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抵抗の果て(54)

2014 05 06
湧き出る湯の音が、秘境の温泉宿を包んでいる。闇の中、露天の風呂がぼんやりとした照明の中に浮かび上がっている。二人の裸の男女が、そこにいる。

深夜であることは確かだ。だが、時間の感覚は既に失われている。肉体の望むままに己の快楽を求める大切さを知ってしまった二人に、もはや時間になど構う必要はない。

いや、二人はこう思っているのかもしれない。永遠にこの時間が続けばいい、と。

「寒くないのかい、奥さん」
「はい・・・・・・」

紅葉が盛りの時期である。深夜になれば、外気はかなりの低温にまで下がっているはずだ。二人は今、お湯の中にはいない。一角の岩場に設置された洗い場に、二人はいた。

部屋で濃厚に愛し合った二人。男にいざなわれるまま、人妻はこの露天にやってきた。夕刻、複数の男たちに陵辱寸前にまでたっぷりいじめられ、肢体を濡らされたお湯だ。

愛し合い、快感で疲労した互いの肉体を癒すように、二人はまずお湯に浸かった。会話を交わすことなく、二人はただ、互いにきつく抱擁し合い、熱い湯に時間をかけてとどまった。

そして、洗い場にやってきた。十分すぎるほどに熱いお湯に浸かったこともあり、二人は寒さを感じることはなかった。男は岩場にうつぶせになり、そして、人妻は彼の肉体を見つめた。

小野田が指示することは何もなかった。足立江利子は、自らの手をソープで浸し、彼の背中にそれを延ばし始めた。瞬く間に、男の裸が白い泡に包まれていった。

「寒くないのかい、奥さん」
しばらくの後、男が口にした言葉がそれだった。その質問を否定しながら、人妻は殊勝な態度で奉仕をこなす。男の裸を丁寧に泡で包み、指先でのマッサージを与えていく。

先刻、彼に貫かれたまま、嬌声をあげるほどに激しく乱れたことを忘れてしまったように、人妻はクールな態度を見せている。だが、官能に艶めく裸体が、部屋でされたことを伝えている。

人妻の裸体に、男の全てが注ぎ込まれたという事実を・・・・・。

江利子の愛撫を感じながら、小野田はうつぶせに横になり、目を閉じている。心地よく、享楽的な愛撫だ。人妻の柔かな指先が、的確に男のつぼをとらえ、情欲的に刺激してくる。

この人妻に完全に溺れている。小野田は、その事実をもはや否定しようとはしない。交渉相手として、ただ一夜の満足のためにこの宿に呼んだ人妻の肉体に、彼は完全に魅せられた。

支配されているといってもいいかもしれない。もはや、主導権はこの人妻が握っている。小野田は、そんなことを考えながら、しかし、それでも構わない、という気分だった。

俺は一生、この女を抱き続ける。小野田は、過去の人生では考えたこともなかった決意を、今、胸に抱き始めていた。それほどに、この人妻の肉体は、彼の欲情をそそるものだった。

自分の腕の中で激しく乱れた人妻の姿を思い出す。あっ、あっ、という短くも、深い喘ぎ声。豊かに盛り上がった乳房が揺れ、引き締まった腰を恥ずかしげに、しかし大胆に振る姿。

男の胴をきつく挟み込んできた、長く熟れた美脚。そして、敏感すぎる秘所。たっぷりと濡れた美唇は、何度も震え、男のものを追い込むようにくすぐり、強く締め付けてきた。

目を閉じたまま、小野田は江利子の姿を想起する。その人妻が今、自分に丁寧な愛撫を与えているのだ。江利子の指先が裸体を這うのを知り、小野田は再び興奮を感じ始めている。

人妻の指先が、男の両足の愛撫に移行していく。彼の足の隙間を少しずつ開くように、人妻の手が動く。男のつまさきからふくらはぎ、腿、そして根元までを人妻の指先がうごめいていく。

江利子の指先が、うつぶせになった小野田の股間に達し始める。人妻に、それを嫌悪する気配はない。逆にその存在を強く意識するように、人妻の指が男のものに泡を与えていく。

「奥さん、手じゃなくて、体も使ってもらえるかな・・・・・・」
人妻の意向を確かめるように、男は目を閉じたまま、そっとささやいた。人妻に戸惑う気配はない。指先の動きを止めた江利子が、凛とした声を男に向ける。

「わかりました・・・・・・・・」
人妻の指が男から離れる。うつぶせのまま、男は想像する。背後にいる人妻が、その見事なスタイルを誇る裸体に、純白のソープを塗りたくっているところを。

やがて、江利子が再び小野田の近づいてくる。ためらうことなく、人妻が男の裸体に脚を広げて跨ってくる。両手を男の背中で動かしながら、少しずつ、その肢体を前傾させてくる。

人妻の乳房が、男の背中に触れる。突き出した胸の膨らみを押しつけるように、人妻の全裸が男に密着していく。江利子は小野田の両肩に背後からしがみつき、彼の上でうつぶせになる。

そのままの体勢で、人妻は男の肉体をきつく抱いた。男の首筋に顔を埋め、人妻は動こうとはしない。江利子の息吹を耳元で感じながら、小野田はただそれだけで興奮を加速させた。

