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刻み込まれた快感(19)

2015 06 05
あの柔らかな毛の感触が、朱里の脇腹を襲った。

触れるか触れないか、微妙な距離を保ちながら、朱里の素肌の上を震えるように動き始める。全身に鳥肌を感じるほどの刺激に、乾いた人妻が濡らされていく。

「動かないで、朱里先生」
早川の言葉に朱里は唇を噛むことしかできなかった。

紛れもなく、彼は筆を握っている。下着だけを身に着けた人妻の姿を見つめ、いじめ抜こうとしているのだ。目隠しをされたまま、朱里はこれから始まる彼の責めを想像した。

筆先は左右の脇腹を交互に責めてくる。そのたびに、朱里は脚を僅かに曲げ、指先を座布団の上で震わせる。くすぐられるような刺激は、確かな快楽の気配を伴っている。

「朱里先生、腕をこうして」
彼に促されるまま、朱里はばんざいをするような恰好で両手を頭上に置いた。

筆先が、朱里の腋の下に触れた。

「あっ・・・・・・・・・」
人妻は、思わず甘い息を吐いてしまう。

腋の下から鎖骨付近、首筋、そして、耳の辺りへと、筆先が細やかに動いていく。その震えるような快楽の気配は、全て朱里の下腹部に向かっている。

やめてっ・・・・・・・・・・・

目隠しをされた状態で、朱里は心の中で何度も叫ぶ。しかし、早川が筆先を離した後には、別の欲情が体奥に芽生えてくるのだった。

お願い・・・・・・・・、もっとしてくださいっ・・・・・・・・・・・・・・

朱里の戸惑いを、彼は憎らしいほどに読んでいた。焦らすような間隔を維持しつつ、朱里の首から腋の近辺を巧みに責めていく。やがて、その筆先が朱里の乳房の先端にブラ越しに触れる。

「あんっ・・・・・・・・・・・・」
ただそれだけの刺激で、朱里は背中を浮かせるほどに敏感に反応してしまった。

自分の体に何が起こっているのか、朱里にはまるでわからなかった。肢体が汗ばむほどの熱を帯びている。ただ筆先でいじめられるだけで、たまらなく、肉体が何かを欲している。

過去の人生で、こんな気分になったことなど一度もなかった。

美しく丸みを帯びて盛り上がった乳房の上を、下着越しに筆先が動いていく。両手は揃え、頭上に置いたままである。朱里は次第に、筆先の動きに呼応するように、唇を開き始めた。

「あっ・・・・・・・・・・、やっ・・・・・・・・・・・・、あんっ・・・・・・・・・・・・・・・・」
全身を布団の上でくねらせていく人妻。蕩けるほどの何かを宿った下腹部を想像し、朱里は羞恥の渦に陥っていく。

「早川さん・・・・・・・・、駄目っ・・・・・・・・・・・・・」
肌の上に汗が浮かんでいることを感じる。朱里は、肉体の変化を彼に気づかれることを恐れた。

「ここでおしまいにしておきますか、朱里先生」
彼の問いかけに、朱里はしかし、答えることができない。

「続きはまた今度にしましょうか」
早川の言葉が、朱里の興奮をかき乱していく。

今夜だけではない・・・・・・・。こんなことを次もするのだ・・・・・・・・。

だが、今夜ここで終わることなんて・・・・・・・・・・・。

今夜は夫の帰宅が遅いことを、朱里は改めて思い出した。

「もう少しだけしましょうか、朱里先生」
人妻の本心を見透かすように、彼が提案する。

「お願いします・・・・・・・」
朱里は、小さな声で彼に答えた。

「うつぶせになりましょう」
促されるまま、朱里は肢体を反転させる。

枕代わりの座布団を両腕で抱えるようにし、朱里は彼の行為を待った。背中から裸体を見つめられることに、朱里は新たな恥ずかしさを感じてしまう。

「こうしますね、朱里先生」
早川の指先が、初めて朱里の肌に触れた。

彼の指が、朱里の白色のブラのホックを外す。鼓動を激しくしながら、朱里は筆先が次に触れることを想起した。その瞬間、自分がどうなってしまうのか、朱里は想起することができなかった。

筆先は、しかし、ブラが外された背中に触れることはなかった。

息が詰まるような沈黙。

早く・・・・・・、早くしてっ・・・・・・・・・

懇願するように、人妻は心の中で叫ぶ。そして、その直後、朱里は艶めいた声を漏らす。

「あんっ・・・・・・・・・・・・・・」

筆先は、朱里の熟れた太腿の裏側をくすぐるように動き始めた。ゆっくりと、何度も寄りみちをしながら、少しずつ、本当に少しずつ時間をかけて、内腿に、奥へ、奥へと進んでいく。

朱里は歯を食いしばるほどの快楽に翻弄されていく。

筆先を招き入れるように、朱里は自ら太腿を広げていってしまう。

足の裏、足首、ふくらはぎから太腿まで、筆先にたっぷりと両脚をいじめられていく。何度も首を振り、顔を布団に埋める。震える指先で布団を握りしめ、声を漏らす。

「あっ・・・・・・・・・・・・・・・、やっ・・・・・・・・・・・・・・・・」

脚がこれほどに感じやすいスポットを多く持つことに、朱里は初めて気づかされた。筆先が人妻の弱点を次々に暴いていく。膝裏から内腿の辺りをいじめられるだけで、朱里は激しく悶えた。

「駄目っ、そこは・・・・・・・・・・・・・・、あんっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

既に夜が訪れている。固く閉ざされた和室の襖の外側も、闇に包まれている。留守を思わせるように全ての部屋の照明がおとされた家で、そこに住む37歳の人妻が快楽に苦悶している。

うつぶせの格好で座布団にしがみつき、我慢できない風にそれを噛む。全身をけいれんさせるように時折震わせ、耐え切れず、唇を開く。

襖の中にいる人妻の喘ぎ声が、その外側にまで漏れ始めている。

「あっ・・・・・・・・・・・・、あっ・・・・・・・・・・・・・・、あんっ・・・・・・・・・・・・・・・」

予定を変更して帰宅を早めた人妻の夫が、家路を急いでいる。


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