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LOVE47(40)

2016 02 26
既にその命令を予想していたかのように、人妻はソファに座ったまま、感情を乱す素振りも見せなかった。

男に提供されたウイスキーグラスを握りしめ、葉子は姿勢を正し、美脚をきつく閉じ、そこに座り続けている。

だが、その表情に困惑の色が浮かんでいるのは明らかだった。

葉子は、密かに鼓動を高めている。

少し距離を置く形で、隣に座る佐伯。

今夜の彼は、いつものようにわいせつで、無礼な態度を示そうとはしない。

この応接に入ってから、葉子はまだ、僅かでも彼の手に触れられてはいないのだ。

だが、男が今夜、人妻の全てをものにするつもりであることを、葉子は勿論、理解していた。

そして、今、彼は支配者としての最初の命令を下したのだ。

葉子は、再び想起する。

夫ではない。

垣内剛のことを・・・・・・。

「奥さん、今日は自分から脱いでもらおう」
助けを請うように別の男のことを密かに想っている人妻に、男は冷酷に指示を重ねた。

「ここで俺が奥さんに襲い掛かってもいいんだがね」
「・・・・・」

「奥さんにはそれを拒むことはできない。そうだろう?」
「・・・・・」

「そうしたほうが俺は興奮するかもしれないがね。だが、今夜は別の角度で奥さんを見たくなってね」
「佐伯さん・・・・・」

二人の男女は、ソファに座ったまま、共に正面を直視している。互いの視線を交わすことなく、会話を続けている。

「自分から服を脱ぐ奥さんを見たいんだよ」
「・・・・・・・」
「これから抱かれる男の前で。屈辱と禁断の興奮を感じながら、自分から裸になる人妻の姿を」

逃げることなどできない。だが、葉子はすぐに佐伯の指示に従うことができなかった。

この男の前で自分から服を脱ぐなんて・・・・・。

私の体を奪うことを、何十年も望み続けてきた男の前で・・・・・・。

「理穂ちゃんは知らないんだろう」
「えっ?」

「奥さんが彼女の彼氏の愛人だってことを」
「そんな・・・・・・・」

愛人。改めて彼からそんな風に聞いてしまうと、自分がとてつもなく悪い女であるように感じてしまう。

いや、事実、私はひどい女なのだ。佐伯の言葉には、何の間違いもない。

「奥さんがいつまでも俺の命令を聞かないのなら、理穂ちゃんが全てを知ることになる」
「佐伯さん・・・・・・、卑怯です・・・・・・・・」

「言っただろう、奥さん。今夜俺は、徹底的にひどい男になるって」
「・・・・・・・・」

濃厚な羞恥の予感が、葉子を包んでいく。全てを忘れようと、葉子は2杯目のグラスに入った液体を、一気に喉に流し込んだ。

アイスの奥に固まっていた濃厚なアルコールが、葉子の体奥を熱く惑わせる。

羞恥な心を忘れ去るどころか、葉子は一層の戸惑いを感じた。

「早くするんだ、奥さん」
佐伯の言葉には、これ以上の猶予を与えないような雰囲気があった。

「わかりました・・・・・・」
手を伸ばし、葉子はグラスを置いた。そして、佐伯のことを遂に見つめ、殊勝な表情でささやくように声を漏らした。

「佐伯さん、本当に約束してもらえますね」
男が黙ったまま、人妻を見つめる。

「今夜、私が佐伯さんと一晩過ごしたなら」
「・・・・・・」
「あの写真のデータは破棄して、永遠に娘には秘匿しておく、って」

データの破棄など、確認のしようもない。葉子はそれを自覚しながらも、この場でそういわずにはいられなかった。

それは、今夜の誘いの条件として、男が人妻に既に提示したものだった。

「奥さん、前に言った通りさ。約束する」
「もう一つだけ、お願いがあります」

「何かな」
「あの写真を撮影した方が誰なのか、それをいつか、教えてください」

それを知ったところで、私はどうするというのだろう。その人間のところに行き、盗撮行為を糾弾するのか。或いは、頼むから誰にも言わないでくれ、と懇願するのか。

「わかった。今夜、奥さんが俺を満足させてくれたら教えよう」
「・・・・・・」
「心配しなくていい。俺が満足しないはずはないさ、奥さん。そうだろう?」

会話は終わった。交渉が成立したとでもいうように、佐伯は自分のグラスにウイスキーを新たに注ぎ、そっと舐めた。

そして、それ以上何を言うこともなく、同じ部屋にいる人妻の肢体に視線を注いだ。夫が留守にする自宅で、人妻がこれから何をするのか、それに興味を示すかのように。

そっと、葉子は立ち上がった。

唇を僅かに噛み、苦悶の色で表情を歪ませた。

それまで二人で見つめ続けていた正面の壁に向かい、そっと歩を進める。

立ち止まり、しばらくの静止のあと、葉子はシャツのボタンに手を伸ばした。

男に背中を向ける格好で、長身の人妻は立ったまま、最上部のボタンをそっと外した。

鋭い視線を背中に感じる。

汚れの一片もない純白のシャツのボタンを、人妻はゆっくりと、やがて全て外していく。

その下には、シャツと同様に白色をしたブラが裸を隠しているだけだ。

紺色のタイトスカートからシャツを引き出し、葉子はシャツを静かに脱ぎ始めた。

人妻の肩が露出し、白い肌に包まれた背中がまぶしく見えてくる。

佐伯に背中を見せたまま、葉子は完全にシャツを脱ぎ去り、床に落とした。

無意識のうちに、葉子は両腕を胸元でクロスさせた。

「こっちを見るんだ、奥さん」
男はまだ、ソファに座ったままのようだった。

腕をクロスさせて胸元をしっかり隠し、葉子は肢体を反転させた。

男の視線を痛いほどに感じ、人妻は濃厚な羞恥心に包まれ、視線を床に落とした。

そして、耐えきれない風に声を漏らした。

「見ないでください・・・・・・」
「両手を頭の上に置くんだ、奥さん」

人妻の懇願を無視し、男はクールに指示を重ねた。

「その胸を拝ませてくれよ、早く」
本性を僅かに曝け出すように、佐伯がつぶやく。

唇を噛み、顔を下にうつむかせたまま、葉子はゆっくりと腕をほどき、後頭部に両手を重ねあわせるように置いた。

人妻の胸元が、ブラに包まれているとはいえ、無防備にむき出しになった。男に致命的な弱みを握られ、今夜躰を差し出すことを覚悟した、美しい人妻の姿がそこにあった。

白色のブラに隠された人妻の豊満な乳房。深い谷間と形よく維持された柔らかな胸のふくらみは、あらゆる男を魅了する肉体だった。

立ち上がった佐伯が、部屋の照明のスイッチに向かった。

白い光が弱まり、妖しげなオレンジ色の光線が、人妻の肢体を薄闇の中に浮かび上がらせる。

男が、ゆっくりと人妻の肉体に向かっていく。


(↑クリック、更新の励みです。凄く嬉しいです。次回更新、2月29日の予定です。)

=>都合により3月1日更新とさせてください。よろしくお願い申し上げます。
Comment
No title
葉子さんは佐伯さんが来るまでのこの日一日をどのように過ごしたのかな。
もう少しだけ知りたかったかも。
朝から落ち着かなく過ごしたのかな。佐伯さんが来る前にはシャワーを浴びたの。下着のセレクトは意識したのかな。もしかしてヘアも整えたのかな。

いろいろ想像して楽しんでますm(__)m

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