FC2ブログ

抵抗の果て(27)

2014 02 12
同業の人間たちと交わることが、正則はあまり好きではなかった。宴会場ではまだ食事が続いていたが、正則は一足早くそこを後にし、自室に戻っていた。

江利子からの電話をもらったのは、正則が風呂から出て一息ついていたところだった。携帯からではなく、自宅の固定電話からであることが、正則に最初の疑念を抱かせた。

「大丈夫です・・・・・・、こちらは無事に営業も終わりましたから・・・・・・・・」
そう話す妻の声には、どこか差し迫ったものが感じられる。

「大丈夫なのか、本当に?」
妻の体調が思わしくないのかもしれない。正則は妙な胸騒ぎを感じた。

「江利子・・・・・・・、おい、江利子、聞こえるか?・・・・・・・」
妻の声は、すぐに帰ってはこない。電波が不調かとも思ったのだが、携帯の環境には問題なさそうだ。正則は耳を澄ませ、懸命に様子をうかがった。

全くの沈黙ではない。何か、くぐもった声のような音がかすかに聞こえてくる。妻は受話器を置いて、そのままどこかに行ってしまったのか。正則はそんな想像をした。

だが、いったい、どこに。そもそも、電話をかけてきたのは、妻なのだ。

「江利子・・・・・、おい、そこにいるのか?」
「え、ええ・・・・・・・・」

「どうした、体調でも悪いのかい?」
「い、いえ・・・・・・・、ただ・・・・・・・・・・・」

「ただ?」
「明日のあなたの予定を確認したかったから・・・・・・」

「予定通り、昼前には戻るつもりだよ。それでいいかな?」
「は、はい・・・・・・・・・・、あっ・・・・・・・・・・・・・・」

かすかな声を妻が漏らしたことを、正則は聞き逃さなかった。それは、あの奥多摩の山荘で記憶に刻み込まれた妻の声と同じものだった。正則は、とっさにあの男のことを想起した。

「江利子、誰かそこにいるのか?」
「わたし・・・・・・・、勿論、わたしだけです・・・・・・・・・・・」
「隠さなくていいんだぞ」

俺は何を疑っているんだ。正則は、自分の言葉を激しく悔やんだ。

「隠してなんか・・・・・・・・・・・・、あっ・・・・・・・・・・・」
「江利子、おい・・・・・・・・・」

「は、はい・・・・・・・・・、本当に大丈夫ですから・・・・・・・・・・・」
「そうか、ならいいんだが・・・・・・・・・・」

「あなた・・・・・・・、じゃあ、明日・・・・・・・・・・・・・」
「わかった。何かあったら電話くれよ」

そう言い切った瞬間、江利子は唐突に受話器を置いた。人妻の戸惑う様子を観察しながら、宮地は背後からずっと腰を振り続けている。全身を震わせ、江利子はそれに必死に耐えている。

「奥さん・・・・・・、危ないところだったな・・・・・・・・・」
男の言葉に、江利子が答えを返すことはなかった。

闇の中で、江利子は電話台にしがみつき、ただ声を抑え続けた。男は、バックから人妻の裸体を見つめ、その曲線に満ちた肉体に手を伸ばし、激しく腰を突き続ける。

人妻は、まだ電話が続いているかのように、喘ぎ声を懸命に隠し続けている。一方で、時折我慢できない様子で、自分から腰を後方に突き出すように動かしてくる。

宮地には、しかしそれが自分の錯覚のようにも思えた。懸命に放出を先延ばしにして腰を振りながら、宮地は次第に江利子のペースに自分がまきこまれていくことを感じていた。

長年夢想し続けてきた人妻の肉体を、遂に手中に収めた。そして今、存分にその裸体を濡らし、犯している。にもかかわらず、どこかで人妻に操縦されているような気分になってくる。

