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目覚め(22)

2017 04 07
僅かに残っていた明るさが水平線の彼方に完全に消え去り、島に夜が訪れた。

輝き始めた頭上の星を眺める余裕が、今の佐代子にはない。このリゾート地に来るまでは会ったこともなかった3人の男性が、佐代子を囲むように座っている。

「奥さん、少しは飲んでくださいよ」
佐代子の正面に並んで座る若い男二人が、グラスを片手に笑みを浮かべる。その姿は、既に酔っているようにも見えた。

「私、飲めませんから」
「嘘でしょう」

「本当ですわ」
「ご主人と一緒にここでカクテルを飲んでたじゃないですか」

「あれは・・・・・」
彼らが夫との夕食の光景まで観察していた事実を知り、佐代子は鼓動を高めた。このホテルでの振る舞い全てを、彼らに知られているような気がする。

陶芸教室に足繁く通ったことも・・・・・

「ほんの一杯だけですわ、それに・・・・・」
佐代子は二人をきつく見つめ、言葉を続けた。

「あれは夫と一緒でしたから」
「ご主人以外の男性とは酒を飲めないってことですか」
「ええ」

その会話を、佐代子の隣に座る上司風の男が興味深そうに聞いている。言葉を発することなく、彼はただ3人を眺めているだけだ。

左手を佐代子の太腿の上に置いたままで。

「そのご主人はどうしたんですか、今夜は。いらっしゃらないようですが」
佐代子は黙ったまま二人を見つめ、そして、その視線を逸らした。

さりげなく周囲を観察し、落ち着きを取り戻そうとする。テーブルに座る客の数も増え、レストランは盛況だった。

川原の姿はやはり見当たらない。自由に、大胆に振舞ってください、という彼の指示に、今の佐代子はとても従えそうにもなかった。

若いレストランスタッフが忙しそうに動きながらも、佐代子のテーブルをちらちらと見つめてくる。

大丈夫です、とでもいうように、佐代子は彼に向って小さくうなずいた。はにかむような笑みを浮かべ、彼もまた佐代子に応えた。

僅かな安堵が佐代子を包む。だが、右脚に置かれた男の手が、佐代子の平静さを奪い続けている。

「プールにもいなかったですよね。まさか一足先に帰ったんですか」
「違います、主人はただ・・・・」

いやっ・・・・・

太腿の上の男の手が、ゆっくりと動き始めた。熟れた右脚が丁寧に揉みしだかれ、ワンピースに食い込むように指先が進んでくる。

テーブルの下の上司の行為に、前に座る二人の部下は気づいていないようだ。佐代子は冷静な表情を維持したまま、彼らに言った。

「主人はツアーに参加しました。その戻りが少し遅れているだけです」
「じゃあ今夜は戻られるんですか」

「ええ・・・・」
嘘を口にしながら、佐代子は僅かに視線を下方に動かした。男の指先が、たっぷりとした愛撫を太腿に与えてくる。

午後、川原に愛された脚を奪い返すように、その手に少しずつ力が込められていく。美脚の隙間に侵入し、更に奥にじわじわと接近してくる指先。

大胆にそこを広げ、川原に情熱的な接吻を与えられた午後の記憶。佐代子はテーブルを見つめたまま、唇を噛みしめ、脚に力を入れた。

「奥さんは午後は何をしてたんですか?」
「私はずっと部屋にいました」

その嘘がすぐに見抜かれることを想像しながらも、佐代子はそう口にした。だが、嘘を口にしたという僅かな不安が佐代子の両脚から一瞬緊張を奪った。

男の指先が、隙を逃すことなく、深く佐代子の股間に入り込んだ。ワンピースが完全に食い込み、美脚がくっきりと浮かび上がる。

その奥に侵入した男の指先が、佐代子の秘所を探るように妖しく動く。その指先は、夫とも、そして、川原のそれとも異なる刺激を佐代子に与えた。

駄目っ、そこは・・・・・

体奥でささやくように抵抗の言葉を繰り返しつつ、佐代子は懸命に耐えようとした。小刻みに、突くように動く指先。その先端は、今や完全に佐代子の秘所付近に到達している。

ワンピースとショーツに包まれていることを忘れさせるような、男の濃厚な責め。午後から疼き続けている大切な部分。指先はそこをこじ開けようと執拗に動き続ける。

その行為を糾弾することを、佐代子は選択しなかった。

できなかった。人妻の弱みを知り尽くした彼らは、公衆の視線を佐代子に意識させながら、時間をかけて追い詰めていく。

「部屋にいるなんて、退屈だったでしょう、奥さん」
若い二人は、上司の行為に気付いているのかもしれない。だが、そ知らぬふりをして会話を続けてくる。

「私・・・・、一人でいることが苦になりませんから・・・・」
佐代子は、レストランスタッフに言ったのと同じセリフを口にした。その声が僅かに震え、艶めいた色を伴っていることに、2人が気づかぬはずはなかった。

