FC2ブログ

抵抗の果て(8)

2013 12 27
「かしこまりました」
動揺の色を素早くかき消し、江利子は素直にそう答えた。

正則ははさみを動かす手を止め、妻の姿を見つめた。夫の心配をよそに、江利子は小野田の後方にまわる。その様子にためらいや困惑の気配は見当たらなかった。

「首や肩の辺りからでよろしいですか?」
「ああ、そうしてもらおうか」

椅子に座る小野田の首、そして肩のあたりに、江利子の指先が触れた。鏡の中に映る男の表情を見つめながら、人妻のゆっくりとしたサービスが開始される。

親指を押して快感のつぼを探す様な手つきで、江利子は小野田の肩を癒していく。目を閉じることなく、小野田は江利子の瞳を見つめた。二人の視線が鏡の中で交錯する。

猥褻な行為に及んだその客に対し、人妻は素直な態度で奉仕を続けた。やがて両手で男の肩をしっかりと掴み、強弱をつけながら、江利子は本格的な愛撫を与え始めた。

人妻の指先の動きは想像以上に巧みなものだった。先ほど、男が与えた指先の責めをあざ笑うように、人妻のタッチははるかに繊細で、男を追い込んでいくものだった。

これは上質だ・・・・・・。小野田は想像する。このマッサージをベッド上で試させたらどうなるのか。服を剝ぎとった人妻に、たっぷりとした愛撫をさせるとしたなら。

「気持ちいいねえ、奥さん」
「・・・・・・・・・」
「あんたも気持ちよくなるんじゃないのかい、他の男の肌にそんな風に触っていると」

小野田の言葉に、江利子は反応を示そうともしない。クールな美貌を保ったまま、しばらく同じ場所へのマッサージを続け、江利子は椅子を僅かに後方に倒した。

椅子の右側に動き、小野田の二の腕の辺りに指先を伸ばす。そして、要求されていないにもかかわらず、自分から男の腕へのマッサージを開始した。

「これは客は喜ぶだろう・・・・・・・・」
満足そうにつぶやく小野田の上腕部を、江利子は外側そして内側と双方から揉みほぐしていく。ひじから脇の下まで何度も往復し、時折筋肉を震わせるように刺激した。

やがて江利子の指先が小野田のひじから更に先端へと動いていった。手首付近を入念にほぐし、そして人妻は男の手のひらを上に向けた。

男の指先を1本ずつ、優しげに愛撫していく。その手が自分の腿、そしてヒップを責めていたことを忘れたかのように、江利子はあくまでも丁寧なサービスに徹した。

正則からは死角になり、妻のサービスの様子がよく見えないようだ。夫が見えぬ場所でその妻に手を愛撫させていることが、小野田を刺激し、更なる責めに駆り立てた。

マッサージを与える人妻の指先を、彼は不意に強く掴んだ。指先を絡め、しっかりと握る。江利子は引き抜こうと力を込めるが、男の拘束から逃げることはできない。

「・・・・・・・・・」

横になる小野田を見つめたまま、江利子の視線がきついものに転化した。男は笑みを浮かべながら、拘束した人妻の手を自らの腹の辺りに密着させようとした。

背中越しにいる正則に察知されることを恐れるのか、江利子は声をあげようとはしない。小野田に促されるがまま、江利子の右手が男の腹部を撫でるように動かされてしまう。

男の手に、人妻の手首は完全に握られていた。手のひらを広げ、それを男の腹部に乗せることを強要される。何度も力を込めて江利子は腕を引き抜こうとしたが、無駄な抵抗だった。

力強い男の手がゆっくり下方に動いていく。男のスーツのベルトに、江利子の指先が振れた。小野田は人妻の手首を握りしめたまま、更に先の部分にそれを運んだ。

人妻の瞳に、激しい困惑の色が見え隠れし始める。抵抗する江利子の様子を楽しみながら、男が自らのものの上に、人妻の手のひらを置き、ゆっくりとした往復運動を開始した。

奥さん、ここを触るんだ・・・・・・・・

その手から伝わる感触で、人妻は隠されたものの硬さを感じているはずだ。男はそう確信しながら、江利子の腕を更に引き寄せ、それに押し付けるようにした。

人妻の肢体がかすかに前傾した。小野田がほくそ笑む様子を見つめ、江利子はきつく唇を噛んでいる。腰を突きあげるような男の動きに、人妻は僅かに首を振って拒絶の意志を示す。

もっと触ってくれよ、奥さん・・・・・・・・・・

声を発することなく、小野田が唇の動きで江利子にそう伝えた。怒りの気配が人妻の表情に満ち溢れていく。男の手が、今度は人妻の指先をベルトの内側に引き込もうとした。

「お客様、いけません・・・・・・・・・・」
ささやくような小声とは裏腹に、江利子は渾身の力を込めて、自らの腕を再度引いた。男の手の拘束が生んだ僅かの隙を突き、人妻はようやく解放された。

「こちらの腕もさせていただきますので・・・・・・・」
落ち着いた様子で声を発し、江利子はゆっくりと反対側にまわった。正則と対面するような位置に立った江利子の様子に、特に変わった部分は見当たらない。

