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LOVE47(11)

2015 10 23
氷とグラス2個、そしてウイスキーボトルを盆に乗せ、葉子は応接に向かった。

「失礼します」

そこにいる二人の男には視線を向けることなく、葉子は室内に入った。

そして、仕方ないといった風情で、夫の目の前の椅子に深々と座る男を見た。

「お久しぶりです、佐伯さん」

軽く頭を下げ、テーブルに酒を並べた後、すぐにそこを去ろうとした葉子だったが、想像通り、男が声をかけてきた。

「奥さん、いつもすみませんね」
「いえ・・・」
「ここでいただく酒がやはり一番おいしいんですよね、私は」

夫と同い年、50歳の彼は、やはり夫同様に、年齢より若く見えるタイプであった。

やせて長身の彼は、少し白いものが目立つものの、豊富な髪を維持している。

初冬だというのによく日に焼けた風貌は、普通のサラリーマンには見えない。

それは事実であり、彼はこの界隈で個人会計事務所を開いていた。

「これ、つまらないものですけどね、奥さんにと思って」
そういいながら、佐伯は手元から小さなビニル袋を差し出した。

「困りますわ、いつも」
中を覗けば、海外で買ってきたと思われるチョコレートが2箱あった。

「理穂ちゃんと一緒にどうぞ」
「まあ・・・・、いつもすみません・・・・・・」

「1週間ばかりね、グアムに行ってきたんですよ」
佐伯は葉子の夫に向かってそう言った。

雰囲気的にすぐにそこから離れられなくなった葉子は、仕方なく二人のために酒を用意し始めた。

「寒いですが、いつも通りロックでよろしいですか」
佐伯の酒の好みを知っている葉子は、彼にそう訊いた。

「お願いできますか」
「あなたもそれでいいかしらね」

葉子の言葉に、夫、直弘は小さくうなずく。

酒を準備する葉子の傍らで、二人は会話を再開した。

「1週間、グアムか。そりゃまた優雅だな」
「なあに、ハワイとは違うさ。3時間足らずで行けるし、小さな島だからな。素朴なところがまだ残っていて、それがいいっていう人もいるけどね」

「12月でも暑いのかい」
佐伯のよく日に焼けた顔を見つめながら、直弘が聞いた。

「十分泳げるね。台風が来てもおかしくないらしい」
「ほう、やはり違うもんだな」

葉子が準備した酒をもらった佐伯は、さりげなく彼女に聞いた。

「どうですか、奥さんも一杯」
「いえ、私は結構ですわ」
「そうですか」

特にしつこく迫ることなく、佐伯は直弘とグラスを鳴らし、うまそうに酒を舐めた。

「野暮な質問だが、今回は誰と一緒に行ったんだ?」
葉子は去るタイミングを計りながら、夫の言葉を聞いていた。

佐伯はいまだ独身を貫いている。

「波多野、それを言わせるのか、奥さんの前で」
佐伯はおかしそうに笑いながら、葉子を見つめる。

「一人じゃないんだろう、勿論」
「お前、とぼけたこと言って、知ってるんじゃないのか、俺がどの女と行ったのか」

それ以上、葉子はそこにいることが耐えられなかった。

「佐伯さん、では、ごゆっくり」
「奥さん、もう少しいいじゃないですか」

酒を勧めたときとは一転し、佐伯は葉子に少し強い口調で訴えた。

その雰囲気を察したように、直弘が言った。

「佐伯、少しここで待っていてくれないか。お前に見せたいものがあるんだ」
「実はそろそろそうじゃないかと思って来たところだ」

「葉子、少し佐伯の相手をしてやってくれ」
「あなた・・・・・」

戸惑う妻をそのままに、立ち上がった直弘はすたすたと応接を出て、そのまま玄関に向かった。

どうやら隣接するクリニックに向かったようだった。

妙な静寂の中、葉子は佐伯に迎ってもう一度声をかけた。

「主人はすぐ戻ると思いますから。では私は」

床にひざまずいていた葉子が立ち上がって辞去しようとしたとき、人妻の手首に男の手が伸びた。

「奥さん、冷たいね、相変わらず」

痩せ型の彼でも、その腕っぷしは強かった。

瞬く間に、葉子は椅子に座る佐伯の膝の上に腰を沈めるような格好を強要された。

「佐伯さん、冗談はよしてください」
「まあ、奥さん。そのまま静かになさってくださいよ」

男は片手でゆっくり酒を舐めながら、人妻を自らの足の上で安定させた。

立ち上がろうとする葉子を、さりげない手つきでけん制し、男はそのままそこにいることを要求する。

葉子はどうすることもできず、彼に背を向けたまま、観念してそこに座った。

やや乱れた髪を整え、葉子は彼から解放されるのを待った。

だが、簡単には男は人妻を放さなかった。

「奥さん、ますます綺麗になったんじゃないのかな」
「そんなこと・・・・・」

「今年47歳か」
「もう年ですわ」

「この体は20代、30代の女よりもはるかに男をそそりますけどね」
佐伯の手が、葉子の背中にそっと置かれる。

そして、その肌の張りをシャツ越しに確かめるように、ゆっくりと動き始めた。

「グアムにはね、20代の若い女を連れていきましたよ」
「素敵ですね」

「本当は別の女性を連れていきたかったんですけどね」
「・・・・・」

「一度でいいから、水着、そうだな、それもビキニ姿をおがみたい女性がいるんですよ」
「そうですか・・・・」
「勿論、裸にできれば最高なんですけど」

佐伯の手が、葉子の盛り上がった胸元に背後から伸びてくる。

柔らかに熟れた膨らみを確かめるように、その手がゆっくりと動き始める。

「佐伯さん、いけません・・・・・・・・」

その言葉を無視し、たっぷりと人妻の乳房を揉みしだきながら、男は酒を時間をかけて舐めている。

「わかってるくせに、奥さん」
「何を、でしょうか」
「俺が連れていきたかった女性が誰かってことですよ」
「・・・・・・」
「一生、俺には頭があがらない幼馴染。その男の妻ですよ」

酒をテーブルの上に置いた佐伯が、両手で葉子の乳房を覆った。

「主人が戻ってきます・・・・・」
「あいつは俺には何も言えません。それぐらいわかってるでしょう、奥さんだって」

男は本格的に人妻の胸の双丘を愛撫し始めた。

彼の足の上に座ったまま、葉子は顔を俯かせ、小さく唇を噛んだ。


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