密着する人妻の裸体が、再び熱を帯び、男を欲しがっている。小野田はそんな確信を抱く。背中に密着する人妻の乳首が、ソープに包まれたまま、硬くなっていくことを感じる。

「奥さん、動くんだ・・・・・・・」
「はい・・・・・・・・」

石鹸に包まれた人妻の裸体が、男の背中の上で滑り始める。美脚は大胆に広げたままだ。背中の上の人妻の息遣いが、あの部屋の時のように、再び乱れ始めたことを男は知る。

「あそこを俺にこすり付けるように動くんだ、奥さん・・・・・・・」
江利子に拒絶する雰囲気はない。彼に指示されるがまま、人妻は裸体の滑らせ方をより大胆な動きに転化させていく。広げられた人妻の両脚の付け根が、男の太腿に擦れ合っていく。

人妻の濡れたヘアを感じる。そして、その後に続く柔かな淫肉の気配。人妻はその大切な部分を男に擦り付け、自分自身の興奮を求めるように、いやらしく裸体を運動させていく。

「気持ちいいだろう、奥さん・・・・・・・・」
うつぶせのまま、小野田は片手を背中に伸ばす。江利子の盛り上がったヒップを揉みしだき、大胆に広げられた太腿に指先を伸ばす。じわじわと、それを奥にまで滑らせていく。

人妻の裸体が震える。言葉を発することはない。あくまでも殊勝な態度で、小野田に尽くし続ける。そこに、江利子の秘めた欲情が隠されていることを、小野田は既に知っている。

男の指先が、人妻の泉に達する。その指先で、僅かに表面を撫でる。それだけで男は知る。既にたっぷりと、その淫肉が濡れていることに。男の指先が、ぐいとそこに挿入される。

「あっ・・・・・・・・・・・」
江利子が肢体の動きを止め、小さな声を漏らす。

「奥さん、また欲しいんだろう・・・・・・・・・・」
小野田の言葉に、江利子は沈黙を貫いている。それは、男の指摘を認めたことでもあった。

「そろそろ仰向けにしてもらおうか、奥さん」
それが何を意味することなのか、男は説明をしようとはしない。人妻もまた、それを問いただすこともなく、男の背中から下り、彼の裸体をそのまま反転させた。

弾けるように勃起した小野田のものが、江利子の瞳にとらえられる。人妻の表情は、部屋の中で見せたそれと、何ら違いはない。むしろ、一層の欲情に支配されているようにも見える。

「握るんだ、奥さん・・・・・・・・」
ためらいながらも、江利子の手が小野田の股間に伸びていく。すべやかな指先で、彼のものを包み込む。その状態を確認するように、江利子は何度も強く指先に力を込める。

「硬いだろう、奥さん・・・・・・、奥さんをまた抱きたがっている・・・・・・・・・」
男のものを握りしめたまま、人妻は上半身を倒していく。仰向けになった男と、人妻は濃厚なキスを交わす。男の手が人妻の乳房を揉む。息を乱しながら、人妻は脚を広げていく。

「小野田さん・・・・・・・・・」
江利子が、初めて自分から言葉を漏らす。小野田を見下ろす江利子の瞳が、官能の色を伴って潤んでいる。欲情に我慢できない一人の人妻がそこにいる。

美脚を広げ、人妻が裸体を男にまたがり、腰を近づけていく。男の両手が、人妻のくびれた腰にソープを延ばす。濡れ光る人妻の陰唇が、男のそそり立つ淫棒の上で静止する。

「欲しいんだろう、奥さん・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

唇を噛んだまま、江利子はゆっくりと腰を沈めていく。先端が触れ、ゆっくりと棒が侵入してくる。人妻の唇が快感と共に開く。待ち切れないように、江利子は一気に腰を落とす。

「ああんっ!・・・・・・・・・・・」
深い嬌声が、人妻の体奥から溢れ出す。

自ら脚を広げ、夫とは別の男の上で貫かれることを欲した自分を恥じながら、しかし同時に、江利子は肉体の欲情を制御することが無理であることを感じていた。

40年近く生き続けてきた自分が、このような快楽の存在に初めて気付いてしまった。それに気づかぬまま生涯を終えるという選択肢もあったはずだ。果たしてそのどちらが・・・・・。

いや、もはや、遅いのだ・・・・・・。

からみつく邪念を全て投げ捨て、江利子は今、この瞬間の快楽に身を委ねることを決意する。女として、最上の感覚を、ここにいる彼だけが、私に与えてくれる・・・・・・。

「あっ・・・・・・・・・・・、あっ・・・・・・・・・・・・・・・」
小野田の上で腰を振り始めた江利子の口から、小さな息が漏れ始める。

夫以外の男を欲した自分がどう罰せられるのか、江利子は勿論知っている。

それは、自分自身が既に決めたことだから・・・・・・・。


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Comment
自ら決めた罰。
1回戦:部屋の中、2回戦:露天風呂の洗い場、3回戦は、露天風呂?江利子さんの熟れた肉体の魅力に、絡め取られた小野田。江利子さんも又、女の悦びに、全てを捨て去る。御両親の影がチラついているような。一時のセックスの快楽と引き換えに、破滅へ向かって一直線……。

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