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甘い蜜(38)

2016 12 13
出かける際に言っていた通り、夫の帰宅はまだだった。

正代が自宅に戻ったのは、午後8時少し前だった。肢体はまだ妖しい熱を帯びている。静寂に包まれたダイニングに一人たたずみ、正代は冷たい水を飲んだ。

遂に内藤に抱かれてしまった。その事実を噛みしめながら、正代はそっと目を閉じた。彼に与えられ、刻み込まれたものが、人妻の肉体で疼いている。

自分がかつて知らなかったことを、あの男は私に教えてくれた。正代は深い困惑の中にいる。このままずっと、死ぬまで知らないほうがよかったのかもしれない・・・・・・。

火照り続けている躰。正代は彼に抱かれた記憶を全て洗い流そうとするように、浴室に向かった。

服を脱ぎ去り、浴室の鏡の前で下着姿になる。彼に贈られた黒色の下着に包まれた裸体。鏡に映し出された躰が、どうしようもなく淫らで、物欲しげなものに見えてしまう。

この体が内藤さんに・・・・・・・・

そこにはもう、かつての自分はいなかった。正代は感じた。女の「それ」を知ってしまった一人の人妻の姿が、そこにいるのだ、と。なんていやらしいの・・・・・・・。

正代は下着を脱ぎ去り、全裸になった。そして、鏡に映し出された裸体を直視することを避けるように、浴室に飛び込んだ。熱いシャワーの湯で全身を濡らし、肢体を抱きしめるように腕を交錯させる。

ああっ・・・・・・・・・・

時間をかけ、正代はゆっくりとシャワーを浴びた。そして、白いソープをたっぷり濡らしたスポンジで、裸体を洗い始めた。

内藤に激しく抱かれ、汗と蜜でぐっしょりと濡らされた肉体。乳房、脇腹、ヒップ、内腿、そして秘所。あらゆる箇所に残された彼の指先の記憶。正代は丁寧にスポンジを動かし、ソープを肌の上に拡散させていく。

気持ちいい・・・・・・・・・

白い泡で裸を包みながら、正代は心地よさに浸り始めた。動かしている自分の手が、内藤の指先に思えてくる。午後、刻み込まれたエクスタシーの香りが、正代の体奥で再び疼き始める。

激しく乱れ、みだらな声をあげてしまった私。あんな風に胆に脚を広げ、腰を振るなんて・・・・・・・。最上の快楽の記憶が、浴室にいる正代を、再びあの渦に引きずり込んでいく・・・・・・。

「正代さん、さあ、立ちなさい」
ベッド上で絶頂にまで導かれた後、正代は彼と抱き合ったまま、しばらくの間、夢の中にいた。甘い蜜に濡らされたまま、どこまでも流されていくような錯覚。

そして、たくましい男に征服されたことへの深い快感。いつまでもそこに浸り続けたいと肉体が欲する中、正代の意識は内藤の声に覚醒された。

「そこに立つんです。外から見られるかもしれませんね」
「いやっ・・・・・・・・・・・・・・」
「もっと刺激が欲しいって、顔に書いてありますよ、奥さん」

全裸のまま、巨大な窓を向くように立つことを強要された正代。夕闇が少しずつ迫る風景を見つめながら、正代はべったりと両手を窓についた。

「奥さん、この長い脚をもっと広げなさい」
男に指示されるまま、正代は素直に美脚の間隔を広げ、ヒップを後方に突きだした。美尻に向けて魅惑的にくびれた人妻の曲線を男の指がなぞり、そして腰を拘束する。

