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夫の秘密、或いは妻の秘め事(9)

2014 08 18
夫は、毎夜妄想と共に見つめていた動画のストーリーを現実のものとするために、ここにやってきたのだろうか。そう考えるだけで、ベッド上の希美子は妙な熱を感じてしまうような気がした。

マッサージサービスを提供するという海の家。この場所に来るまで、夫は己の意志を曝け出すような仕草はまるで見せず、ただ妻の意向に従うという姿勢に徹していた。

それはカムフラージュだったのかもしれない。ベッド上でうつ伏せになったまま、希美子はそう考えた。願ってもない展開に、夫は密かに興奮を覚え、自分から待望してここに来たのだ。

ならば、これは夫の本当の姿を確認できるチャンスだ。まさか、怪しげなネット上の動画のように、ここで何か起きるわけではないだろうが、それでも、夫は変化を見せるかもしれない。

自分が横になるベッドと夫のベッドの間には、視線を遮るように、白いカーテンが存在している。だが、天井からぶらさがっているだけのその存在は、勿論音声まで遮断する効果はない。

水着姿でうつ伏せに横になったまま、希美子は純白のカーテンに視線を注いだ。よく見ると、その生地は向こう側がかすかに透けて見え、何となくではあるが、人影が確認できるようである。

夫は私のことを、このカーテンの向こうから観察している・・・・・・。不確かな映像と、確実に漏れ聞こえてくる声を併せて、こちらの様子を濃厚に想像しているのだ・・・・・・。

「こちらにはよくいらっしゃるんですか?」
夫のことを一心に考えていた希美子は、背後からの声にすぐ反応できなかった。

「えっ?」
「こちらの海には毎年ご主人と?」

顔を横に向け、希美子はベッドのすぐ横に立つマッサージ師の顔を見つめた。罪のない笑顔を浮かべた40歳前後と思われる男性は、一応、白衣らしきものを身につけている。

「い、いえ、実は今回が初めてなんです」
「そうですか、じゃあ、こちらのマッサージも砂浜で強引に勧誘されて」

「あっ、そういうわけではないんです・・・・・・、少しばかり興味がありましたから・・・・・・・・・」
「マッサージやエステにはよく?」

「いえ、めったに行かないんですが・・・・・・、何だか私、訳のわからないこと喋ってますね」
「ははは、いやいや、十分わかりますよ」

まさか、夫の秘めた欲情の存在を、ここに来た理由として説明するわけにはいかない。どぎまぎしながらも、希美子はその男性マッサージ師の気さくそうな性格に、少し救われた気がした。

このような会話が、全て夫に聞かれている。夫にとって、妻が他の男性と話をするところをその場で見たり聞いたりすることなど、最近ではほとんどないはずだ。

それを自覚した希美子は、更に肢体の熱が増してくるような気がした。妙な展開だった。夫の様子を確かめようとここに来たのに、自分が逆に緊張を高め、戸惑い始めている。

先ほどの大学生たちとの戯れと同じだ。夫を試そうとした自分が、いつしかその罠に溺れ始め、あやうく引きずり込まれるところだった。希美子はそれを思い、緊張を高めた。

このマッサージ師であれば、何か変なことをされる恐れはないだろう。リラックスして、ただ素直に彼が施すサービスを享受するのだ。密かに夫を観察しながら。

「奥様、こちらはアロマオイルの全身マッサージが売りですが、それでよろしいですか」
「お任せしますわ」

深く考えることなく、希美子はそう答えた。すぐ外には真夏の海、そして焼けつくような砂浜が広がっている。多くの訪問者の歓声、音楽、そして波の音が壁の向こうから聞こえてくる。

そして、反対側には夫がいる。希美子は思い出す。夫にサービスを施すのが若い女性であったことを。息を潜めたが、希美子には隣の空間の声が、まるで聞こえなかった。

「奥様、失礼ですが、こちらを少しだけ外してもよろしいですか?」
「えっ?」

希美子は、彼の言葉が意味していることに、すぐ気付いた。まだ触れられてはいない背中に、彼の視線が注がれている。胸元を隠すビキニの紐が、希美子の白い背中で縛られている。

「オイルを施すのにないほうがいいですから。いや、奥様がこのままでとおっしゃるなら、勿論、このままの状態で塗らせていただきますが、いかがでしょうか?」

この会話を聞きながら、夫は何を想像しているのだろう。男性マッサージ師が私に何を要求しているのか、果たして夫は理解しているのだろうか。それを考えつつ、希美子は答えた。

「外してもらって結構です」
「かしこまりました」

自分自身が、至極当然のようにそんな答えを返したことに、希美子は少し混乱した。夫を意図的に刺激しようとしている自分。その行動が加速しないよう、希美子は自制を改めて誓う。

彼の手が水着に伸び、紐を外す。うつ伏せのこの状態では、乳房が露わにされることはない。だが、希美子は夫以外の男性にそうされ、鼓動を高めないわけにはいかなかった。

自分の置かれた状況を忘れようと、希美子はカーテンを見つめた。女性スタッフが動く様子が見えるような気がする。夫もマッサージを開始されたのかもしれない。

その瞬間、希美子は背中に冷たいオイルが触れるのを感じた。驚きからとも快感からとも取れるような小さな息を、希美子は思わず吐き、肢体を僅かに震わせた。

「気持ちいいですか、奥様?」
「い、いえ・・・・・・、少し驚いただけです・・・・・・・・・」

「はじめに背中、脚、そして足裏をさせていただきます。後半は仰向けになっていただいて、脚の前、腕、手、そして肩と順にマッサージさせていただきますね」

男の手が、たっぷりとしたオイルを希美子の背中に広げ始める。その手が動くたびに、希美子は濃厚な心地よさに包まれ始めた。アロマの香りが、室内の享楽的なムードを増していく。

