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6本の腕(7)

2020 06 12
鳥の鳴き声は、もうここに届くことはなかった。

「何をなさるおつもりですか」

背後に回された両手が固く縛られたことを知り、美智代は静かな、しかしきついトーンで質問を投げた。それはオフィスで山井や橋本に指示を下すときと同じ口調であった。

「ここでは王妃と同じ姿になっていただきます」

その言葉の意味を理解することなく、人妻は背もたれの向こう側にある両手首を強く動かした。だが、細い手首を縛る麻紐は、動くほどに拘束を高めるだけだ。

「困ります・・・・」
「ご安心ください。儀式が終わればほどきますので」
「儀式って、いったい・・・・」

外の世界では上司、そして人妻として振る舞っている人妻は、男のささやきに強い困惑を覚えながらも、呼吸を整え、静かに王妃の彫刻を見つめた。

その肉体にまとわりつく6本の腕が、美智代にあの代理店の面々の姿を想起させる。複数の腕が、女体を欲しがり、ゆっくり這ってくる。

「王妃の息遣いが聞こえてきませんか」
男が背後から美智代の肩に両手を置いた。そして触れるか触れないかの際どいタッチで、人妻の剥き出しの首筋を撫でた。

「・・・・」

その瞬間、美智代の全身に震えるような刺激が走った。それは、人妻がかつて覚えたことのない感覚だった。

人妻の肉体の告白を察知したかのように、彼は美智代の白い首筋から耳の後ろあたりを繰り返し、優しく愛撫する。鳥肌が立つような電流が、美智代を波となって襲う。

「やめてください・・・・・」
「王妃もこの付近をいじめられています」

声を漏らしたくなるような震えを何度も感じながらも、美智代は顔をあげ、彼の言葉に促されるまま、彫刻を見つめた。一本の腕が確かに王妃の首筋から耳、そして髪の周囲でうごめいている。

ゆっくりと時間をかけて、彼の指先が美智代の首筋を責めてくる。暗闇でも白く眩しく光る人妻のうなじを彼は何度も撫であげ、時折くすぐるように指の先端を回した。

やめて・・・・・

椅子の上で、美智代は何度か強く唇を噛み、表情を隠すように顔を下に向け、もじもじと下半身を動かした。

「奥様、まだ始まったばかりです」
「・・・・・」
「王妃がいじめられているのはここだけではありません」

美智代の首筋、耳元を動き続けていた男の指が、少しずつ前方に伸びてくる。滑らかな両頬を挟むように撫でた指先が、人妻の唇に一瞬触れる。

「・・・・」
声を出すことなく、美智代はその指先から逃げるように顔を振った。

昨夜、食事会で何度も腰を撫でてきた高島のいやらしい手つきを、美智代はどういうわけか思い出してしまう。その妖しげな余韻は、人妻の下半身に確かに刻み込まれている。

人妻の顎の形を確かめるように動き始めた男の指先が、喉の辺りをなぞるように動き続ける。美智代の全身を震わせる感覚の頻度が、少しずつ増していく。

これ以上この場に留まると自分がどうなってしまうのか、美智代は目の前の彫刻を見つめ、それを濃厚に想像した。儀式という響きが、人妻を少しずつ追い詰めている。

「そろそろ失礼しますので・・・・・」
「奥様、せっかく念願のこの地にいらっしゃったんです」

「いえ、私はもう・・・・・」
「まだ始まったばかりと申し上げました」

焦らすように美智代の首筋をいじめ続けた彼の指が、やがて人妻の純白のシャツに触れた。それを妨げようと腕に力を込め、美智代は手首が拘束されている事実を改めて知る。

襟元の空間の奥に、官能の谷間が見えている。人妻の素肌の細やかさを確かめるように、10本の指先がシャツの内側に大胆に侵入していく。

肩を僅かに動かした美智代のシャツの一番上のボタンが外される。薄闇の中に、人妻の隠されていた素肌が白く妖しく光った。

二番目のボタンも外され、官能の気配を漂わせる美しい人妻の胸元が少しずつ露にされていく。それは美智代が視線を逸らし続けている彫刻の姿と同じだった。

「いけません・・・・」
人妻は懇願するように彼にささやいた。

無言のまま、彼は更にボタンを一つ外した。そして、生贄となった王妃と同じ仕打ちを与えるように、シャツを強く左右に開いていく。

「いやっ・・・・」

ブラに包まれ、美しく盛り上がった人妻の胸元が顔を覗かせる。背後から肩越しに伸びてくる両手が、膨らんだ双丘の裾野に向かって下りていく。

「そこは主人にしか・・・・・」
鼓動を高鳴らせた美智代は、自分でも戸惑うような言葉を口にした。もう夫には、長い間抱かれたことがないというのに・・・・・。

「王妃にも夫がいましたよ」
無意識のうちに両脚を固く閉じ、美智代は瞳を閉じた。彼の両手が、人妻の控えめな、しかし美しく盛り上がった胸元をブラの上から静かに覆っていく。

「王妃に負けないほどに美しいお体をお持ちですね、奥様」
本音を漏らすささやきと同時に、彼は女盛りの人妻の肉体を確かめるように、ねっとりと両手を動かした。

「あっ・・・・・」

噛み締めていた人妻の唇が一瞬開き、息が漏れ出す。長い間、夫に愛されていない妻の肉体が、別の男の手でゆっくり揉みしだかれていく。

「やっ・・・・・・、あっ・・・・・・・」

胸を情熱的に揉まれ、人妻はきつく閉じていた唇から小さな息を吐いてしまう。

「我慢なさってください、奥様」
彼の手がゆっくり、しかし本格的に動き出す。ブラの上から胸をたっぷりと愛撫され、美智代は清楚な顔つきを何度も歪めた。

首を小さく降るように動かし、椅子に座った下半身を震わせる。固く閉じた両太腿の奥に、人妻は溢れ出すような熱を感じてしまう。

男の手のひらが、美智代の胸の先端を探るようにブラの表面を撫で始めた。彼の手が秘めた突起を巧みに探り当てたことを知り、人妻は再び懇願の言葉を漏らす。

「もう結構ですから・・・・」
その言葉を受け入れることなく、彼の指先がブラをずらし、肩紐の内側に滑り込んだ。

「駄目、それ以上・・・・」
ふもとからじわじわと頂点に向かって、彼の手がブラの内側で動き出す。やがて、人妻の美乳を直に包んだ両手が、濃密な愛撫を開始した。

「いやっ・・・・・、やっ・・・・・・・・」
「奥様、我慢なさってください」

彼のささやきが、人妻の耳を吸うほどの距離で響く。彼の指先がブラの内側で乳房の先端を挟むように捉えた。

「駄目ですっ、そこは・・・・」
「美しいお顔ですよ、奥様」
「駄目っ・・・・、しないでください・・・・・」

顔を下に向けて耐え続ける美智代の表情を見つめながら、彼は突起した乳首を指で優しくつまんだ。

「あんっ・・・・・・」
椅子の上で弾けるように全身を震わせ、人妻はその部屋で初めて甘い喘ぎを漏らした。


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