正代の躰は、既に欲しがっていた。唇を噛んだ人妻は、瞳を閉じ、その瞬間を待った。

「入れますよ、奥さん」

ああっ、駄目っ・・・・・・・・・・・・・・・・

内藤が力強く棹を挿入した。

「ああんっ!」
窓に頬を密着させるほどに悶え、人妻は声をあげた。紛れもない悦びの声だった。

「奥さん、もう一度イかせてあげますよ」
甘くささやきながら、内藤がゆっくりと腰を振り始める。

顔を歪める人妻。窓の上で指先を震わせ、唇を噛む。夫には見せない人妻の顔つき。陶酔の気配を頬に漂わせ、正代は唇を開き始める。

「あっ・・・・・・・・・・、あっ・・・・・・・・・・・、あっ・・・・・・・・・・・・」
人妻の裸体が快楽に溺れていく。小さく首を振りながら、正代は隠すことなく、乱れる姿を彼に見せつけていく。男の責めに揺れる人妻の乳房が、窓に映る。

「奥さん、気持ちいいでしょう」
根元まで埋めたまま、腰をぐいぐいと押してくる内藤。たまらない風に唇を噛み、正代は弧を描くように淫らに下半身をくねらせていく。

「もっと淫らになりなさい、奥さん」
内藤の言葉に従うかのように、後方に向かって正代が腰を突き出していく。腰を沈めた内藤が、次第に激しくそれを震わせる。正代のかかとが浮き上がり、細く熟れた脚が何度も震える。

濡れた美唇が彼を締めつける。ああっ、という人妻の喘ぎ。感じている。顎を上に向け、上半身を屈曲させる正代。平凡な主婦が、夫とは別の男に抱かれ、牝の本能に目覚めていく瞬間。

内藤が唸り声をあげた。汗にまみれた裸体が濃密に混じりあう。腰を振りあう男と女。汗に濡れた人妻の背中に、男の指先が這っていく。乳房を男に愛撫され、ガラスに爪を立てる人妻。

「ああっ・・・・・・・・・・・、駄目っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「こんなにいいなんて知らなかったでしょう、奥さん」

小さく頷き、そしてすぐに顔を振る正代。とどめをさすようにピストンを与えてくる内藤。乳房をガラスに密着させ、うっとりとした顔つきで、唇を開く人妻。

「あっ・・・・・・・・・・・、ああっ、凄いっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「奥さん、いいんですよ、またイってしまって」

「駄目っ・・・・・・・・・・・、内藤さんっ・・・・・・・・・・・・・・、また、私・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ほらっ、奥さん・・・・・・・・・、もっと深くにまで・・・・・・・・・・・・・」

力強く己のものを突き入れてくる男に、人妻は屈服するように甘い声を漏らした。

「あっ・・・・・・・・・・・・・・・・、ああっ、そこっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「我慢できませんか、奥さん」
「もう・・・・・・・・・・・・・・、ああっ、もう・・・・・・・・・・・・・・、あっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

再び昇り詰める寸前の人妻の躰を背後から抱きしめ、男は貫いた腰を激しく躍動させた。声を震わせる正代。人妻の甘い蜜が、太腿を滴り落ちていく。

「あああっ・・・・・・・・・・・・・・・・、早くっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「奥さん、お宅が見えますよ、ここから」

男のささやきが、正代に日常を思い出させた。閉じ続けていた瞳を開き、正代は夕闇に包まれようとしている外の風景を見た。内藤の指摘どおり、彼方に自宅が確かに見えた。

それは強烈な背徳心と興奮を人妻に与えた。

あなた・・・・・・・・・、私の躰、内藤さんにもう・・・・・・・・・・・・・・・

人妻の首筋に吸い付きながら、男がとどめとなる突きを与えてくる。正代は自宅を見つめたまま、全身を快楽に震わせ、また絶頂にいざなわれた。

「ああっ、私・・・・・・・・・・・・・・・・」
「奥さん・・・・・・・、いくぞ・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あっ・・・・・・・・・・・・・・、ああっ、イクっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

男のたくましいものが、膣奥で力強く脈動するのを感じる。数時間前に教えられた快感が、人妻の美唇をまだ支配している。

正代は今、浴室にいた。

ああっ・・・・・・・・・・・・・、早くっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

たくましい男の記憶。

全身をソープで包んだまま座り込んだ人妻が、淫らに指先を動かしている。


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