「どうかしましたか、奥さん」
「いえ・・・・・」

太腿を完全に支配し、柔らかな肉を繰り返し愛撫してくる指先。女を知り尽くしたような男の責めは、佐代子の火照りを急速に煽ってくる。

ショーツを直にいじられているかのような感触。椅子の上で、いつしか佐代子の美脚は僅かだが、開かれていた。

「奥さん、お近くで見ると一層お綺麗ですね」
隣に座る男が佐代子の耳元でささやく。秘所が熱を帯び、午後の悦楽を思い出す。鼓動が高鳴り、声をあげたいような欲情が体奥でうごめく。

伸ばされた指先が、佐代子の美唇の中心を的確に押した。

あっ・・・・・

椅子に座ったまま、佐代子の躰が僅かに跳ねた。唇を更にきつく噛み、彼らに表情の変化を見られまいとするように、佐代子は顔を下に向けた。

ドアをノックするように、ぐいぐいと押してくる指先。ショーツが割れ目に吸い付くように食い込み、佐代子の下腹部に濃厚な熱が押し寄せてくる。

ううんっ・・・・

川原が来る気配はない。勿論、夫もいない。無防備な自分を感じつつ、佐代子は周囲の喧騒が少しずつ遠ざかっていくことを感じる。

「奥さん、上を向いて」
隣の男が佐代子の顎にもう一方の手を伸ばし、優しく上方に動かした。同時に、佐代子の股間に差し込まれた指先が、強くその奥を突いた。

「あっ・・・・・」
佐代子は思わず小さな声を漏らし、そのうっとりとした表情を3人の男に披露してしまった。

「奥さん、昼間のプールのときから興奮してるでしょう」
目の前に座る二人は、佐代子が何をされているのか、遂に理解したようだ。悶える人妻に、二人は興奮を隠そうとはしない。

「その真面目な顔が乱れたところがもっと見たいですよ、奥さん」
彼らの言葉を無視し、佐代子は首を振るようにして男の手から顔を逃がした。だが、すぐにその手は追いつき、佐代子の顎をぐいと持ち上げる。

「色っぽい顔ですね、奥さん」
ピストンを想起させるように、秘唇をいじめ始めた男の指先。力を込めることもできず、佐代子の両脚がテーブルの下で更に広げられていく。

妖しく歪む表情を彼らに見つめられ、佐代子は羞恥から逃げるように唇を噛み、目の前のワイングラスを握りしめる。

「奥さん、濡れてるんじゃないですか」
ささやく男の声が、佐代子の貞淑を奪い去る。美脚を震わせ、つま先で立つような仕草をテーブルの下で繰り返す。

夫しか知らなかった佐代子。だが、このホテルで川原と出会い、そして今は、更に別の男に秘所をまさぐられている。

激しさを増す男の指先に、無知だった人妻の躰は、何かに目覚めるように敏感に反応し始めている。

駄目っ・・・・・、あっ・・・・・・・・

佐代子の指先が握りしめるグラスが僅かに持ち上がり、そしてテーブルに置かれた。噛みしめていた唇が小さく開く。

ああっ・・・・・・・・

屈してしまう寸前で、佐代子はテーブルに近づく人の気配を感じた。男たちは瞬時に姿勢を正し、食事を再開した。

「お食事はいかがでしょうか」
あの若いレストランスタッフが、佐代子の妙な様子を気遣いながら、全員に声をかけた。

テーブルの下で男の手が素早く引き抜かれ、何事もなかったかのようにワイングラスを握った。

「とてもおいしかったよ。ワインをもう1本といきたいところだけど」
そこまで言ってから、彼は部下二人に目配せをし、言葉を続けた。

「こちらの奥様はあまりお酒を飲まれないようだから。少し早いけど、デザートにしてもらおうかな」
「それでよろしいですか、奥様?」

佐代子を心配そうに見つめながら、彼はそう訊いた。平静を取り戻した佐代子は、落ち着いた様子で彼に言った。

「ええ。それでお願いします」

スタッフが立ち去った後、男はもう佐代子に手を伸ばそうとはしなかった。だが、彼らの欲情は勿論満たされてはいなかった。

「奥さん、食事がおわったら少し散歩しませんか。海岸沿いにロマンチックな場所があるんですよ。ご存知でしょう?」

佐代子の脳裏に、夫と訪れた砂浜の小さな森の記憶がよぎった。


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