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夫の秘密、或いは妻の秘め事(7)

2014 08 11
寝入っていたはずの夫がいつしか目を覚ましていることを知り、希美子は鼓動を高めた。だが、胸元まで水に浸かるほどの海の中では、すぐにどうすることもできない。

砂浜にいる夫は、果たして私がここにいることに気付いているのだろうか。サングラスで隠された夫の目は、しかし、確かにこちらのことをじっと見つめているように思える。

妻のすぐ背後に二人の若い男が立っていることに、気付かぬはずはないだろう。いや、波打ち際からここまで手を引かれて導かれた妻のことも、夫は見つめていたのかもしれない。

平凡な夫婦間であれば、このようなシチュエーションは起こりえないものだ。夫の寝ている間に妻が若者たちと戯れ、その罰ゲームの材料として自らの肢体を提供しようとしている。

そんな奔放な妻は、普通ならどのように非難されても不思議ではない。しかし、私はそれとは違う。希美子は夫に見つめられるのを感じながら、改めて自らの目的を思い起こした。

夫が目を覚ましてくれるのなら、自らの妄想の過ちに気付いてくれるのなら、そんな機会を逃すわけにはいかない。願ってもない状況が、まさに今現実に始まろうとしているのだ。

「キミコさん、こんなところ触っちゃ、やっぱり駄目だよね」
背後に立つ若者が、海中で伸ばした手を引っ込め、申し訳なさそうに人妻の耳元でささやいた。背中を触るだけと言いながら、人妻のヒップに指を伸ばしたことをひどく悔いているようだ。

だが、希美子は少しだけ顔を横に向け、小さな声で背後の男に指示を出した。

「仕方ないわね」
「えっ?」

「いいわよ、少しくらいなら」
「えっ・・・・・、ほんとにいいの?・・・・・・」

「でも・・・・、あまり調子に乗らないでね。人妻なんだから」
希美子はそうささやきながら、再び夫を見つめた。デッキチェアに座ったまま、はっきりと妻の姿に視線を注いでいる。夫は、果たしてどれほどに感情を揺らし始めているのだろうか。

勿論、それを知ることはできない。ここからでは夫の表情の変化もわからなければ、息の乱れを聞くこともできない。だが、あの医師、柴田の話が本当だとしたら、夫は今・・・・・・。

あなた、こんな私を見て本当に興奮するっていうの?

希美子は、それが信じられなかった。夫にそのような性癖があることを受け入れることなどできないし、妻が苦境に陥るようなことがあれば、夫は当然救い出してくれると信じたい。

「キミコさん、じゃあ遠慮なく」
考えを巡らせている希美子のヒップを、再び背後の男の手が覆った。

一度離れた指先に再び責められることが、希美子の冷静さを僅かに奪う。水着の上から、若者の10本の指先が希美子の丸く張り出した美尻を丁寧に愛撫していく。

「こんなこと私が許したなんて、お友達に言っちゃ駄目よ」
海の中でこんなことをされているなんて、夫には勿論気付かれてはいない。だが、希美子はそれが全て見透かされているような気がして、深い羞恥と戸惑いを感じ始めていた。

若者の指先が希美子の腰を掴む。背後にきつく引き寄せられ、希美子は思わず後方の若者にもたれかかるようになる。彼の指が前方にまわりこみ、腹部の辺りを撫でてくる。

「キミコさんの肌、すべすべだね」
「海の中でそんなことわかるわけないでしょう」

敢えて余裕を漂わせながら、希美子はそう答えながらも、妙な感覚の存在を認めないわけにはいかなかった。長い間、夫にはまるで抱かれてはいない体だ。

しかも、こんな風にたとえゲームという環境であっても、夫以外の男に下半身をまさぐられる経験など、希美子には勿論ない。彼の指先が次第にくすぐったく、同時に妖しげに感じられていく。

「ねえ、そんなに一生懸命動かさないでいいのよ」
「感じちゃうの、キミコさん?」

「まさか、そんなんじゃないわよ」
「ご主人にはいつもこんな風なこと、されてるんでしょう」

「想像に任せるわ」
夫の姿を見つめたまま、希美子は背後の若者にそうささやき返す。

彼の腰が、海の中で希美子のヒップに密着してくる。希美子はその存在を感じてしまう。既に、若者の股間は水着の下で硬くなり、その逞しいものが希美子の肉体に接してくる。

そろそろいいのではないだろうか。希美子は夫に対して見せつけるようなこの行為が、最初のトライアルとしては既に十分すぎるほどの時間と内容を消化したと感じていた。

ここで止めた方がいい。背後の若者がその股間をぐいぐいと押し付けてくることを感じながら、希美子はそう考えた。だが、人妻の意志を乱すように、もう一人の男が接近してきた。

「キミコさん、俺も我慢できませんよ」
友人のすぐ隣に立ち、同じように希美子の背後からその手を伸ばしてくる。じっと見つめていたためか、最初から興奮を隠すことなく、大胆にその指先で希美子の水着を握ってくる。