「奥さん・・・・・・・、どうだ、感じてるんだろう・・・・・・・・・・」
宮地は、自らの優位性を確認するように言葉を吐く。だが、江利子が答えを返すことはない。

唇をかみしめた人妻の表情は、妖しく歪んでいる。快感に溺れていることを示すように全身に汗を浮かべ、ハアハアと息を乱している。交わる秘所は、蕩けるほどに濡れている。

隆起した人妻の乳首を、男は指先でつまむ。江利子が苦しげに身を震わせる。腰を突く度に小刻みに首を振る人妻は、しかしなおも声を抑え、屈服の気配を一向に示さない。

気持ちまで許すことは死んだってないですから・・・・・・

人妻のクールな一言が、宮地の心に蘇ってくる。とどめを刺すように、男は人妻の腰をがっちりつかみ、秘所を密着させる。腰で弧を描き、ぐいぐいと押し付けていく。

「ううんっ・・・・・・・・・・・」
「奥さん・・・・・・、ほら、素直になれよ・・・・・・・・」

男の言葉には、明らかな焦りの色があった。それは同時に、男の我慢が限界に近づいていることを、人妻に教えている。江利子が後方に初めて顔を向けた。

「上にさせてくださいっ・・・・・・・・・・」
まさか江利子がそのような大胆な欲求を自ら口にするとは、男は想像もしていなかった。

「ああ、いいとも・・・・・・・・・」
ようやく動きを停止し、宮地はゆっくりと棹を引き抜いた。そして、畳敷きの床に仰向けに横になり、江利子の裸体を招く。ためらうことなく、江利子は彼に近づいていく。

天井を向いてそそり立つ男のものが、闇の中に浮かぶ。江利子はだが、そこに跨ろうとはしない。宮地の横に座り、片手でそれを握る。そして、ゆっくりとそれをしごき始める。

「奥さん・・・・・、待ってくれ・・・・・・・・・」
人妻の手の感触が、熱いヴァギナの壁を凌駕するほどに、心地よく感じられる。宮地は思い出す。江利子のマッサージが理髪店の客に高く支持されていることを。

「宮地さん・・・・・・・、もっと気持ちよくさせてあげます・・・・・・・・」
普段は無口な人妻が、娼婦のような言葉をささやいてくる。それこそが、人妻の仕掛けた罠であることを、宮地は察知した。だが、自らの肉体の制御ができない。

「やめろ、奥さん・・・・・・・・」
言葉ではそう言いながら、宮地は圧倒的な気持ちよさに全てを委ねてしまう。優しく絡んでくる人妻の細くしなやかな指先が、男の肉体を憎らしいほどに癒し、追い込んでいく。

右手で宮地のそれを握り、くすぐるようにしごきながら、江利子は左手で彼のわき腹を撫でていく。ほぐすように胸の筋肉を愛撫し、宮地の腕にマッサージを与えていく。

かがみこんだ江利子が、宮地の唇にそっとキスを与える。

「奥さん・・・・・・・・・」
積年の欲情が、一気に解放されようとしている。目の前の人妻の奔放な振る舞いに、宮地はもはや抗うことができない。婚前の隣家の女を暴行しようとした記憶が、男の脳裏によぎる。

その女がこの人妻だ。江利子と舌を絡めながら、宮地は己のものが痙攣するのを感じる。もはや、後戻りなどできない。江利子の右手が激しく上下し、一気に男を追い詰めていく。

「ああっ、奥さん・・・・・・・・・」
「我慢しないでください・・・・・・・・・・・・・」

かがみこんでくる人妻の背中に手を回し、より濃厚な口づけを要求する。人妻はそれを拒絶しない。自分から舌を絡め、男と唾液を交換する。そして、右手でそれをぎゅっと握りしめる。

人妻の柔かな乳房が体に触れる。耳元でかすかにささやく声が聞こえる。

「出して・・・・・・・、出してくださいっ・・・・・・・・・・」
人妻の甘く、官能的な声が、男の肉体を遂に崩壊に導いた。ううっ、と唸った直後、宮地は大量の液体を激しく、欲情的に人妻の手のひらの中に放出した。

どくっ、どくっ、どくっ・・・・、と痙攣する男のものを、江利子は最後まで握りしめ、限界の滴まで絞り出す。しばらくそのままの姿勢で男を見つめ、やがて静かに立ち上がる。

「帰ってください・・・・・・・」
抜群のスタイルを誇る人妻の肉体が、闇の中に消えていく。宮地はそこにぐったりと横になったまま、店に戻っていく江利子の姿を見送ることしかできなかった。

人妻に屈辱的な仕打ちを受けたことを、宮地は否定することができなかった。だが、そこから新たな反撃を考えるほど、その老いた男は、悪質な色を元来伴ってはいない。

小野田とは、やはり違う種の男だった。

暗闇の理髪店スペースで服を整えながら、江利子はまさにそれを感じていた。所詮、隣家の電化ショップの男は、この程度の人間であったのだ、と。

満たされぬ肉体が妖しく疼き続けていることに、人妻は気づかぬ振りをしている。


(↑クリック、更新の励みです。凄く嬉しいです)
Comment
江利子さんやるなあ。この先が楽しみです。やっぱり彼女を満足させるのは小野田でしょうか。最後は中出しフィニッシュで江利子陥落をがっつり書いてください

No title
江利子は小野田でしか
満たされない、そして
小野田のカラダを欲しがるようになる
って、良くわかりますよ。

私にもそうした経験があります。
さすが
この手の角度のつけ方もこの作品群の魅力のひとつですね!

管理者のみに表示