FC2ブログ

甘い蜜(18)

2016 09 05
「まだ起きてたのか」
その夜、忠彦の帰宅は午前零時すぎだった。

「参ったよ、なかなか離してくれなくてね」
予定通り、忠彦はその夜、新しいゼネコンとの食事会に参加していた。そういう付き合いは極力控えるべきではあるが、しかし、現実には完全に失くすことなどできない。

適当に相手にあわせながらも、忠彦は若い部下連中と一緒に、結局深夜まで彼らに付き合っていた。

「おかえりなさい」
妻、正代が出迎えてくれるとは想像していなかった忠彦は、少し驚きつつ、家の中に入った。

「あなたが今夜遅くなるって言ってたから、私も何となく眠れなくて」
「先に寝ていてもよかったのに」

「そうね。お仕事どんな感じかなあって思ってね」
「俺のか?」

忠彦はスーツを脱ぎながら、正代を見つめた。

妻が、そんな風に夫の仕事のことを聞くことは珍しいといってよかった。

「どうかしたのか?」
「えっ?」

「俺の仕事のことなんか心配して」
「い、いえ、そういうわけじゃないわ・・・・・・・・・」

正代の表情に僅かに戸惑いの色が浮かんだことを、忠彦は見逃さなかった。その瞬間、彼の脳裏にある予感が走った。

「内藤さんが来たのか?」
「内藤さんが、今日ここに?」

「ああ」
「まさか・・・・・・・。来なかったわよ」

「そうか」
「あの食事が最後よ。あれ以来、一度もいらっしゃってないけど。どうしてそんなこと聞くの?」

「またあの人が俺の仕事のことをお前に何か吹き込んだのかなって、ふと思っただけさ」
「そんなことないわ。変な心配しないで」

スーツを片付けようと、正代は忠彦に背中を向けた。その直後、背後から思いがけず、夫に抱きしめられた。

「あなた・・・・・・・・・・・」
忠彦は無言だった。ただ息を荒げながら、正代を抱きしめると、妻を振り向かせ、立ったまま唇を強く求めた。

「あんっ・・・・・・・・・・」
スーツを床に落とし、正代は夫に身を委ねた。そして、忠彦の欲しがるまま、キスを許した。二人はすぐに舌を絡めあった。シャワーを浴びた妻の肉体から、忠彦がパジャマをはぎとった。

「いやっ、あなた、こんな場所で・・・・・・・」
正代の抵抗を無視し、忠彦は珍しく強引な態度を貫いた。唇を夢中で吸いながら、正代の肢体をダイニングテーブルの上に乗せる。

「いやんっ・・・・・・・・・」
細身の妻の肉体が、過去にもまして色っぽく見える。妻の美脚が、忠彦の腰を迎え入れるように開く。化粧っ気のない妻の顔つきに、今夜は妙に男をそそるような色が漂っていた。

正代の魅力に、忠彦は改めて気づかされた。この妻を狂わせたい。忠彦は、内藤があの食事の夜、この妻の熟れた肉体を、よだれを垂らして眺めていたであろうことを想像する。

「正代・・・・・・・」
妻のショーツを引きずり降ろしながら、忠彦は自らも下半身をあらわにした。

「あなた・・・・・・・・ねえ、ここじゃいやっ・・・・・・・・・・・・・」
正代の抵抗は本気じゃない。そんな妻の思わせぶりな態度が、夫を更に凶暴にさせた。

既にいきり立っている己のものを近づけながら、忠彦は正代の肉体をテーブルに組み伏せた。指先で、むき出しになった妻の秘唇をいやらしく撫でてやる。

妻の肉体が、ただそれだけでびくっと震えるように弾けた。

「ああんっ・・・・・・・・・・・」
快楽にむせぶ妻の声が、忠彦に届く。既にそこは、十分すぎるほどに潤っていた。まるで、帰宅した忠彦にこうされることを待っていたかのように。

忠彦は夢中で妻を貫いた。

「ああっ!・・・・・・・・・」
妻の深い喘ぎ声が響いた。

もはやそれだけで、忠彦は達してしまいそうな気分だった。何かに急かされ、そして取りつかれたように、忠彦は激しく腰を振り始めた。

「あっ!・・・・・・、あんっ!・・・・・・・・、あっ!・・・・・・・・・・・・」
テーブルの端を指先で掴み、もう一方の手を口元に運びながら、正代は激しく悶えた。美脚が揺れながら、夫の腰をきつく挟み込む。

ブラがずらされ、夫に激しく乳房を揉みしだかれる。瞳を閉じたまま、正代は官能的に顔を歪める。妻の裸体はまぶしいほどに白く、なまめかしく輝き、忠彦に濃厚に吸い付いた。

美唇の激しい収縮。かつてないほどに強く締め付けてくる妻のものに、忠彦は最上の快感を覚えた。

「正代・・・・・・・・・、ああっ、いくぞ・・・・・・・・・・・・・・・」
「あっ・・・・・・・・・・、あなたっ・・・・・・・・・・・・・・、駄目っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

妻の言葉が届くことさえ待てなかった。忠彦は震え始めた己のものを素早く引き抜き、妻の素肌に欲情を飛散させた。

狂ったように男女が互いを求め、激しく肉体を重ねあった時間は、ほんの数分間で終わった。

正代はハアハアと息を乱しながら、唇を舐め、噛むような仕草を見せている。テーブル上に横たわる妻の裸体を見つめながら、忠彦が言った。

「すまん・・・・・・・・」
夫は自分自身の行動を恥じるように、妻をそこに置いたまま、バスルームへと向かった。

妻の肉体が満たされていないことに、夫は勿論気づいていた。

だが、知らないこともあった。

たとえば、その日の午後、妻がそのダイニングテーブルの上で誰に何をされたのか、ということに。


(↑クリック、更新の励みです。凄く嬉しいです。次回更新9月9日の予定です。)

>>大変申し訳ございません。作者都合により次回更新9月16日とさせてください。
Comment

管理者のみに表示