかなものであったかは、今となっては理解できるような気がする。このような窮地に私を陥れたのは、他でもない私自身なのだ。

しかし、本当に私の決断は間違いであり、非難されるべきものなのだろうか。人妻という立場に置かれた女性は、死を迎えるまで、ただ貞淑に夫を支え続けるだけの存在なのだろうか。

自明の理と言えるようなそんな質問にさえ、今の麻由美には明確な答えが与えられないような気がした。理性を遥かに凌駕する女としての本能が、人妻の心を乱し続けている。

もう何も考える必要はない。この男にただ罰を与えられるのだ。夫を裏切るという行為に走った人妻に対し、この男が異様な怒りを抱いていることは、先刻からの会話で容易に理解できた。

だからこそ、この男の言いなりになり、生涯傷を負い続けるほどの罰を与えられるのだ。それはしかし、決して男への屈服を意味するものではないことを、人妻は確信している。

「わかったわ・・・・・・、しゃぶればいいんでしょう・・・・・・・・」
艶めいた視線を男に注ぎながら、麻由美は唇をゆっくりと開く。しばらくの後、男の人差し指の先端に触れ、やがてその中ほどまで唇を到達させ、それをいやらしく含む。

唇を閉じ、男の指示に従うように、含んだものをしゃぶり始める。どうしても舌を動かさざるを得ない。麻由美はためらいながらも、舌先で男の指先を奉仕し始める。

「音を立ててみろ、奥さん・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「いやらしく、しゃぶりあげるんだ、音を立てて・・・・・・・」

男の表情に変化はない。征服欲を誇示するように、その瞳は異質な光を帯びている。左手は下に置いたままで、すぐ隣に座る人妻の肢体に伸ばそうとはしない。

舌先を口内で動かすだけでなく、人妻は少しずつ男の指先を吸い上げるような行為を披露し始める。男を見つめたまま、麻由美の唇が猥褻な音をテント内に漏らす。

ちゅっ・・・・・・・・、ちゅぱっ・・・・・・・・・、ちゅっ・・・・・・・・・

男の指先が弧を描くように麻由美の口の中で動き始める。それを嫌がるように麻由美が首を振る。人妻のそんな表情を、男は堪能するように見つめ続ける。

「どんな気分だ、奥さん・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「返事はするなよ・・・・・・・、そのまましゃぶり続けるんだ・・・・・・・・」

かつて、夫と夜の営みを交わしていた頃の遠い記憶が、麻由美の脳裏によみがえる。十分な愛情を注いでくれた夫だが、単調で一方的なその行為は、濃厚な悦びを与えるものではなかった。

だが、そこに不満があるわけでもなかった。極めて常識的なその行為は、麻由美を決して混乱させることはなかった。今ここにいる男の行為は、明らかにその対極にあった。

麻由美の表情の乱れを楽しむように、男の指先が口内を動き回る。息苦しさを伝えるような人妻の吐息が、かすかにその唇の端から漏れ聞こえてくる。

「はうっ・・・・・・・・・・・」
「一本じゃ物足りないみたいだな、奥さん・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」
「欲しいんだろう、もっと太くて硬いやつが・・・・・・・・・」

揃えられた中指と薬指が、強引に人妻の唇を犯す。3本となった男の指を、麻由美は官能的に丸めた唇で含み、他に選択肢がないことを示すように、それを強く吸い上げる。

「奥さん、もっと強くしゃぶれよ・・・・・・・」
困惑と抵抗を示すように、麻由美の視線に激しい怒りの色が浮かぶ。

「こんな風に動かすんだ、顔全体を・・・・・・・・」
男の左手が人妻の後頭部に伸び、そこに添えられる。決して強引ではなく、やさしげに促す様な雰囲気で、男の手が人妻の頭を前後に誘い始める。

同時に、男の指先もまた、前後にスライドを始める。その往復運動が、人妻の何かを妖しく刺激し始める。男に従うかのように、やがて麻由美の顔が前後に動き出す。

「色っぽいよ、奥さん・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

「こんな風にいつも旦那のあれをしゃぶってやってるんだろう・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

「そうか、もう何年もご無沙汰だって言ってたな・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

「それが本当なら勿体ないぜ、奥さん・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

「こんなにいい体してるのに・・・・・・・・・」
右手をしゃぶらせたまま、男の左手が人妻の頬に伸びる。そこを上下に撫でながら、やがて首筋へと下降し、指先で線を描くように更に肩から腕へと辿っていく。

黒色のパジャマ越しに、男の指先が人妻の肢体の上を走り始める。その指の動きに呼応して人妻がわずかに顔を歪めた瞬間を逃すことなく、男はその場所をじっくりと責める。

「ここがくすぐったいのかい、奥さん・・・・・・・」
背中から脇腹の辺りでゆっくりと指先を動かしながら、その動きとは裏腹な激しさで、男は右手を前後に強くスライドさせる。

