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抵抗の果て(47)

2014 04 11
その言葉は、自分自身に向けたものであったのかもしれない。小野田はそんなことを感じながら、足立江利子の美脚に唇を押しつけ、情熱的に吸ってやった。

奥多摩での山荘の一夜は、小野田自身にも濃厚な記憶を与えていた。数多くの女を抱いてきた彼にとっても、あの夜手中に収めた人妻は、明らかに別格だった。

高貴さと猥褻さ、そして何ものにも屈しない強靭な意志。人妻の肉体にはそれが混在し、男を誘うなまめかしさを漂わせていた。そして彼女は抜群のスタイルの持ち主であった。

男を知らない体であることは明らかだった。教えてやるほどに、その人妻の肉体は敏感に反応し、いやらしく濡れた。やがて、自分から男を強く欲し、どこまでも熱く蕩けていった。

もう一度、あの人妻を抱きたい。そして、もっと濃厚な快楽をその卑猥な肉体に刻み込んでやりたい。小野田は、そんな欲情を胸に秘めたまま、今日までの日々を送ってきた。

あの夜、商店街で久しぶりに目撃した人妻の姿。隣家の青年と許されない関係に陥っている人妻を見てしまったとき、男の本来の狡猾さが、胸の奥の真面目さを遂に蹴散らした。

そして、今夜の取引を彼は提示した。

いくつもの夜をこの人妻への妄想と共に過ごしてきた。だが、男は確信している。この人妻もまた同じはずであることを。あの山荘の記憶を、幾晩も思い出し続けていたに相違ないのだ。

「俺にこんな風にされることを毎晩想像してきたんだろう?」
再びそうささやきながら、彼は人妻の美脚の間に顔を侵入させ、左右の腿にキスを与えた。30代後半の人妻の太腿だけが漂わせる、満たされない色香がそこにはあった。

人妻の息に乱れる気配はない。それでこそ、自分が狙った人妻の姿だった。容易に男に屈するはずもない、固い意志を持ち合わせた美貌の妻が、今、ここに横たわっている。

小野田の唇が少しずつ江利子の脚の付け根に接近していく。だが、ショーツに触れそうな段階でその唇は引き返し、そしてまた、ゆっくりとしたペースで近づいていく。

両脚にキスしながら、指先で腿を撫で続けてくる男の視線がショーツの中芯に注がれていることを、人妻は強く感じた。それだけで、秘めた泉が熱くなってしまうような気分になる。

「他の男ではもはや満足なんてできない。そうだろう?」
この半年間の人妻の全てを見透かしたようなセリフだった。言葉を返さずにいることが、それを認めてしまうことのように思われ、江利子はクールな声を絞り出して彼に答えた。

「興味なんかそもそもありませんから・・・・・」
「・・・・・・・」

「私、男の人に快楽を与えて欲しいなんて思ったこと、一度もありません・・・・・」
「旦那も奥さんを満足させることができなかったってわけか」

「そういうことでは・・・・・・・・」
「知らなかったんだろう、あんなにいいなんて」

「・・・・・・・・・・」
「セックスがあんなに気持ちいいなんて、あの夜まで奥さん、知らなかったんだろう?」

二人の脳裏に同じ記憶が蘇っていることを、江利子は感じる。あの夜もまた、こんな風に両腕を縛られていた。それを思い出させるように、男は江利子に同じ格好を今、強要している。

「あの夜から、何人の男に抱かれたんだ?」
内腿にキスしながら、小野田が訊く。江利子は答えることができない。瞳を依然閉じ続けたまま、一切の邪念を抑えこもうとする。隣家の親子の姿が、人妻の体奥に一瞬浮かぶ。

「奥さんがどこでバイトしているのかも知っている」
「・・・・・・・・」
「それがどんなサービスをする店なのか、ということも」

小野田の手に力が込められ、更に強く江利子の両脚を広げる。僅かに首を振る人妻。男は舌先を動かし、人妻の美脚の根元を責める。そして、彼の指先が江利子の上半身に伸びていく。

剥き出しの人妻の腹部を、男がそっと撫でる。僅かに触れるような微妙なタッチでそこを撫でながら、腰のくびれを掴む。親指で愛撫を与えた箇所を、男の唇がたどっていく。

己の体を深々と人妻の両脚の間にねじ込み、男はその上半身を責め始める。人妻の腹部にキスを与え、指先で裸体を撫であげる。脇腹の曲線を確認するように手を往復させる。

「誰に何をされても、奥さんの体は満足しなかったはずだ」
「・・・・・・・・・」
「彼らが与える以上のことを、奥さんは既に知ってしまったんだからな」

小野田の指先が、江利子の膨らんだ胸に触れる。ブラの刺繍の感触を楽しむように、その指先が動いていく。しばらくの猶予の後、彼は濃厚な愛撫を豊満な乳房に与え始める。

「・・・・・・・・」
懸命に平静さを装いながら、江利子は唇を噛む力を僅かに強めた。鎖で縛られた手をどうすることもできず、人妻は男に肉体を提供するように、乳房を突き出している。

男が揉みしだくほどに、その弾力は彼の指先を妖しく弾き返す。揺れる豊満な肉体を闇の中に見つめながら、男は一定のペースで愛撫し続けた。ブラの下に、乳房の先端の存在を感じる。

