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LOVE47(31)

2016 01 25
彼との初めての旅行で固めたはずの意志はもろくも崩壊した。

木崎菜穂子は自らに対する深い失望を感じていた。

クリニックへの勤務、そして旅行前まで関係があった院長との行為を継続しただけではない。

執拗に要求されていた佐伯という院長の友人との一夜の行為に、菜穂子は遂に初めて同意してしまった。

多少の金銭という目の前の報酬に目がくらんでしまったかのように。

ハアハアハア・・・・・・・・・・

汗ばんだ裸体でぐったりとベッドに横たわり、菜穂子はまだ息を乱している。

すぐ隣には、佐伯が煙草をくわえて寝そべっている。

彼もまた、汗にまみれた裸体を曝け出していた。

彼の手が、まだ満たされぬように、菜穂子の若い乳房に運ばれる。

それを妨げる余裕もないほどに、菜穂子は放心状態にいた。

激しい行為だった。

それは院長である波多野直弘とも違う、もっと濃厚で、激しい愛し方だった。

たっぷりと時間をかけた前戯の後、彼は菜穂子を貫く直前、こんな風にささやいた。

「ずっと君を抱きたかったんだよ」

こんなセリフを、他の看護師にもささやいてきたのだ、この男は。

それがわかっていながら、菜穂子はそのとき、彼の腕の中に落ちることを望んだ。

様々な体位で愛されていくうちに、菜穂子は信じられぬほどに淫らに、奔放になっていく自分を感じた。

自分から恥ずかしげもなく腰を振り、菜穂子は叫ぶほどの嬌声を披露した。

戸惑うほどに濡れたあそこを感じながら、菜穂子はこの時間が永遠に続くことを願った。

「佐伯さん、凄いんだから」

看護師の誰かから、そんな言葉を以前聞いたことを、菜穂子はそのとき、ベッド上で思い出していた。

「あの人にされるまで、あれがあんなにいいなんて知らなかったわ」

それを聞いたとき、菜穂子はその看護師を軽蔑し、すぐに言葉を忘れたものだった。

だが、今夜、ベッドの上で、菜穂子はそれを思い出した。

現実に、自分の肉体にそれが与えられることを感じながら。

男性に愛され、これほどに汗をかいたことも、下半身を濡らしたこともなかった。

ぐったりと瞳を閉じたまま、今、菜穂子は佐伯の好きなように行為の続きをさせている。

「よかったかい?」
乳房を優し気に揉みながら、佐伯が菜穂子にささやきかけてくる。

そんな言葉を堂々と口にする男に対し、素直な答えなど与えたくはない。

だが、菜穂子には彼の言葉を否定することもできなかった。

そこにある自分の躰が、それを認めるはずはなかった。

「・・・・・・」
言葉を返すことなく、菜穂子は沈黙を貫いた。

そんな若い女をいじめるように、佐伯の手つきに力が注がれてくる。乳首をつまみ、そして、唇を撫でてくる。

「やめてください・・・・・」
まだ抱かれているかのようなうっとりとした声と共に、菜穂子は顔を歪めた。

「いい体だ・・・・・」
「・・・・・・・」
「波多野が採用したのも無理はない・・・・・・・」

瞳を閉じたまま、菜穂子は佐伯の手首をそっと握った。そしてささやいた。

「他の看護師さんにも同じような言葉をおっしゃってるんですか、抱いた後に」
菜穂子の、かすかに挑発の色が混じった言葉に、佐伯はおかしそうに笑う。

「そうだ、と言ったら怒るかい?」
「別に・・・・。私には関係ないですから・・・・・・」

佐伯と波多野の関係を、菜穂子は既に知っている。過去の償いをするように、波多野が佐伯に何人もの女性を紹介し続けていることも。

「嘘をつくつもりはないさ。確かに波多野のところにいる看護師のほとんどと俺は寝たよ」
「モテるんですね、佐伯さんは・・・・・・」

「独身男性がどう振舞おうと、別に文句はあるまい」
「それで見つかったんですか?」

「何が?」
「一生愛せる女性と」

饒舌だった佐伯の表情に、一瞬戸惑いの色が浮かんだ。瞳を閉じた菜穂子は、それに気づくことなく、言葉を続ける。

「こんな風にいろんな女性と遊び続けるのは楽しいかもしれませんけど、でも・・・・、どこかで虚しさは感じないんでしょうか」
「なかなか言うねえ、君も・・・・・」

たばこをくわえたまま、佐伯はしばらくの間、沈黙した。抱いた女にそんな台詞を口にされたのは初めてだった。

「一生愛せる女性はもう見つけてる」
罪を告白するかのようにぽつりとつぶやく佐伯の口調に、菜穂子はうっすらと瞳を開いた。菜穂子を見つめたまま、佐伯はどこまで秘密を明かすか迷うかのような雰囲気で言葉を続けた。

「まだ抱いたことはないがね」
「そんな女性が佐伯さんにもいらっしゃるんですね」

「まあな」
「クリニックの看護師さんですか?」

「それはどうかな」
答えを濁すように、佐伯は半身を起こし、たばこをもみけした。

そして、再び菜穂子を抱き寄せ、若く艶めいた肌に包まれた裸体に濃密な愛撫を与え始めた。

「あんっ・・・・・・・・・」
菜穂子は小さく息を漏らしながらも、自分から細い脚を彼の腰に絡め、やがて男と激しく唇を吸いあった。

佐伯がいったい誰のことを頭に思い描いていたのか、そのときの菜穂子はまだ知らなかった。


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Comment
No title
主人公と佐伯のセックスも
期待しています。

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