束ねた指先で人妻の濡れた体奥をいじめるように、一定の間隔で何度も挿入を繰り返す。人妻の舌先が苦悶しながらも、それを欲しがるようにまとわりついてくるのを男は感じる。

次第に、人妻の息遣いが乱れ始めてくる。左手の責めを指先から手全体の動きに転化させる。人妻の腰の辺りを撫で、癒すような優しげな愛撫を熟れた肉体に与える。

右手の指先の往復をいったん停止し、舌と戯れる様にぐるぐると動かす。引き抜くような仕草をした後、唐突な挿入を再度与え、欲しがるような人妻の唇の要求に応えてやる。

「はんっ・・・・・・・・・・」
戸惑うような麻由美の息遣いが、唇から漏れ聞こえる。

男の責めは執拗だった。すぐに終わるという人妻の予想をあざ笑うかのように、いっこうにそれを止めようとしない。その左手は麻由美の腰のくびれの辺りを上下し続けている。

いい加減にして・・・・・・・・、もういいでしょう・・・・・・・・・・

そう叫びたい欲求を感じながら、麻由美はしかし、男の指先から逃れられない自分を感じている。強引にそれを唇から解放すればいいだけなのに、その意志を実行に移すことができない。

「目を閉じて、奥さん・・・・・・・・」
指示に従えば男がこの責めを停止するという淡い期待を抱きながら、麻由美は素直にまぶたを閉じる。男の指先が更に一体感と硬さを増したような感覚を与えながら、何度も唇を犯し始める。

「奥さんがしゃぶってくれるから、こんなに太くて硬くなったぜ・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

「旦那以外のあれをこんな風にしてくれるなんて、奥さん・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

「いけない人だ・・・・・・・・、ほら、もっとエッチになって・・・・・・・・」
男の左手が腋から腰の辺りを何度も撫で上げてくる。気付かぬうちに、人妻は大胆に男の指先を吸い上げ、音を立てて強くしゃぶり始めていく。

クライマックスを予感させるかのように、男の指先のピッチが増す。追い詰められていくような妙な感覚が麻由美を包む。肢体に熱を感じ、激しい息苦しさを与えられる。

「奥さん・・・・・・・、ほら、口の中で出してやろうか・・・・・・・・」
「ううんっ・・・・・・・・・・・」

止めてっ・・・・・・・・・、もういやっ、こんなの・・・・・・・・・・・・・

瞳を閉じたまま、麻由美は心の中で懇願するような叫びを繰り返す。男の誘導にはめられたかのように、男の何かを口の中で放出される錯覚に襲われてしまう。

「奥さん、全部出すぞ、口の中で・・・・・・・・・・・」
「ううっ・・・・・・・・・・・・・・・、ううんっ・・・・・・・・・・・・・・・」

「ほら、奥さん・・・・・・・・・・・、ああっ、いくぞ・・・・・・・・・・・・・・・」
「ううっ・・・・・・・・・・・・、はんっ・・・・・・・・・・・・・・」

人妻の唇の奥に、最後の指先の挿入を与えた瞬間、菊原亮は何かを耳にとらえたような感覚に襲われた。それは、過去の体験と同じ、映像と音響を伴った錯覚であった。

激しくクラッシュするバイク、そして助けを求める女性の叫び声・・・・・・・・・

記憶ではない。これは幻想なんだ・・・・・。菊原亮はその錯覚を強引に消し去ろうとする。そして、正気に戻るように、目の前にいる人妻の姿を再び見つめる。

妖しげな息遣いを懸命に整えようとする美しい人妻が、彼の前の前に生贄として座っている。やや乱れた黒色のパジャマ姿に、彼は己の欲情が狂おしく刺激されるのを感じる。


(↑次回更新、27日とさせてください。クリック、更新の励みです。凄く嬉しいです)
Comment
なんですか・・・
なんかとてもテンションガあがらない・・・
いつものような淫猥さというか、感じるものが無いです。
その辺のAVのシナリオみたいで、
いまのとこ期待ハズレです。
盛り返しを願っています。
さすが
ドキドキものの描写がじわりとミックスされてきました。

新しい線もまた1本見えてきてストーリーの面でも今後の楽しみが増えてますます目が離せません。

更新を1回パスとのことですがそれまでこちらが持つかどうか(笑)

といいつつも了解です。
今後の展開が想像できない。
いつも楽しませて頂いています。
有り難う御座います。
人名が出始め、より具体化し始めた用に感じましたが、興味がワクワク感が、薄れていくように、感じました。これから期待しています。
残念」
夫婦で楽しんでましたが。方向性の違いで 少し興味がなくなってきました。16話までは面白かったのに
残念です

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