FC2ブログ

LOVE47(37)

2016 02 16
「水割りでよろしいですよね?」

警戒心を見せることもなく、葉子は普段と変わらぬ様子でテーブルにトレイを置いた。

そこに座る男に視線を注ぐことはない。淡々とした様子でトレイの上だけを見つめ、慣れた様子で水割りをグラス1杯、用意する。

「ホステスさんみたいですな、奥さん」
「佐伯さんには随分鍛えられましたから」

彼の手元にグラスを差し出し、葉子はそのまま部屋を辞去しようとした。

「奥さん、逃げなくてもいいじゃないですか」
彼に手首を握られ、葉子はその場に立ち尽くした。

前を向いたまま、葉子は後方の男にクールにつぶやいた。

「主人はもうしばらくすればこちらに来ると思いますわ」
「だからそれまで少しお話しでもしてましょう」
「佐伯さんと話すことなんて別にありませんから」

彼が手を放すことを想像していた葉子は、何度か腕を振り、その場を去ろうと試みた。だが、どういうわけか、彼は握りしめてくる手の力を増してくる。

「佐伯さん、困ります・・・・・・」
「奥さん・・・・・」

「ここでいたずらされるのは、私、もう嫌ですから」
「何かしたかな、私が」

「しました。無理やり私に・・・・・」
立ち上がった佐伯に、葉子は背後から抱きしめられた。

薄手のワンピースで身を包んでいた葉子は、細い、しかし同時に熟れた肉付きをした肢体に腕を巻かれ、身を硬くする。

「だからやめてください・・・・・・」
佐伯は返事をすることなく、葉子の肉体を更に強く抱いてくる。彼の息遣いを、葉子は首筋に感じた。

「怒りますよ、いいかげんになさらないと・・・・・」

もう何週間も彼とは会っていない。娘との関係は順調に行っているようだ。盛夏の日々を、葉子は空虚に過ごしている。

女ざかりの体を満たしてくれるものは、もはや存在しない。そんな敏感な体は、しかし、佐伯に抱きしめられたところで、何の反応も示さない。

強烈な嫌悪感を漂わせるだけだ。

だが、己の体が、どこかでそんな男でさえも欲しがってしまうような、想定外の危うさを、葉子はかすかに感じている。

だからこそ、背後の男の行為を、葉子は懸命に振り払おうとした。

沈黙したまま、後方から佐伯が密着してくる。彼の深い懐の中に招かれ、背後からしっかりと抱きしめられる自分を感じる。

この男が、自分の躰を強烈に欲していることを、葉子は改めて知る。

「いやですから、私・・・・・・」
彼の指先が胸元を探るように動き始めたことを感じ、葉子はひじを後方に突くように強く振った。

「悪い女だ」
動きを止め、背後から抱きしめたまま、佐伯が葉子の耳元でそっと息を吐く。

「いいかげんなこと、言わないでください」
「いいかげんなことなんかじゃない」

「・・・・・・」
「さんざん俺のアプローチを無視してきましたね、奥さん」

「当たり前です。私には主人が・・・・・・」
「この体を波多野にいったいいつ抱いてもらったっていうんだ?」

いつもとは違う。葉子は佐伯の声色に、単に体を欲しがるような香りだけではなく、深い怒りの色がこもっていることに気付く。

この男は、私に対し、ひどく怒っている・・・・・・。

「もう何年も抱いてもらってないだろう?」
「・・・・・・」

「だから俺が慰めてやろうかって、何度も誘ったのに奥さんは受け入れなかった」
「ですから、当たり前です・・・・・・・・」

「他の男の誘いは受けたのに、か?」
「何をおっしゃりたいの、佐伯さん?・・・・・・」

葉子は、自分自身の言葉が僅かに震えていることに、気づかぬふりをした。

彼の指先が、葉子の美乳をワンピース越しに揉み始めた。ゆっくり、どこまでも焦らすような男の行為を、葉子にはしかし、止める余裕はなかった。

「この胸を波多野以外の男に吸わせたのか、奥さん」
「・・・・・・」

「どおりで最近特に色っぽくなったと思っていたが」
「もう、失礼します・・・・・・」

彼の手を胸元から遠ざけようとするが、葉子はその指先をつかまれた。そして、彼の下半身がヒップに密着することを感じた。

「もう逃がさない・・・・・・・」
「佐伯さん・・・・・・」

「わかるだろう、奥さん。俺がどれだけ奥さんを欲しがっているか」

佐伯は下半身を振るように動かしながら、葉子の美尻に刺激を与えた。男の凶暴な怒張は、人妻の理性を妖しく揺らした。

「こんなになってるんだぜ、奥さんを想像するだけで」
「いやっ・・・・・・・・」

「理穂ちゃんに彼ができたんだってな」
「えっ?・・・・・・」

唐突に話題を変えられたことに、葉子は深い衝撃を受けた。それは、葉子がもっとも恐れていた展開だった。

「佐伯さん、あなたには関係の・・・・・」
「この男だろう、理穂ちゃんの彼氏は」

いつしか、佐伯はスマホを握りしめていた。

そして、葉子の眼前にそれをかざした。

・・・・・・・!

そこにある1枚の写真を見つめ、葉子は思わず首を振った。

「知りません・・・・・・・」

傘の下、葉子が垣内剛と口づけを交わす姿が、鮮明にそこに写し出されていた。

「二人で温泉かい、奥さん」
「・・・・・・・・」
「俺の誘いは断って・・・・・・・・」

返事をしない人妻の首を振り向かせ、男はその唇を強く吸おうとした。人妻は激しく首を振り、男のキスから逃げた。

「この写真がばらまかれたらどうなると思う、奥さん」
「・・・・・・・」

「理穂ちゃんに見せて」
「やめて!・・・・・・・・・、お願い、それだけは・・・・・・・・・・」

佐伯は、ようやくその腕の力を緩め、葉子を解放した。人妻の強張った表情に、男の言葉が刺さった。

「言うことを聞いてもらおうか、奥さん」


(↑クリック、更新の励みです。凄く嬉しいです。次回更新、2月19日の予定です。)
Comment
いいですね。
佐伯からたっぷり調教してもらってくださいね奥様!

管理者のみに表示