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妻の素顔(7)

2010 01 31
翌日から始まった観光は、私たちにとって、本当に素晴らしい時間となりました。

乾期らしい晴天が、私たちを歓迎してくれました。まず初めに私たちが向かったのは、首都からおよそ300キロほど離れた地方都市でした。

かつてその地方を支配した王族が住んでいたという城が残っているとともに、砂漠に近いその街は、多くの観光スポットがあることで人気です。

一応、という形容が必要な高速道路を利用し、私たちはその街に向かいました。最初は快適だったドライブも、舗装道路の状態が少しずつ悪化し、ペースダウンしましたが、5時間程度で何とか到着することができました。

「全然雰囲気が違うわね」
「ああ。まさに異国に来たって感じだな」

街に入るなり、私と妻はそんな風な言葉を交わしました。妻は、日頃の好奇心が一気に溢れ出てきたかのように、周囲の風景を興味深そうに見ています。

「あなた、ほら見て、ラクダよ」
「あっ、ほんとだ」

優里の嬉しそうな表情を見つめながら、私は妻と一緒に旅行に来ることができて本当によかったと、改めて感じたものです。

勤続20年の私以上に、やはり彼女にはこんな休息が必要だったのです。私はそれほどにいきいきとした妻の様子を見るのは、随分久しぶりのような気がしました。

その街で私たちは2泊する予定です。到着時と同じように、再び豪華なホテルに滞在した私たちは、日中は周辺の観光を存分に楽しみました。

「やっぱり日差しは強いわね」
観光中、妻は帽子をかぶり、長袖のシャツを着ていました。私たちは常に一緒に行動し、その街の主要な観光スポットを二日間かけてほぼ制覇しました。

現地の食事にも慣れ、体調を崩すこともありません。順調に旅程が消化できていることに満足しながら、私は妻への欲情も確かに感じ続けていました。

初日の夜以降、私は妻の体を強引に求めようとはしませんでした。この旅行中に何とかしたい、という妻の告白を思いながら、私は彼女からのアクションをじっと待ち続けたのです。

しかし、妻はなかなかそんな気分にはならないようでした。日中の観光で心地よい疲労を感じているのか、夜、ベッドの入った妻は、すぐに眠りに就いてしまいます。

私のペニスに手を伸ばすこともありません。肢体を密着させてはきますが、ただ寝息を立てるだけです。私は何度も自らの我慢を捨て去ろうかと思いました。

でも、私はそうはしませんでした。今が一番大切な時なのだと、私は思ったんです。あの事件と、何らかの決別をしようとしている妻のことを、私は、自分本位の欲望で乱したくはありませんでした。

濃厚だった初日の夜を忘れたかのように、私たちは静かな夜を続けて過ごしました。そして、旅行4日目の朝、私たちは次の目的地へと向かったのです。

「マタオナジクライカカリマス・・・・・」
すっかり私たちと打ち解けたガイドはそう言いながら、車を走らせ始めました。

「やれやれ、また5時間コースか・・・・」
思わずそうつぶやいた私に、妻が笑いながら声をかけてきました。

「ねえ、飛行機にすればよかった?・・・」
「いや、こうやって車で動いたほうが面白いだろ」
「そうね。私もこっちのほうが楽しいわ」

首都と最初の訪問地、そして今から向かう街は、大きな三角形を描いているような位置関係です。私たちは、前回以上の悪路を楽しみながら、その街を目指したのでした。

今回の訪問地は世界遺産を二つも備えた、その国の観光のハイライトとも言える街です。優里はこの旅行の中で、そこへの訪問を最も期待しているようでした。

「凄く楽しみだわ、あなた・・・・」
「写真ではよく見るけど、まさか、実際に行くことになるとはね・・・・」
「これが最初で最後と思って、とことんまで観るからね、私」
「はは、いいよ、優里が好きなだけ観れば・・・・」

はしゃぐ様子の妻の姿は、30代半ばとは思えないほどに、若々しく見えました。白いロングスリーブのTシャツに水色のデニムという格好は、彼女のスタイルの良さをいつも以上に際立たせています。

「ホラ、オクサン、ミエテキマシタヨ・・・・・」
運転手がそう言って、前方を指差しました。世界遺産の建造物の一部が、はるかかなたに見えるのがわかります。

「ああ、ほんとに来たのね、私たち・・・・・」
感慨深げにそう言葉を漏らす優里の手を、私はしっかりと握り締めました。

午後、その街に着いた私たちは、無理をすれば世界遺産観光もできたのですが、それを翌日以降としました。また2泊する予定であり、時間はたっぷりあるのです。

「ずっと車の中だったから疲れただろう。今日は街の中をゆっくり観光するか」
「そうね、お土産物もそろそろ選ばなきゃいけないしね」

ホテルへのチェックインを済ませ、私たちはガイドが運転する車で、街の中へと繰り出しました。それほど大きな街ではないようですが、人と車の多さには凄まじいものがあります。とても、歩いて観光できるような状況ではありません。

交差点で止まる度に、粗末な服に身を包んだ子供達が車に寄ってきて、ガラスを激しく叩いてきます。物売りか、或いは単にお金が欲しいだけのようです。

「ダメ、ゼッタイニミナイデ・・・・・」
私たちはガイドのその指示を忠実に守り、彼らの視線を完全に無視し続けました。

「ドンナオミヤゲガイイデスカ?」
外の様子にどこか複雑な感情を抱いている私たちに気づいたのか、ガイドが雰囲気を変えるような明るい声色で問いかけてきます。

「何がいいかな、優里・・・・」
「そうね、思い切ってじゅうたんとか・・・・・・」
「そうだな、せっかくだから1枚くらい買っていこうか・・・・」
「えっ、本気なの、あなた?・・・・」

妻とそんな風に笑いあっているとき、私は想像さえもしていませんでした。それから数時間後、私たち二人にまさかあんな出来事が待っているなんて・・・・。



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↑「密会」続編、完結しました。長い間、応援本当にありがとうございました!



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