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目覚め(8)

2017 02 10
私がツアーからホテルに戻ったのは、午後3時過ぎでした。

久々に味わった海釣りの醍醐味に浸りながら、私はリゾートホテルの庭を自分の部屋に向かって歩きました。9月とは思えない真夏の太陽が、青空から照り付けています。

プールには多くの滞在客がいるようでした。男性のグループがプールサイドでビールを飲みながら、泳ぐ女性たちの水着姿を見つめています。

その中の一人がちらりと私のほうを見つめ、そしてすぐに視線をプールに戻しました。

深く考えることもなく、私は部屋に向かって歩き続けました。

佐代子はまだ陶芸教室だろうな。

人見知りでおとなしい性格の妻、佐代子。

私は妻が果たして教室で心地よく過ごせているかどうか、一抹の不安を感じていました。

昨日、ビーチで妻に話しかけていた男性が教室の講師であれば、恐らく大丈夫かもしれない。

私はそう思いました。遠方から見ただけなので私にはよくわかりませんでしたが、妻はあの男性に悪い印象は持たなかったようでしたから。

部屋に戻っても一人であることを考え、私はふと、陶芸教室を覗いてみようかと思いました。

私は、ホテルスタッフにその場所を聞きました。海岸沿いのいかにもリゾート地らしい場所に、陶芸教室の部屋はありました。

波の音と鳥のさえずる声が聞こえるだけで、とても快適な空間です。屋外に面した廊下を歩き、私は教室のドア前にたどり着きました。

ドアは大きく開け放たれています。私はしかし、中に入ることをなぜかためらい、しばらくそこで立ったまま、様子をうかがうことにしました。

静かです。この部屋で教室は開催されているはずだが・・・・。耳を澄ましても、なかなか人の声らしいものが聞こえてきません。

ここじゃないのかな・・・・。そう思った私が、一歩部屋の中に足を進めたときでした。

私の耳に、妻、佐代子の声がはっきり届いたのです。

それは笑い声でした。

何かにおかしそうにくすくすと笑う、いかにも楽し気な妻の声。

私はそんな風に妻が笑うのを、ほとんど聞いたことがありません。妻は今、あの男性講師と一緒にいるのだろうか。

自分が盗み聞きをしているような気がして、私は慌ててその場を立ち去りました。そして、妻の笑い声の意味を改めて考えてみました。

昨日抱いたような嫉妬の入り混じった妙な感情が再び頭をもたげましたが、それはすぐに消え去り、私はただ素直に、妻が教室を楽しんでいるらしいことに安堵を覚えました。

早く妻に会いたい。そして私は、どういうわけか、妻の躰に対するいっそう激しい欲情を抱きました。

「あなた、戻ってらしたのね」

佐代子は予定通り、夕方に部屋に戻ってきました。夕食の前にシャワーを浴びたいという妻は、どこか楽し気で、気分が高ぶっているように見えました。

その夜、私は妻と共にいつものレストランで夕食を楽しみました。そして、昼間どう過ごしたか、互いに尋ね合ったのです。

「あなた、どうでしたか、海釣りツアーは」
「本格的なトローリングだったからね。とても楽しかったよ」

「すっかり海釣りの良さを思い出したみたいですね」
「そうだね。本当に久しぶりだったから。今から明日が楽しみなんだ」

「それはよかったわ」
そのディナーでは、妻は珍しく自分からカクテルを頼みました。アルコールを自分から注文するなんて、妻には珍しいことです。

鮮やかなピンクの液体で唇を濡らす妻の姿は、何とも言えず色っぽく、官能的にさえ見えるものでした。

「佐代子のほうはどうだったんだい。陶芸教室は楽しかったかな?」
「すごくよかったです」

「昨日、海岸で声をかけてくれた方が講師だったんだろう」
「ええ。とてもいい方でしたわ」

妻は少し恥ずかし気に、彼のことを褒める台詞を口にしました。

「教室には何人くらい参加してたんだろう」
「私以外に女性の方が数名いらっしゃったかしら」

その夜の妻はやはり気分が高揚しているようでした。それはアルコールのせいだけではありません。昼間の陶芸教室が、妻には本当に楽しかったようなのです。

普段見ることのできない妻の楽し気な姿。私は決して悪い気はしませんでした。むしろ、私は妻にこのリゾート地でもっと楽しんでほしいとさえ思いました。

