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LOVE47(17)

2015 11 23
ソファに座った男は、葉子の腰を離すことはなかった。

座り込む彼の勢いに任せてしまうように、葉子もまた前方に倒れこみ、そして、両脚を抱え上げられた。

人妻を自分の腰に跨るようにさせた男が、更に葉子の肢体を引き寄せる。

彼の下腹部が密着してくることを感じた。

「私がさっきから何を考えているのか、あなた、わかってるの?」
「奥さん、つべこべ言わず、キスさせてくれればいいんですよ」

逃がすことを許さないように、男は葉子の腰を片手で抱え込んで拘束した。そして、再び濃厚な口づけを要求してきた。

僅かに唇を開き、葉子は彼の舌と自分のそれが戯れることを許した。男の手は、執拗に乳房を愛撫し続けた。

どこまでも細やかに舌先を動かし、同時に指先を震わせて胸の丘陵をいじめて続ける男。

葉子は、ただ一つのことだけを考えた。

人妻がなぜここに居残り、男にこんなことを許し、そして何を懸命に想像しているのか。ここにいる男に、いや、彼女の夫にさえも、それがわかるはずもなかった。

これほどに情念が熱くなった自分を、葉子には過去思い出すことができなかった。だが、感情を一転に集中させていることが、人妻から警戒心を奪った。

激しく唇を吸いながら、男は人妻が激しく抵抗しないことを察した。男の手がセーターの下に滑り込んでいく。瞬く間にシャツのボタンが外され、その指先が葉子の裸体に触れた。

ブラの上から、男が豊満な人妻の乳房をたっぷりと揉み始める。

「待ちなさい・・・・」
人妻の手が男の手首をつかもうとする。

男はそれを無視し、なおも濃厚に唇を吸いながら、激しく指先を運動させる。スカートが少しずつ捲られ、男の腰が更に深々と女に密着していく。

思わず、葉子は彼の背中にしがみつくように両手を伸ばす。

男が強引にセーターをまくりあげ、その顔を葉子の胸元に密着させていく。巧みにブラのホックを外し、男は葉子のシャツを剥ぎ取るほどに広げる。

鼻を押し付けるようにしながら、男が欲情的に葉子の乳房をしゃぶり始めた。

「これもキスですよ、奥さん」
唇を噛み、葉子はなおもそれに耐えようとした。まるで、犯した罪に対する罰を受けることを選択したかのように。

腰を突き上げるようにしながら、男は人妻の脚の付け根に刺激を与えていく。人妻の肉体が男の上でジャンプするように震え始めた。

「うっ・・・・・・・・・」

何度目かの跳躍で落下したとき、初めて人妻の喉奥からかすかな声が漏れた。

硬く隆起してきた人妻の乳首を、男は唇で噛むようにしゃぶり、吸った。その両手がショーツ越しに葉子の美尻を覆い、いやらしく撫で、揉みしだいた。

瞳を閉じ続ける人妻の髪が乱れ、表情が妖しく歪んだ。

完全にセーターが脱がされ、シャツが大胆に広げられる。

乳房に顔を埋める男の背中で、人妻は抵抗を示すように爪を立てる。

男が葉子の太腿を抱えるように持ち上げ、何度も激しく落下させていく。

「あっ・・・・・・・」

顎を上に向けるようにしながら、人妻が苦悶の表情と共に声を漏らす。

「奥さん、されたくなってきただろう」
男の言葉に、人妻はしかし、依然としてクールな声でささやいた。

「あなたなんか欲しくもない」

その言葉の裏側に隠された人妻の本音に、男はもちろん気づくはずがない。

もう何年も夫に抱かれていない葉子の肉体。佐伯にいやらしくいじめられたときに感じた、妙な嫌悪感。

そのとき以上の屈辱と、押し寄せてくる熱の存在を、葉子は今、感じている。

彼女がすがることができるのは、「彼」だけだった。

葉子はうっすらと瞳を開き、下にいる男を見つめた。そして、軽蔑するような視線を与えながら、

「下手ね、あなたって」

と冷たくささやいた。

「そんなんじゃ人妻は悦ばないわよ」

男の目に、怒りの光が宿った。

その指先が葉子のスカート奥に挿入された。

強引にショーツの裾から潜り込んだ指先が、ずぶりと人妻の秘所を犯した。

「ううんっ・・・・・・・」
葉子は首を振り、再び瞳を閉じた。

「嘘は駄目でしょう、奥さん」
「・・・・・」

「こんなに濡れるほど悦んでるじゃないか、奥さん」
「それは違う人のことを想像しただけ・・・・・・・」

葉子の言葉を無視し、男が激しく右手を往復し始めた。

唇を噛み、葉子は自分に僅かな声でも漏らすことを許さなかった。

男の行為は凌辱的で、巧みだった。ペースを変え、強弱を与えながら、その指先を駆使して、葉子の美唇を責めた。

怒りと戸惑いに支配されていた人妻の表情に、僅かな隙が生じ始める。閉ざされていた唇が小さく開き、だが、何かに耐えるように葉子は強く首を振る。

「奥さん、こんなに濡れて・・・・・」
男の声に、葉子は答えようとはしない。

人妻の美脚が震え、太腿で男の手首を締め付けようとするように、その間隔が狭くなった。男の背中で這う葉子の指先が、屈するように震えた。

「奥さん、欲求不満なんだろう」
葉子の全てを理解したとでもいうように、男がささやいた。

「勘違いしないで!」
思わず、葉子は叫んだ。

そこにいる男、今夜クリニックにいる佐伯、そして、自らの夫に・・・・・・・・。

男がひるんだ、そのときだった。

「店長、どうしましょう、警察来てるんですけど」
ドアの向こう側から、やや切迫した店員らしき声がした。

男が力を緩めた瞬間、葉子は床に転げ落ちるように逃げた。ドアを開け、店内の様子をうかがう男の顔つきが変わった。もはや、葉子には構っていられないようだった。

剥ぎ取られた服をすばやく身に着け、葉子はコートを抱えた。そして、乱れた髪を気にしながら、足早にドアに向かった。

すぐそこに制服姿の警官が2名いるのが見えた。

「この店、ぼったくりバーらしいですから」
そう言うと、葉子は素早くそこを立ち去った。お客さん、と後方から警官が呼ぶ声がしたが、それは特に強いものでもなかった。

外気の冷たさが、葉子に屈辱と悲哀を思い出させた。駆け下りるように外階段を地上に向かい、葉子は人込みもまばらになった通りを走り始めた。

涙が頬を伝った。

自分がどこで何をしているのか、葉子にはわからなかった。迷路の奥に迷いこんだ47歳の人妻を救い出してくれる人間など、誰もいやしないのだ。

終電の時間は過ぎているはずだ。だが、葉子はともかくそこから立ち去ることだけを考えているように、息を乱しながら、走り続けた。

「野畑さん!・・・・・、ねえ、待って、野畑さん!・・・・・・」
その時の葉子には、周囲の声など聞こえるはずもなかった。


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