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LOVE47(30)

2016 01 19
「あっ・・・・・、あっ・・・・・・・、あっ・・・・・・・」

朦朧とした意識の中で、女性が悶え、うめくような声が聞こえてくる。

それが、自分の喉奥から絞り出される喘ぎ声であることに、葉子はまだ気づかない。

乱れた布団を抱え込むようにしながら、そこに顔を埋めている。

柔らかな布地を噛みしめ、唾液で濡らす。

汗と体液で妖しく光る人妻の裸体。

激しく責めてくる彼の勢いに屈するように、葉子は布団から顔をあげ、歓喜の声を漏らしてしまう。

「あっ!・・・・・・・・・、あっ!・・・・・・・・・・・・」

人妻の嬌声と入り混じるように、ぱんっ、ぱんっ、という裸体が激しく触れあう音が、温泉宿の一室を満たしていく。

男の腰と、女のヒップがぶつかりあう音だった。彼の両手が葉子の肩を背後から掴み、細い裸形を力強く後方に引く。

「ああんっ・・・・・・・・」

美しい裸体をしならせ、葉子は自分が布団の上に両ひざで立っていることを知る。

そして、バックから彼に貫かれ、根元まで深々と交わりあっていることも。

葉子の乳房が前方に突き出すほどに、裸体が屈曲していく。秘所が何度も震え、彼のものを刺激する。

体勢を整え、若者が一層激しく腰を振り始める。人妻の肩から胸元を引き寄せ、そして男の手は乳房を包み込む。熟れた女の体を揉みしだきながら、若者は強く腰のものを押し出す。

「あっ!・・・・・・・、あんっ!・・・・・・・・、あんっ!・・・・・・・・・」

完全に意識を覚醒した葉子は、瞬く間に深い快楽の気配を感じる。

たっぷりと全身を歓びの泉に浸らせ、意識を失うほどにそこを漂い続けている。

いったい彼とどれほどの間、こんな風に交わりあっているのか、葉子にはもう見当もつかなかった。

布団の上で横向きに愛され、絶頂にまで達してしまったことを、ぼんやりと覚えている。

だが、その後、彼とどんな風に愛し合ったのか、その記憶はない。

ただ一つはっきりしていること、それは、自分がかつてないほどの快感に襲われ、何度もエクスタシーに達したことだった。

肉体が欲しがっていたもの、それを全て、今夜、彼に与えられた。

そして、そんな彼もまた、今、終着点に達しようとしていることを、葉子は知る。

「早く・・・・・・・・・・・、早く来てっ・・・・・・・・・・・・・・・・」

狂ったように腰を振ってくる背後の彼に、葉子は切れ切れの声で懇願した。

べっとりと汗ばんだ額に、髪がまとわりついている。

ピストンを奥まで与えられるたびに豊満な乳房が揺れ、快楽の震えが葉子の全身に拡散する。

「ああっ・・・・・・・」

悦楽の色を更に濃くし、葉子は表情を歪ませる。

「いくよ・・・・・・」

葉子の両腕を強く引きながら、苦し気にささやいてくる彼。

顎を天井に向け、葉子は満たされた牝の声を隠すことなく披露する。

「ああっ・・・・・・・、凄いっ・・・・・・・・・・・」

九段下で出会ったあの夜の記憶が、葉子の脳裏によぎる。

この若者に全てを与え、全てを奪われたいという欲求。

野獣のように咆哮をあげ、最後の突きを与えてくる若者。

激しく首を振り、唇を淫らに開いたまま、葉子は何度目かの無意識の彼方に運ばれていく。

まぶしい光がまぶたの裏側を走り抜け、周囲が白く包まれる。

そして、葉子は見る。

花園で瞳を閉じたまま、彼と抱き合って動くことなく横たわっている自分自身の姿を・・・・・。

「ああっ、イクっ・・・・・・・・・・」

葉子の唇が開き、官能の告白が漏れた。

びくっと痙攣したように震えた後、葉子の裸体が静止する。

彼は同時に腰を強く密着させ、そのままの体勢で激しく全身を震わせた。

熱い若者のリキッドが、人妻の肉体に激しく、そして大量に与えられた。

ハア・・・・・、ハア・・・・・・、ハア・・・・・・・

息絶えてしまうような呼吸を交わしながら、二人は布団の上に裸体を沈ませていく。

固く、固く互いの肉体を結合させたまま。

*********

「お客様、この雨では山道はあぶのうございますよ」

翌朝、温泉宿の女将がそう忠告するのを、葉子は彼と素直に聞くしかなかった。

外は激しい豪雨だ。

予報では昼過ぎまで止みそうにもない。

元の世界に戻ることを考えれば、そこには午前の早い時間に訪れるしかなかった。

「難しいそうね、この雨じゃ・・・・・」
葉子は残念そうにつぶやきながら、彼の腕にすがった。

「もう一度ここに二人で来なさいってことですよ」
「えっ?」

見つめ返す葉子に、彼が明るい口調で答える。夜明けまで続いた激しい行為がうそのように、いつもの穏やかで、ユーモアをたたえた彼に戻っている。

「いつかもう一度ここに来て、そのときこそ、花畑と湖を見に行きましょうよ」
「・・・・・・」
「花のネックレスはそれまでお預けです。白鳥になるのも。いいですよね」

言葉を返すことができない。葉子は嬉しさに瞳を光らせ、彼に向かって小さくうなずいた。

二人が宿を出たのは、午前9時過ぎだった。

最寄りのローカル線の駅まで、二人は一つの傘に入って歩いた。

「雨と言えば、九段下を思い出しますね」
「傘を返さなくちゃ」
「そうですよ。あれ、高かったんですから」

楽し気に会話を交わしながら、二人は同じ傘の下できつく抱き合って歩いた。濡れたって構わない。葉子は、彼との別離を惜しむように腰に腕をまわした。

駅が見えたあたりで、二人は夢の時間が終わりに近づいていることを悟った。

どちらかともなく立ち止まり、傘の中で見つめあう二人。

多くの観光客が歩く路上だが、傘の中にいることが、二人に隔離されたような錯覚を与えた。

「キスして・・・・・」

人妻の願いに、彼は静かに応えた。

二人のことをずっと尾行していた女性は、素早くスマホを取り出した。

「写真まで撮るのかよ」
「いいから」

表情を硬くしたまま、木崎菜穂子は、前方にいる二人の姿を撮影した。


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