正則は安堵を覚えながらも、小野田の様子を見つめ続ける。左腕のマッサージの際には、小野田は一切の動きを見せず、素直に人妻の施術に従った。

何かを想像するように、小野田は目を閉じたままだ。しばらくマッサージを続けた後、江利子は顔剃りの準備に入った。椅子を更に倒し、男は完全に寝るような体勢になった。

熱い湯で濡らしたタオルを男の顔に置き、そして取り去る。丁寧にシェービングクリームを泡立て、男の頬から首筋に塗る。そして、研ぎ澄まされた剃刀をそこにあてた。

再び正則を背中にするような位置に立ち、江利子は小野田の顔を剃り始めた。無言で目を閉じたままの小野田の様子に、正則は完全に緊張を解き、自らの客に集中した。

会話もなく、ただラジオのトークだけが店内に響く。金曜日の午後だけが持つ、穏やかな空気がそこにあった。ソファで待機する学生客は、依然として漫画を読み続けている。

だが、小野田の手は眠ってはいなかった。すぐ横に立つ人妻店員のわき腹に、それは密かに伸びた。顔剃りをする人妻の肢体は彼に向かって前傾し、密着するほどに接近している。

刃物を持っていることを逆手にとり、小野田は責めを大胆なものに転化させていく。人妻の豊満な乳房が、すぐ目の前にある。彼はためらうことなく、それを包むように掴んだ。

一瞬、江利子の肢体が震えた。男はゆっくりと愛撫を開始した。ジャンパースカート、そしてシャツ越しに豊かな胸の膨らみを感じながら、男は人妻の裸体を想像した。

女として最上の肉体がそこにある。その持ち主が人妻であることが、男の欲情を刺激する。

下を向いた乳房を、小野田はたっぷりと揉みしだいた。剃刀に気をとられるのか、江利子は強引な動きがとれないようだ。逃げることもできず、ただ男のなすがままにされていく。

江利子の左手が小野田の右手を掴もうとした。それでもなお、男は責めを加速させる。下方から指先で人妻の乳房を弾くように揺らし、先端部を掴んでくすぐってやる。

「お客様、危ないですから動かないでください・・・・・・・」
江利子が僅かに震える声で小野田を制しようとした。

鼻で笑うような気配を示し、小野田が目を開いた。人妻の潤んだ瞳がすぐそこにあった。快楽に溺れるような色はまだ見当たらない。そこにはただ敵意があるだけだ。

江利子を見つめながら、小野田は5本の指で乳房を覆った。そして指先を小刻みに動かし、人妻の反応を探った。首を振るようにして戸惑う人妻の姿に、彼は言いようのない興奮を感じた。

いいかげんにしてください・・・・・・・・・・

人妻の唇が確かにそう動いた。人妻の肢体の動きが止まり、何かに耐えるような緊張をはらんでいくのがわかる。小野田は構うことなく、人妻のシャツのボタンに指先を伸ばした。

男の手が人妻のシャツの最上部のボタンを巧みに外す。白く輝く人妻の首筋が露わになった。

その瞬間だった。

江利子の指先に力が込められ、同時に小野田の叫び声が店内に響いた。


(↑クリック、更新の励みです。凄く嬉しいです)

※お知らせ
皆様、いつもご愛読ありがとうございます。
今年1年間、皆様のコメント、応援クリック、全てが私の励みになりました。
改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございます!

今年の更新は本日を最後として、年明け早々に再開させていただきます。
今年の更新は少なかったですが、来年はもう少し増やせればと考えています。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

寒さもいよいよ厳しくなってきましたが、皆様、ご自愛くださいませ。
どうぞよい新年をお迎えください。

のりのり
Comment
惜しい
惜しいです。
生乳までいって欲しかった、展開上ここで止める必要が
あるのかもしれないですが、シチュエーションが興奮物だっただけに惜しい。
このシチュエーションは次の展開にも生かして欲しいです。
江利子さん(*^.^*)
となりの電気屋のおじいちゃんと江利子さんがギクシャクしてるのはどうしてなの?お風呂場のぞかれたりしたことがあるのかな?また勝手に書いてしまっちゃったm(_ _)m ごめんなさい。

のりのりさんの作品に出会えたことはわたしの今年のうれしい“事件”になりました。こちらこそありがとうございました。来年もよろしくお願いしますp(^-^)q
本当の江利子さんの姿を楽しみに年明けを待ちます。おせちやおもちをいっぱい食べて体力つけて風邪ひかないでね(^_-)
展開上の仕掛けが楽しみ
独特の工夫がこの後に仕込まれているかと思うと新年が待ち遠しいです。

このサイトを知って以来ずっと楽しませていただいています。

来年もよろしくお願いします。
いいですね。
江梨子さんが小野田の性奴隷として変貌していく姿に期待します。
そういう運びですか…
このおっさんには正攻法で行って欲しいな。
今回も、このままもっと攻めて頂きたかったですね。前のバイクの時もそうだったけど、あり得ない場所でのセックスは興奮しますよ。
今年もよろしくお願いします!
夜の生活もあまり楽しんでらっしゃらない奥様でも悦べることができるのかな?小野田君の仕掛けで追い込まれてしまう奥様を見守っていきたいです。
どの作品もそうなんですが、そこにたどり着くまでの物語がわたしは好きです。この作品もそんな感じで楽しんでいけそうです。素敵な作品になることを願ってます。
今回はわかりやすくてgood!
いい感じですね~~!
読むたびに興奮してしまいます。

今回の作品は日常でありがちで、とてもわかりやすい内容で、余計に興奮してしまいます。

年明けお忙しいとは思いますが、続編が待ち遠しいです。

早めに載せてくださいね?(笑

管理者のみに表示