「ちょっと待ちなさい・・・・・、二人で一緒なんて駄目よ・・・・・・・」
「キミコさん、楽しませてあげますから」
「楽しめるわけないでしょう、ちょっと、ふざけないで」

だが、二人はもはや、制止することなどできないようだった。一人の男が希美子の美尻をたっぷり揉みしだき、もう一人の男の指先が、人妻の太腿の隙間を探してくる。

「やめなさい・・・・・」
若者への指示は、しかし、厳しい口調ではなかった。希美子の心のどこかで、まだ迷いがあった。夫には、もう少し妻の困惑を姿を見せてやったほうがいい。そんな感情がどこかにあるのだ。

人妻がその行為に合意したと、二人は完全に思い込んでいる。希美子がどのような思いから二人とこんな風に戯れているのか、若者たちは勿論知らないし、知ろうともしない。

「キミコさん、気持ちよくなってきたんでしょう」
完全に勘違いをしたまま、二人の行動が海の中で更に大胆になっていく。希美子の裸体を撫でまわし、その指先を胸元に伸ばす。波に見え隠れする人妻の乳房を、彼の手が包む。

「そこは駄目っ、人が見てるわ・・・・・・・」
夫にそれが露見することを、希美子はやはり避けようとした。だが、若者は希美子のビキニを撫でながら、形よく盛り上がった乳房を濃厚に揉みしだき始める。

「怒るわよ、ほんとに・・・・・・・・」
もう一人の男は更に大胆だった。海の中で、その指先を希美子の水着の裏側に滑り込ませる。そして、希美子の大切な秘所の部分に指先を伸ばし、割れ目を探そうとする。

「そこはいやっ・・・・・・・」
小さな声で制しながら、希美子は砂浜の夫を見つめた。

あなた、助けて・・・・・・・、私、こんな目にあっているのよ・・・・・・・・・・

夫にそう懇願すると同時に、希美子は激しい熱を感じ始めていた。海の中にいるのに、肌に汗が浮かんでいることを感じる。時折全身が震え、立っていられないような気分になる。

若者たちの硬い股間が、希美子の下半身に密着してくる。いつしか、希美子は彼らのそれを想像してしまう。逞しい若者たちの肉体が、希美子をどこかに誘うように促してくる。

夫は依然として、動こうとはしない。希美子は海に立ったまま、肢体を僅かにくねらせ、懸命に男たちの指先から逃れようとする。そんな人妻の頬を、一人の男が突然拘束する。

「キミコさん、キスさせてもらうよ」
人妻の顔を横に向かせ、若者が強引に唇を重ねてくる。

「いやっ」
二人の唇が触れる。濡れた男の唇を、希美子は感じる。男は想像以上の巧みさで、希美子の唇を吸い始める。夫に目撃されていることを感じ、瞬時に希美子は強く首を振る。

「いいかげんにして。もうおしまいにしましょう」
はっきりそう言い切ると、希美子は強引に二人から肢体を離した。そして、彼らを後方に置き去りにしたまま、砂浜に向かって海の中を歩き始めた。

多くの海水浴客をかき分けながら、希美子はまっすぐに進んだ。同じグループの若者3名が、波打ち際で申し訳なさそうな表情で希美子を見つめ、声をかける。

「キミコさん、怒った?」
冷静さを少し取り戻していた希美子は、クールな口調で答えを返す。

「楽しかったわよ。また遊びましょうね」
軽く手を振りながら彼らと別れ、希美子はやがて夫の待つデッキチェアに戻った。

「何だい彼らは。随分若いみたいだけど、たまたま知り合ったのかい?」
妻にそう聞く夫の声色には、しかし深刻に問い詰めるようなトーンは微塵もなかった。

「そうなの。一緒にボール遊びしようっていうから、つい、ね」
「よく見えなかったけど、あんな沖でも何か遊んでいたのかい?」

夫が故意にそんな質問をしたわけではないことを、希美子は確信した。遠くの海の中にいる人の姿をここから捉えることは、想像以上に困難なのだ。

希美子は実際にここから海の中を見つめて、それを知った。多くの海水浴客の存在が、沖への視線の妨げになっている。希美子にはもう、あの2人の若者の姿も見えやしない。

「もう少し深いところで一緒に歩きましょうっていうから。それに付き合っていただけなの」
「そうか。希美子もまだまだ捨てたものじゃないね」
「あら、失礼ね。当たり前でしょう」

冗談ぽくそう言いながら、同時に希美子は何か冷たいものが心に刺さる気がした。夫のさりげない言葉に、妻に秘めた欲情の一端が垣間見えたように思えたのだ。

陽はまだ高い。海岸での休日が終わったわけではないことを、希美子は感じていた。


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Comment
始まりました
若い男の子のイタズラを、なんとかやり過ごした希美子さん。でも、百戦錬磨の男に目をつけられたら、崩れそうです。自分の目的と、夫以外の男の手プラス夫に見られているという意識。天秤は、どちらに?

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