「この体を風呂でたっぷり洗ってもらったのかい、奥さん?」
「・・・・・・・・」
「後から俺にも洗わせてもらおうか」

さりげない小野田の言葉が、江利子を確かに追い込んでいく。あの秘湯でこの男と泡にまみれて戯れることを想像するだけで、江利子は肉体を熱くさせないわけにはいかなかった。

乳房をいじめる男の行為から逃れるように、江利子は上半身を僅かに左右に振った。両腕を頭上で拘束されている以上、そうすることしかできない。

それが無駄な行為であることを、人妻は勿論悟っている。だが、そうしないわけにはいかなかった。この男に素直に肉体を差し出すことを、少なくとも人妻の理性は許さなかった。

次第に、男の肉体が上からのしかかってくる。彼が裸であることが、瞳を閉じていてもわかる。素肌が触れ合い、互いの肉体の熱を確かめ合う。彼の唇が人妻の首筋に吸い付く。

乳房を揉みしだきながら、小野田は江利子のうなじに丁寧な口づけを与えた。鎖骨の辺りから深い谷間の辺りに這って行く舌先が方向を変え、人妻の腋の下に達する。

両腕を上方で拘束された人妻の腋は、男の眼前に剥き出しにされていた。そこに息を吹きかけ、人妻の肢体を震わせる。そして、小野田が江利子の恥部を試すように、その肌を吸う。

「そこはいやです・・・・・・・」
人妻の表情が僅かに歪む。一定のペースを維持していた呼吸がかすかに乱れ、その肢体がくねるように動く。腋の下を吸いながら、小野田は江利子の乳房を撫でる。

彼の足が、人妻の両脚の間に割り込んでいる。それを拒むことができない人妻の股間に、男の膝が触れる。そこを密着させながら、彼は音を立てて人妻の腋を吸い続ける。

「いやっ・・・・・・」
恥辱の入り混じった快感が、江利子を妖しく揺らし始めている。敏感に反応する肉体が、女としての本性に再び目覚めていく。心地よい熱の予感が、江利子を渦の中に誘い込もうとする。

たっぷり舐められた腋に汗が滲んでいく。黒色のブラの下で、乳房の先端がいやらしく勃っているのを感じる。上半身を無造作に揺らす人妻の表情に、妖しげな気配が濃くなっていく。

無意識のうちに、人妻の息が乱れ始めている。唇をかたくなに閉ざし続けながらも、鼻から官能的に抜ける息遣いが、男にそれを教えている。

感じている・・・・・・。それを確信しながら、小野田は乳房をいじめ続けた手を、下方に伸ばした。腋を吸いながら、彼は人妻のショーツを掴み、紐状にきつく引っ張った。

「やめてくださいっ・・・・・・・・」
たまらずに、江利子が言葉を漏らした。その声には、どうしようもないほどの濃厚な快楽の気配が隠されていた。小野田はショーツを引きながら、人妻の表情の変化を見つめた。

記憶に刻み込んだ以上に、魅力的な人妻の表情がそこにあった。挑発的であり、反抗的であり、同時にまた、限界にまで追い詰められた危うさが存在する、男をそそる顔つきだった。

「そろそろ目を開けるんだ、奥さん」
人妻に観念することを迫るように、小野田が中指を硬く立てた。ショーツの上を撫でながら、裏側の確かな潤いを確認する。人妻の蜜唇の位置を確かにとらえ、男は指をぐいと突いた。

「あっ・・・・・・・・・」
江利子が思わず、艶めいた息を漏らした。その唇に、小野田は己のそれをそっと重ねる。舌を出して誘いをかけるが、人妻は唇を懸命に閉ざし、顔を振ってキスを避けようとする。

片手で頬を拘束し、男は人妻の唇を情熱的に吸った。かすかに開いた唇に、巧みに舌先を侵入させる。舌先が触れ合った瞬間、彼の中指が再び人妻のショーツを強く突いた。

「はんっ・・・・・・・・」
人妻の裸体が痙攣するように跳ねる。男はゆっくりと指先を動かし始める。何度か動かしてやれば、すぐにそれはショーツの下側から伝わる蜜でいやらしく濡れはじめた。

「本当に男に興味がないのかい、奥さん」
その男の言葉に抗うように、江利子が遂に瞳を開く。半年以上出会うことのなかった男が、すぐそこにいる。彼の表情をきつい視線で見詰めたまま、江利子は小さく首を振る。

この男の責め方が他の誰よりも巧みなことを、人妻はその肉体で感じ始めている。


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Comment
堕ちていく……
奥多摩の山荘で、存分に陵辱されて以来、思いとは裏腹に、体が小野田の影を追い求めて来た江利子さん。部屋で、そして露天風呂で、自身の体を知り尽くした小野田の責めに、性の快楽という泥沼に堕ちていく……
ついに・・
巧遅より拙速でm(_ _)m
多くの読者に支持されてるんだから、次回の更新日を教えてほしいです。
焦らされるのはあまり好きじゃないかも。潔さがほしいなp(^-^)q
名作です
江利子さんの態度、口数の少なさ。
貞淑な人妻の雰囲気が伝わります。
それだけに、崩壊したときの落差が
すごそうで、ワクワクして読んでいます。

これだけのキャラクターは今まで
いなかったように思います。
この小説が長く連載されることを
期待します。それだけの重みと
名作の雰囲気があります。

楽しみにしています。

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