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目覚め(14)

2017 03 03
「やめてください」
水の中でヒップを撫でられ、佐代子は後方から接近する男にきつい口調で言った。

3人に酒に酔っている様子はなかった。一見、どこにでもいる会社員のグループに思える。だが、佐代子は一昨日のことを覚えている。

荒々しいアプローチは、佐代子が過去に知らないものだった。しかも複数名だ。

「プールから出ますから」
男たちの真ん中で、佐代子は懇願するようにささやいた。

ホテルスタッフがいるべき椅子に、誰かが戻ってくる気配はない。プールで過ごす人の数がいつしか増え、佐代子たちの存在はその喧騒に隠れ始めていた。

「どいていただけますか」
「今日はその水着を選んだんですね、奥さん」

正面に立つ男にそう指摘され、佐代子は言葉に詰まった。泳いでいるときには忘れていた羞恥心が、再び佐代子を襲う。

「いけませんね、奥さん。ご主人がいないところでそんな刺激的な水着を着たら」
どうやら、彼は後方に立つ二人の男の上司のような存在らしい。40代半ばだろうか。その態度には、どこか落ち着いた雰囲気が感じられる。

「今日もご主人はいないんでしょう?」
「・・・・・・」

「ご主人に教えてあげましょうか、昼間、奥さんがその水着でプールにいたって」
「やめてください・・・・」

思わず、佐代子の口調が熱くなった。川原にこの水着を選ぶよう言われたことが夫に露見してしまうかのような、そんな危険を佐代子は感じた。

「ご主人はあまりうれしくないかもしれませんね。自分が知らないところで、自分の妻が男を誘うような大胆なビキニを」
「お願いです、変なことは主人に言わないでください・・・・」

「言わないでほしいですか」
「はい・・・・・」

僅かに揺れるプールの水が、佐代子の胸元で戯れている。輪になって話し込む佐代子たちのことに関心を払う人間は、誰もいないようだ。

「だったら、彼らと少し遊んでやってください」
男の視線が、佐代子の後方に立つ二人の男に注がれた。

「彼らは奥さんをここで一目見た時から狙ってるんですよ」
笑みを浮かべてそうささやきながら、彼は水中で佐代子の片手を握った。

握手をするような感じで手を拘束されたまま、佐代子はそこからもう逃げることができなかった。

「私、午後から用事があるので行かないと・・・・・」
「少しだけですよ、奥さん・・・・」

彼は手を離してくれない。後方に立つ二人が更に近づいてくることを感じる。そして、一人の手が、再び佐代子の美尻を包んだ。

「やめてっ・・・・・」
「すぐ終わりますよ、奥さん」

前に立つ男が、佐代子を見つめてささやく。彼と視線を絡めたまま、佐代子はそこに立ち続けた。

後方の男たちの手が、水の中で佐代子の躰をいじめ始める。

「奥さん、めちゃくちゃいい体してますね」
柔らかな佐代子のヒップを揉みしだきながら、一人の男がささやく。その指先がビキニの細いショーツを引っ張るように動いた。

「やっ・・・・・・」
佐代子は唇を噛み、小さく首を振った。

「奥さん、旦那さんに昨晩も抱かれたんでしょう」
水着の下に潜り込んだ手で、男は佐代子の桃尻を直に愛撫する。もう一人の男の手が、佐代子の腰に触れ、撫でるような上下動を始めた。

ぞくぞくするような震えが、佐代子の全身を走り抜ける。

「旦那に抱かれて感じるの、奥さん?」
男の手が佐代子のおへその辺りを撫でまわし、盛り上がった乳房に向かって動く。

「彼らは女性に飢えてるんですよ、奥さん」
前に立つ男が、佐代子の顎に手を添えて、上に向けた。まるで口づけをせがむようなポーズで、佐代子は彼を見つめた。

一人の男の手が、水の中で佐代子の美乳を包み込む。ビキニの上から、我慢できない様子で佐代子の盛り上がった乳房を直接揉みしだく。

「いやっ・・・・・・・」
顎を上に向かされたまま、佐代子は目の前の男を見つめ、懇願の視線を投げた。

「奥さん、もう少し脚を広げて」
背後にいる男が自分の足で蹴るようにして、佐代子の両脚の間隔を広げていく。

佐代子の美脚の根元に生じた隙間に、男の指先が潜り込む。巧みに動く指先が、くすぐるように佐代子の股間を刺激する。

「いやっ、そこは・・・・・」
佐代子は、男と繋いだ手に思わず力を注いだ。

「少しずつ声が色っぽくなってきたじゃないですか、奥さん」
「ベッドでも旦那さんにそんな声を聞かせてやってるんですか」

ビキニがずれるほどに、男の手が佐代子の乳房を揉みしだき続ける。そして、佐代子の美脚の根元をいじめる指先が、水着の裏側に潜入した。

佐代子は小さく首を振って、瞳を閉じた。その直後、目の前に立つ男が、佐代子の唇を吸った。

「あっ・・・・・」
ふらつくうように肢体を揺らし、佐代子は彼にしなだれかかった。

水着の下に潜り込んだ指先が、少しずつ蜜唇に接近してくるのを感じる。

駄目っ・・・・・、そこは触らないで・・・・・・・

昨日の午後から、ずっと妖しげな熱が疼き続けている佐代子の大切なスポット。たっぷりと蕩けた秘所が、人妻の鼓動を高めていく。

この男にそこを触れられてしまえば、秘密が全て露見してしまう・・・・・

大胆に指先を挿入されることを濃厚に想像しながら、佐代子はもう何もできなかった。目の前の男が求める口づけに対し、佐代子はただ懸命に唇を閉ざし続けた。

「指を入れますよ、奥さん」
後方の男が意味深にささやいた。

唇を吸われたまま、佐代子は激しく首を振った。

そのときだった。

「みっともないな、あんたたち」
同じプールの中から、その声は聞こえた。聞き覚えのあるその声は、佐代子に瞬時に冷静さと力を与えた。

川原さん・・・・・

「複数で人の奥さんをいじめるなんて、まともな会社員がやることじゃないな」
目を開けた佐代子は、手を振り払い、完全に自由になった。そして、取り囲む男たちを押すようにして、そこから逃れた。

川原が佐代子を守るように前に立った。

「これ、立派な犯罪ですよ、みなさん」
「あんた、誰ですか」

「このホテルで働くものです」
「ホテルで?・・・・」

「警察に通報しましょうか。もうあなたたち元の生活に戻れませんよ」
「ちょっと待ってくださいよ・・・・。少しふざけていただけじゃないですか」

佐代子の前に立ち、キスを求めてきた男が、控えめな口調でそう言った。残りの二人は、少し狼狽するうように後方で固まっている。

「こちらの奥さんに謝ってもらいましょうか」
「・・・・」
「ほら、早く!」

意外なほどの川原の強い口調に、佐代子は心を動かされた。促された3人が、殊勝な態度で頭を下げ、佐代子に詫びる。そして、逃げるようにしてプールから出ていった。

「大丈夫でしたか、佐代子さん」
「川原さん・・・・・・、ありがとうございました・・・・・・」

佐代子はそれ以上何も言うことができなかった。そんな人妻を癒すように、彼はそっと肢体を抱き寄せた。

「佐代子さん、行きましょう。午後の教室を一緒に楽しめばいい」
手を繋がれた佐代子は、彼を見つめて小さくうなずいた。


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