「明日も午後からなのかな」
「ええ」

「こっちはまた朝が早いけど、大丈夫かい?」
「午前中は部屋でゆっくりさせてもらいますから。大丈夫です」

滞在客で混雑するレストラン。私たちはサンセットを終えて次第に暗くなっていく海と徐々に姿を見せ始めた星空に囲まれ、素敵な夕食を楽しみました。

「少しだけ散歩して帰ろうか、佐代子」
「ええ」

夜の闇に包まれた砂浜を、私はワンピース姿の妻を連れてゆっくりと歩きました。浜の奥にはうっそうと茂る森があります。

「あの中に行ってみようか」
「いいわ」

その夜、妻は私の要求を全く拒もうとはしませんでした。私は妻のくびれた腰に手をまわし、森の中に連れ込みました。

そこは波の音が聞こえるだけで、周囲からは完全に視界が閉ざされた秘密の空間です。

「佐代子・・・・」
私は我慢できなくなり、立ったまま妻を抱きしめました。そして、妻の唇を激しく求めました。

「あなた・・・・、いけませんっ・・・・」
「もう我慢できないんだ・・・・・」

「他のお客様に見られてしまいます・・・・・・・」
言葉ではそういいながら、今夜の妻は私から逃げることはありませんでした。息を荒げる私に、妻はやがて大胆に唇を開いてくれました。

そして、ためらうことなく、舌を絡めたディープキスに応じてくれたのです。

かつてないような、奔放な態度を垣間見せてくれた妻の姿に、私はもう、興奮を抑え込むことなどできませんでした。

しかし、いくら視界が塞がれた秘密の空間と言っても、ここで何かをする勇気は私には到底ありません。

「佐代子、部屋に戻ろう」
私は、すこしうっとりとした様子の妻を抱きかかえるようにして、急ぎ部屋に戻りました。

部屋に戻ってすぐに、私は妻の躰を激しく求めました。

妻は明らかに戸惑っていたようでしたが、砂浜と同じように、今夜は私の要求を拒むことはありませんでした。

ワンピースを乱暴に剝ぎとり、下着を奪い去り、私はベッドに押し倒した妻を全裸にしました。

贅肉とは無縁のスリムな、しかし同時になまめかしい肉付きを備えた妻の裸体。プールや海で既に見ているはずの妻の肉体が、私にはこれまで以上に欲情的に見えました。

妻の長い美脚を押し開き、大切な箇所をそっと触ります。既に妻は潤っていました。私が戸惑うほどに、そのときの妻はたっぷりと濡れていたのです。

きっと砂浜で口づけを交わしたときから、妻は既に興奮していたのでしょう。

私は狂ったように自分のものを挿入しました。

「ああんっ!・・・・・・・」
それほどに深い妻の喘ぎ声を、私は過去に聞いた覚えがありませんでした。

正常位で妻を貫いた私は、最初から乱暴に腰を振りました。激しくベッドがきしみ、夫婦の興奮を煽り立てていきます。目を閉じたまま、妻は敏感に反応し、シーツを何度もきつく掴みました。

「佐代子・・・・・、ああっ、我慢できないよ・・・・・・」
おかしく思われるかもしれませんが、私はそのとき、妻とは別の女性を抱いているような錯覚に陥っていました。

それほどにその夜の妻は官能的で、私がそれまで気付かなかった女としての魅力を肢体中に溢れさせていたのです。

熱く濡れた妻のあそこが、私のものを刺激します。私には妻が自分から腰をくねらせたように見えました。まるで私のものを強く欲しがるように。

私はただでさえ、長く続くほうではありません。特にその夜はなおさらでした。数か月ぶりの行為、しかも妻の躰はあまりに魅力的です。私は挿入して1分もしないうちに、あっけなく果てました。

妻は、最後の瞬間まで目を閉じたままでした。それは何かをずっと想像しているようにも思える仕草でした。

「佐代子、すまん・・・・・」
明らかにまだ満たされていない様子の妻に、私はそんな言葉をささやきました。

「あなた、気になさらないで・・・・・」
初めて瞳をうっすらと開けた妻は、私にそう答えてくれました。

その夜、深い眠りに就いた妻の隣で、私は思ったものです。昼間、別々に楽しんで夜に再会するのも悪くないじゃないか、と。

翌日を楽しみにした私は、なかなか眠りに就くことができませんでした。


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