ただオイルを、背中にねっとりと伸ばしていくだけだ。にもかかわらず、希美子は最初からこれほどの気持ちよさを感じ始めた自分に、戸惑わないわけにはいかなかった。

彼の指先は、単純に見えながらも実は細やかに動き、丁寧な愛撫を希美子の背中に与えてくる。それは、くすぐったさが入り混じった、明らかな快感だった。

「とても気持ちいいんですね・・・・・・・・」
希美子は自分自身の戸惑いをごまかすように、敢えて明るい口調でそう言った。

「ええ。初めての方であれば特にそうかと思います。次第にもっとよくなってきますから」
彼のその言葉が、希美子の体奥で意味深に響く。希美子は思い出していた。午前、海の中で若者たちに荒々しくヒップや乳房をいじめられた、あの背徳な刺激の記憶を。

それは、肉体にはっきり刻み込まれ、今、急速に蘇ってきている。希美子は小さく唇を噛んだまま、やがて瞳を閉じた。マッサージ師の手が、人妻の脇腹に伸びていく。

希美子の見事な腰のくびれを確認するように、オイルが伸ばされていく。下腹部に熱のような存在を感じ始めながら、希美子はあくまでも平静な息遣いを維持しようとした。

「随分お疲れのようですね、奥様」
男の指先が、希美子の脇腹を何度も辿りながら、肩の辺りにマッサージを与え始める。首の近くは、希美子自身、妙に感じてしまうスポットの一つだった。希美子は懸命に、普通の声を装った。

「主婦の疲れが出ているのかもしれませんわ」
「どこか特にして欲しい場所があれば、遠慮なく言ってください」

男の手が、いったん希美子の裸体から離れる。安堵したのもつかの間、今度はその指先が希美子の剥き出しの太腿に触れた。そして、オイルと共により繊細な愛撫をそこに与え始めた。

マッサージがこんなに気持ちいいなんて・・・・・・・・・・・

左右の脚を癒されながら、希美子はそう思わずにはいられなかった。彼は何も特別なことをしているわけではない。増して、妄想で描かれた様な猥褻な責めを与えてくるわけでもない。

にもかかわらず、希美子は自分の快楽が少しずつ増しているのを感じていた。それはあの大学生たちのせいかもしれなかったし、或いは隣室の夫のせいかもしれなかった。

「どうですか、奥様」
「ええ・・・・・・、とても気持ちいいです・・・・・・・・・・・・」

「奥様、もう少しだけ脚を広げていただけますか?」
「脚、をですか?」

「オイルを確実に塗りたいですから」
「わかりました・・・・・・・」

「そうですね・・・・・・、奥様、すみません、もう少しお願いします・・・・・・・・・」
「これぐらい、でしょうか・・・・・・・・・・・」

ほんの僅かではあるが、希美子はそれまでぴたりと閉じていた両脚の隙間をあけた。マッサージ師の指先が容易に割り込み、柔かな腿に、より濃密な刺激を与え始める。

希美子は更に強く、唇を噛んだ。枕の上で横を向けた顔は、幸い、マッサージ師とは逆方向を見ている。自分自身の戸惑いと心の揺れを、希美子はこの男に気付かれたくはなかった。

彼は黙々と単調なサービスの提供に徹してくる。次第に、希美子にはそれが押し寄せる波のように思えてきた。アロマのせいなのか、全身が火照るほどに熱くなってくる。

彼の指先が、太腿のかなり上の辺りに愛撫を与え始める。ビキニの水着には決して触れない。しかし、ヒップとの境界線ぎりぎりの箇所にまで、その指先はオイルを与えてくる。

そこはあまりしないで・・・・・・・・

両脚、そして腰を思わずもじもじと動かしたくなるような気分になる。鳥肌が立つような感覚に包まれながら、希美子は羞恥と困惑の渦に徐々に引きずり込まれていく。

「あ、あの、そこは・・・・・・・・・・・」
希美子は助けを求めるように、思わず小さな声を漏らした。

「奥様、大丈夫ですよ。無理に我慢なさる必要はありませんから」
マッサージ師は、希美子の快楽を見透かしたような言葉を投げてくる。気持ちいいのなら、恥ずかしがることなく声を漏らしてください。彼は、人妻にそう促しているのだ。

そんな声が夫に聞かれたなら・・・・・・・。でも、マッサージで気持ちよくなるだけでしょう・・・・・・・。恥ずかしがることなく、少しくらいの声は我慢する必要はないわ・・・・・・・・。

葛藤を繰り返している希美子の耳に、隣室から女性スタッフの声が聞こえた。

「ふふふ、気になりますか、奥様のことが?」

夫はやはりこちらの様子を観察しているのだ・・・・・・・。それを知った希美子の太腿を、更に刺激的に男の指先が責めてくる。その指が押される度、希美子は唇をかすかに開き始める。

人妻の指が、何かに耐えるようにベッドの端を密かに掴み始める。


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>>すみません、次回更新22日(金)とさせてください。よろしくお願いします。
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No title
「海の家」プラス「オイルマッサージ」という、AV顔負けのシュチュエーション。ご主人(隣で、ソープランド状態?)がカーテン隔てて居るので、本番まではいかないでしょうが、女の体を知り尽くしたマッサージ師の技に、イカされてしまいそう。
ガーン😱今日はこの為だけに生きてたのに残念です…(T_T)

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